もはやフェイスブックが世界最大のオープンソース企業であることを疑う余地はない。フェイスブックはすでにそのデータセンター・デザインやデータベースなどのリリースを通じて、オープンソース業界のトップに位置すると考えられている。先月発表されたネットワークスイッチ(Wedge)とそのオペレーティングシステム(FBOSS)のオープンソース化によって、フェイスブックはオープンソース提供者としての地位をさらに強固なものとした。

しかし、これはオープンソース企業に終わりを告げたことにもなるのではないか?

つまりフェイスブックやグーグル(先月、PDFiumを発表)、LinkedInなどからすばらしいオープンソースコードが生まれるため、オープソース・ソフトウェアを販売する企業にとっては収益を上げる余地がなくなるのではないか、ということである。

新しいソフトウェア工場の内側

作家で、オープンソース支持者のエリック・レイモンドが、2001年に執筆した『伽藍とバザール』(The Cathedral And The Bazaar)で指摘したように、大半のソフトウェアは販売目的ではなく、使用するために開発される。それにも関わらず、我々はオラクルやIBM、SAP、マイクロソフトなどのソフトウェア・ベンダーにばかり注目してきた。

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10億ドル規模のソフトウェア企業はあるが、オープンソース・コミュニティと企業内部で開発されたソフトウェア全体の価値は実に1兆ドル規模であると、2009年にRed Hatのマイケル・ティーマンが指摘している。

ほぼすべてのソフトウェアが目先のことばかり考え、ライセンス購入を強要していたが、それが変わりつつある。フェイスブックとその他のWeb系巨大企業は、自社のコードを公開することに多大な価値があると認識している。最高の開発者は、最高のコードで作業することを望み、その最高のコードがオープンソースであることが増えてきている。そのため、Netflix(表向きは動画配信企業)は、本社で定期的にオープンソース・エンジニアリング期間を設け、開発者に魅力を感じてもらえるよう自社のソフトウェアをリリースすることを重視している。とは言ったものの、先月Netflixは、まもなく公開アプリケーション・プログラミング・インターフェイスから退く予定であると発表した。

オープンソースの増加はあらゆる面で歓迎すべきだ。しかし、このような企業が開発およびリリースしているオープソース・ソフトウェアのほとんどには、サポート体制が整っておらず、大企業も容易に採用できていないのだ。

完璧に仕上げて委託する

良い事例としては、Apache Cassandraプロジェクトが挙げられる。これはメッセージング・システムをサポートするためにフェイスブックが構築し、2008年にオープンソース化されたものだ。2年後、フェイスブックは行動を起こした。メッセージング・システムのトラフィックに対応できるように、フェイスブックはCassandraからHbaseに切り替えたのだ。

2008年、我々は受信箱の検索トラフィックにおいてすでに実稼働していたKey-valueストア形式をとる、Cassandraをオープンソース化しました。フェイスブックの運用チームとデータベース・チームは、MySQLに関する膨大な知識があるため、CassandraかMySQLのどちらかを選択することに頭を悩ませていました。Cassandraへの投資から退くか、Cassandraで構築した巨大システムをサポートできるように運用チームを訓練するか、そのいずれかが必要でした。

MySQL、Apache Cassandra、Apache HBase、などを評価するために、我々は数週間をかけてテスト・フレームワークを構築しました。最終的に我々はHBaseを選びました。MySQLでは、インデックスやデータセットが増えるとパフォーマンスが低下し、データのロングテールをうまく扱えないことが分かりました。Cassandraの整合性モデルは、新しいメッセージ・インフラストラクチャには向かないことが分かりました。

つまり、フェイスブックはテクノロジーを開発したからといって、それに固執しないということである。フェイスブックの元エンジニアであるスティーブン・グリムは、「フェイスブックは使用するツールに関して非常に実用性を重んじる。事実、技術選択の際、専門知識の蓄積が生かせる保全面などは例外だが、新しいサイト機能のデータ格納方に関して、社内で開発されたCassandraでさえ、特別扱いはされない」と述べている

こういったやり方はフェイスブックにとっては良くても、NetflixやシスコのようにCassandraを採用する多くの企業にとっては必ずしも歓迎されない。特に大企業は、安定性を必要としているが、フェイスブックは自身が開発し、オープンソース化したソフトウェアのサポート業務を行っていないのが現状だ。

オープンソース企業への継続的なニーズ

つまり、「オープンソース企業」時代の終わりではなく、まだ始まりにいるということだ。フェイスブックやその同業者によってリリースされた重要なオープンソース・プロジェクトごとに、コードメンテナンスやサポートを提供する企業が設立されることになるだろう。

「すべての企業がソフトウェア企業である必要がある」というフレーズは、もう長いこと使われてきたが、実際にはほとんどの企業がこの目標にたどり着くのはまだ先のことである。ソフトウェア開発の中核を担った企業でさえ、そこで使用したオープンソース・プロジェクトのメンテナンスまで必ずしも手が回らないのが現状だ。このように、ソフトウェアを開発するのではなく、ソフトウェアのサポートを専門に扱うオープンソース企業の需要は常にある。

Cassandraは、DataStaxがコードの商用サポートおよび開発サポートを提供する体制をとった、素晴らしい先例となっており、現在はApacheソフトウェア財団に属している。ただし、他にも多くの例がある。ヤフーで開発され、現在はHortonworksおよびCloudera(など)によってサポートされているHadoop、またはヤフーでダグ・カッティングによって開発され、現在はElasticsearch、LucidworksなどによってサポートされているLuceneなどである。

我々はオープンソースの黄金時代に突入している。コンピューティングで最も興味深い、大きな動向はすべてオープンソースの力によるものだ。これは世界中のほとんどのスマートフォンで実行されているモバイル・オペレーティングシステム、企業アプリケーションをサポートするクラウド・インフラストラクチャ、または人々のデータへの渇望を満たすビッグデータ・インフラストラクチャのいずれの場合にもあてはまる。また、このオープンソース・ソフトウェアの大半はソフトウェア業界外の企業によってリリースされるが、最良のソフトウェアはソフトウェア企業によってサポートされることが望まれる。

トップ画像提供(マーク・ザッカーバーグの写真):Selena Larson

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