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我々のモバイルデバイスは、単なる友人や家族に繋がるための手段を超えた存在だ。それらは、最もデリケートで個人的な事柄(写真、音楽、財務データ、個人情報など)を保管する場所でもある。したがって我々のガジェットが盗まれてしまうことは、単純に不便ということ以上に、人生全体を崩壊させることにもなりかねない。

スマートフォンを盗まれた経験のある人は、そんな目にあったのが決してあなた一人ではないという事実を知ることで、どうか自分を慰めてほしい。モバイル・セキュリティ企業Lookoutによると、米国のスマートフォン・ユーザのうち10人に1人は盗難の被害者で、そのうち70パーセントは自分のデバイスが戻ってこなかったという。

アップルの「iPhoneを探す」やグーグルの「Androidデバイスマネージャー」等のような、失ったデバイスをロックしたりデータ消去したりする技術は、デバイスを盗むことのメリットを減らしてはくれる。にも関わらず、スマートフォンの盗難は増えている状況だ。Consumer Reportsによると、2013年にはアメリカ全土で310万台ものスマートフォンが盗まれ、これは前年に比べるとほぼ倍の数字であるという(Lookoutには、この問題に注意を促すことへの利点がある。同社は携帯の盗難に備えるためのセキュリティ・ソフトウェアを提供しているからだ)。

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政治家や司法当局が我々一般市民のソフトウェア選択に口出ししてくるような事態も、頻繁に起きるようになった。去年の秋にはニューヨークシティーの警官たちが街に繰り出し、盗難されたiPhoneやiPadの再利用を防止する機能が搭載されたアップルのソフトウェアの新バージョン「iOS 7」へのアップデートを呼びかけている。

スマートフォンを盗むビジネス

誰かがあなたのスマートフォンを盗んだとすれば、恐らく目的はそれを売ることだろう。

サンフランシスコ警察によると、サンフランシスコにおける全強盗事件の約50~60パーセントがスマートフォン関連だという。また、盗まれたスマートフォンが返って来ない場合、そのスマートフォンは国外の誰かの手に渡ってしまっている可能性が高い。

「多くの場合、携帯を盗む実行犯は単なる仲介者で、彼らはそれをまた別の人に売るのです」と、サンフランシスコ市警察(SFPD)の広報官オルビー・エスパルザは語っている。「関係者達のネットワークが存在し、最終的に携帯電話は海外あるいは南アメリカへと渡ります」。

違法ドラッグが南から北に流れ、盗まれた携帯電話はそれと反対方向に移動していく。米国で入手された携帯は、最終的にコロンビアやエクアドルのような場所へと辿りつく。盗まれた携帯はそこで解体されて再パッケージされ、新品の製品として消費者に再販されるのだ。

スマートフォンを盗んで販売するのは儲かる事業なのかもしれない。香港で携帯を再販していたある窃盗団は、北カリフォルニアで検挙されるまでの1年足らずでおよそ400万ドルを稼ぎ出していたという。

携帯電話の窃盗を防いで消費者の利益を守るため、政治家や各キャリアーは、全ての新しいスマートフォンへのいわゆる「キル・スイッチ(盗まれた携帯を使えなくする機能)」の搭載を呼びかける活動を行っている。プライバシー専門家は、盗難品を無効にする以外の目的で、このキル・スイッチが使用される心配はないのかという懸念を提示している。理論上、政府とキャリアーは簡単にあなたの携帯を無効にすることが可能だ。しかしほとんどのアメリカ人はこの手段を支持している。2月の調査では消費者の99%が、キャリアがモバイル・デバイスの無効化手段を持つことはよいアイデアだと考えていることが明らかになった。

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自分のスマートフォンを取り戻そうとする行為は危険

もしあなたの携帯電話が盗まれたとしたら、警察当局と治安当局は次のようにアドバイスするだろう。自分でそれを取り戻そうとするな、と。

Lookoutのデータによると、携帯窃盗の被害者のうち68パーセントが、盗まれたデバイスを取り返そうとして危険な目に合っている。

「警察に頼らず自ら行動を起こそうとする人が多いことに、我々は少しショックを受けました」と、Lookoutのセキュリティ・コミュニケーション責任者アリシア・ディ・ヴィットリオは語っている。「警察は我々のユーザーと協力して盗まれた携帯を探し出します。警察の協力を得ることができれば、かなりスムースに携帯を取り戻すことができるのです」

自分でイニシアチブを取ることの問題点は、個人の力では犯罪者が武器を持っているのか、そしてあなたに更なる被害をもたらす可能性があるのかを判断できないことだ。携帯の情報はパソコンにバックアップすることができるが、あなた自身のコピーをとっておく方法はないのだから。

エスパルザは、窃盗の被害者になった場合には、まず警察にそれを報告するべきであると強調している。

「人間は本能的に、自分のものを取り返したいと考るものです」とエスパルザは言う。「問題は、相手が犯罪者だという点なのです。彼らが武器を所持しているかどうか分からないし、それを直接確かめたいとは思わないでしょう?」

自分のスマートフォンを盗まれない方法

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Lookoutによると窃盗の大多数は、レストランやナイトクラブのような公共の場所に自分の端末を置き忘れた際に発生している。被害者が気づいた時にはもう携帯は無くなっているのだ。このような暴力を伴わない窃盗を防ぐ方法は、当たり前だが、公共の場所を離れる前に自分の持ち物を再確認することだ。もしあなたがよく自分の携帯を置き忘れてしまうのなら、HipKeyやDuetのようなハードウェア・タグが役に立つだろう。こうしたツールは、あなたが携帯を忘れてその場所を離れようとしたら通知して知らせてくれる。

一方、力ずくの強盗は全く別の問題だ。

「携帯を使っているとき、人は集中しすぎて周りが見えなくなることがあります」とエスパルザは語っている。「それこそ犯罪者がチャンスと見るタイミングなのです」

サンフランシスコのバスや列車では(ほとんどの人が気付いていないかもしれないが)乗車の際、「携帯を下ろして前を見てください」と定期的に警告している。

サンフランシスコ市警によれば、窃盗を防ぐためにユーザができることは意外に多いという。

・自分の周囲に目を配り、注意を払う。
・公共の場所では、できるだけスマートフォンを使用しないようにする
・ヘッドフォンを着用している場合、人が近づいてくるのが分かる程度の音量にする
・明かりの少ない場所にいる場合は、周りにだれもいないときは携帯を利用しない
・窃盗または強盗の犠牲者となったときは、まず警察を呼ぶ

もしまだ設定していないのであれば、「Androidデバイスマネージャー」や「iPhoneを探す」のような追跡とデータ消去の設定を有効にしておいたほうがいいだろう。自分の携帯が盗まれたときの最悪な気分を和らげることはできないかもしれないが、少なくとも犯行による被害を最小限に抑えることは可能だ。

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トップ画像:*sax(Flickrより)
スマートフォン画像:Esther Vargas(Flickrより)

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