工業のオペレータたちはすでに大量のデータを抱えており、その量は増える一方である。GEとアクセンチュアが最近発表したレポートによると、「ビッグデータのアナリティクスは重要なもののTop3に入る」と考えている企業は80-90%に上ると考えており、「来年の投資額が増加する」と考える企業は76%になるという。

データはさまざまな業界にわたって有用な回答を秘めており、新しい技術や収入源への道を開くものだ。

だが、そこに至るまでにデータはただ集められるだけではなくスマートな意思決定のために、より高度かつ高速に使われなければならない。それは工業IoT(IIoT)が提唱していることだ。工業生産性を次のレベルに上げる道は個々のマシン、そしてそれをコントロールするマシンから開けてくる。

IIoTは人体のようなものである

神経機能系は我々が環境に非常に早く反応し、効率的に行動するうえで重要な役割を果たしている。同じような考えでいうと、マシンをコントロールするシステムはIIoTでの神経系にあたる。

だが、従来のコントロールシステムは工業インターネットのポテンシャルを引き出すにはまったく足りていない。従来型のシステムは閉じたループの中でのみ機能し、決められたスケジュールで動くことしかできず、対応できる環境データはかなり限られている。自己完結的で他の工業システムとは限定的なやり取りしかできないか、あるいはまったくやり取りができない。こういった従来型のシステムを利用している企業が活用できているデータは、持っている資産の中でたったの3%に過ぎない。

工業生産性向上の次の波は、データを機械によるアナリティクスを使ったオペレーションの自動的判断に利用することにより訪れるだろう。マシンレベルのコントロールを、ただスマートなだけでなく、収集、処理をローカルでおこなうとき同様、コネクテッドな状況でもおこなう必要がある。コネクテッドコントロールは、ローカルデータを処理能力が高いクラウドに送り、リアルタイムで意思決定を送り返してもらうことを可能にしてくれる。

いくつかの信頼性の高い決まり切ったコントロールに加えて、こういったコントロールも必要になってくるだろう。

さらに多くのデータを集めるよりも、より効率なデータの利用を考える

GEのアプローチは数千のマシンを大規模かつ安全に、信頼性とセキュリティを確保しながらつなぐ工業インターネットコントロールシステム(IICS)を構築し、工場の隅々までコンピューティングを行き渡らせることだ。IICSは、GEが工業向けにOSを作り上げたPredixプラットフォームで、工業資産を容易につなぐよう設計されている。

このシステムは、インテリジェントコントローラ、I/Oモジュール、クラウドコネクティビティ、アナリティクスソフト、アプリから構成されている。たとえば、コネクテッドコントロールによりタービンを動かしているアプリが電気代をチェックし、稼働スピードを最適な状態に調節したりすることが可能だ。従来型のシステムは、前もって設定されたスピードでタービンを動かし、収益性を左右する外的要因の変化を捉えることはできない。しかし、この新しいシステムなら動的な外的要因に対して最適化が可能となる。

ほかの例を挙げると、ガス火力発電がある。工業インターネットにより自動化されたコントロールが発電所内すべてのマシンの稼働状況とパフォーマンス、また他の電力供給源のコストや価格設定、需要と供給、といった市場の状況などを明らかにすることができる。風力や太陽発電による電力需要が上下したりすればそれを知ることも可能だ。そこから価格設定を予測し稼働率を上げることで、より多くの利益を上げ、将来のメンテナンス費用に備えるといったこともできる。

デジタルツインモデルは、工場内資産すべての状態や性能についての詳細な情報を提供するため、予測の精度は非常に高くなるだろう。

この工業のための新しい神経系統は、レスポンス速度や要求される知見の精度に応じてクラウドからエッジデバイスの間で適切にデータ処理を割り振るためビッグデータのさらに先を行くものとなる。異なる工業設備同士のやり取りやレスポンスの最適化を可能にし、集められたデータとマシンが置かれている物理面、環境面についての予測を組み合わせる。

これが企業や顧客にもたらす利益は大きい。メンテナンスは予測的なものにシフトし、機能不全や予想外のダウンタイムは激減する。生産効率や信頼性は上がり、コスト削減、利益の向上につながる。こうした利益やそれらをどれほど早く手に入れられるかは、工業インターネットのコントロールシステムの効率に大きくかかっている。

※著者はGE Automation & ControlsのCEOを勤めている

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