突然だが、18世紀中頃を想像してほしい。

農業生活を送る人々は、彼らの生活を一変させる産業革命に対して何の準備もしていなかった。当時、多くの人々は生活の向上や人口の増加、資本主義の高まりや都市化の到来といった、その差し迫る変革になにも気づいていなかったのだ。

そして、それ同じことが21世紀の今、また繰り返されようとしている。

我々は次の産業革命にまさに臨もうとしているが、多くの人は世界を変えようとする迫りくる現実に対して準備ができていないことは知ってのとおりだ。

そして歴史は繰り返す

これまでに3度の産業革命があり、それらの共通項から学べることがあるとすれば、「産業革命は、技術的なイノベーションよりもはるかに大きな意味合いを含んでいる」ということである。産業革命によって、当時の人々やその後の世代の人々の実生活は大きく変わった。

161017-hoe-to23

ヨーロッパで第一次産業革命を迎える前に農家だった人々は、革命により工員(あるいはこれまでよりもずっと能率的な農家)となった。職業の変化は、人の変化をもたらした。必要最低限の生活というものは鳴りを潜め、工業化に成功した国民は経済的野望を見出すようになったのだ。同様に、第二次産業革命では効率性および規模が格段に向上し、やはり生活や経済、社会を変えるものとなった。

第三次産業革命では郊外に住む労働者にサービス企業の雇用を大量にもたらし、コンピュータやモバイル通信が行き渡ることとなる。結果、職場と家庭の境目は曖昧なものとなり、9時-17時だった仕事も境目なくつづくようになり、最終的には場所すらも選ばなくなった。

そして今、第四次産業革命 – Industry 4.0 – を迎えようとしており、我々は機械を持たない農家や携帯を持たないトレーダーのような存在にならないために備える必要がある。

過去の産業革命は、経済面、政治面および環境面で大きな変化をもたらす前段階で起こっている。産業革命の中核となったものは、「イノベーション」だ。来るべき現代化を理解するために、私たちは明日を形づくるイノベーションを理解しなければならない。

IoTとビッグデータの津波が起こすデジタル化

分業制の組立ラインというイノベーションが工業を支えたように、“IoTは異なるデバイスを組み合わせることで製造業を支えよう”としている。1800年代、それぞれ異なるタスクを組み合わせた組立ラインを持つことで製造業の効率が向上したように、だ。

IoTはバラバラの製造設備を互いに関連するシステムに落としこんでいる。これらシステムは互いに通信、モニターし合い、自己最適化や異常時の警告発泡をおこなうことで、ダウンタイムを最小化し、結果コストの削減、パフォーマンスの最大化につながっている。つまり、製造業をより効率的なものにしているということだ。

メーカーが次の産業革命に取り残されないため、設備をIoT化し異なるシステム間でのスマートな情報の流れを実現することが求められる。

イノベーションの手法としてIoTがあるのであれば、ビッグデータはその効果を増大する〈触媒〉のようなものといえる。第一次産業革命で情報伝達のスピードと情報量を大きく向上させた、モールスのテレグラフを振り返ってみるといい。今日では、ビッグデータシステムは情報の収集・解析の規模やスピードを拡大している。

次の産業革命に備えるため、メーカーは「大量のデータから意味ある知見を拾いあげ、生産性の最適化をおこなうシステムを手に入れる」必要がある。

障害の影響をいかに最小化するか

第四次産業革命の3つ目のイノベーションは、第一次産業革命のイーライ・ホイットニー氏の業績に代表される「互換性のある部品」によって、修理の時間を短縮するというところに共通点がある。

予測的メンテナンス(そして近い将来には、規範的なメンテナンスになる)の登場により、計画停止(予防的メンテナンス)および突発的な障害対応(後天的メンテナンス)の両方にかかる時間を削減できるようになる。予測的メンテナンスの実現は、“どの設備がいつ、どういった、サービスを必要としているか”という情報にかかっている。

必要なサービスを必要なときにだけ実施することで、資源を節約し重要なシステムが最適な状態で稼働し、生産性はより向上する。メーカーは、設備やメンテナンスに必要な情報を扱える「学習システムの基準や基礎を整える」ことに投資をすべきだ。

データ主体の産業革命

第四次産業革命の中心は、データだ。これに備えることはつまり、データを強く意識し、既存の設備からデータを集め、通信し、ビッグデータを解析し、それをビジネスにどう活用するかを考えることでもある。

これにより、投資は最小限であっても、最大限の効果を得ることができる。これまでの歴史が示すとおり、準備し、革命によってもたらされる新たな現実に柔軟に対応することで、経済的、社会的、政治的、環境的に有利な位置に立つことができるだろう。

著者は、エネルギーの最適化サービスを提供しているPanoramic Powerの統括部長であり、同社のDirect Energyグループのメンバーでもある。

Pocket