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フィールドサービスと聞いて何を思い浮かべるだろう? おそらくは、工業機械に囲まれて働くヘルメットに安全メガネ、革の工具ベルトの男たちではないだろうか。

長らくそう見られていたし、多くの場合それは正しい。多くの手作業、壊れた設備の対処、何年も前のハードウェアを担いで回るといったことに馴染んだ世界だ。

だが、データリッチなIoTセンサーやクラウド、モバイルが広く用いられるようになり、フィールドサービスの様相は大きく変わっている。それは、“壊れたものを直す”ことから設備が壊れないサービスプランを立てる”ことになってきており、人々はその保障の対価を支払うことについて抵抗がなくなってきている。

IoTといえばコンシューマ用途で語られることが多いが、幅広いフィールドサービス・プラットフォームが組み合わさることにより、その生産性は高いものになることがわかっている。マッキンゼーは、IoTの今後の利用の70%がフィールドサービスのようなB2Bに偏った業界で発生すると予想している。IT、CRM、人事やマーケティングで過去10年目の当たりにしてきたのと同様に、フィールドサービスにも技術の波が押し寄せ、その多大な恩恵に与ろうとしているところだ。

我々のパートナー企業 PTCのCEO ジム・ヘッペルマン氏はかつて、「IoTにとって最初のキラーアプリの役割を担うのはサービスだ」と言った。また、つい先日おこなったアンケートでは、回答者のほぼ全員が「フィールドサービスでのメリットはある」と答えており、90%がコネクテッド設備の恩恵について取り上げている。

 

かつては何の目算もなくやっていたこと

システム障害が起こる前のプロアクティブなサービスやリアルタイムで機械の状態をモニターし続けるレポジトリの構築などのわかりやすい恩恵以上に、IoTという概念のもと誕生した技術がフィールドサービスにとって大きなメリットになる理由がある。

それは、これまでの現場にはあってないようなものだった「先の見通し」のことだ。

たとえば、調子が悪い風力発電機の修理に技術者を派遣するとしよう。かつて彼らは高いところまで登って診断をおこない、やがて地上に降りてきて部品をオーダー。そして数日後、また高いところまで登っていって修理をおこなっていた。さらに、これとは別に書類の処理にも時間がかかっていた。

じつに無駄な作業が多く、骨が折れる。

だが、現在フィールドサービスで広がりを見せている破壊的技術は、どの製品・設備やパーツを頼まなければならないのか、顧客および彼らが契約している保証はどのようなものか、といった自動的に集められた情報のプラットフォームを技術者に提供している。かなり巨大なプラットフォームだ。そして、企業は単なるモノではなく生み出される“価値”を売りにするようになる。つまり、製品・設備そのものではなく「それがきちんと稼働する“時間”」を売るということになる。

そして、そこで用いられる情報はすべてコネクティビティによって得られるものだ。

コネクティビティには大きな可能性があり、今回のアンケート結果からも企業がこの破壊的技術を使用し続ける予定だということが読み取れる。アンケート対象者の半数は、ここ2年内にコネクテッドデバイスを業務に取り入れるつもりだと答えており、あとの半数はさらにウェアラブル技術も取り入れると答えている。ARを利用するつもりだ、と答えたのは51%だった。

だが、よく言うように「大きな力には大きな責任が伴う」ものだ。こうした“見通しがきく”ことによって、フィールドサービスのビジネスだけでなく、技術者に要求されるスキルや仕事の質も変わってくる。技術者の機動性や業務プラットフォームへのモバイルやWebを通じたアクセスの改善、また、設備データへのアクセスはスキルのばらつきを埋め、産業を大きくするのに重要な役割を果たすことになる。

 

フィールドサービスからIoTは新たな利益をひねり出せるか?

IoTやAR、VR、ドローン、ウェアラブルなどの技術により組織の動き方が変わっていくなか、フィールドサービス業もこれらの技術を用いて顧客に収益を伴う利便性を与えようとしている。

たとえば、技術者が顧客から電話が来る前に彼らのデータにアクセスすることができるのであれば、組織全体の効率性を大きく向上させるだろう。集めたアンケートデータからは、フィールドサービスの変革のための新技術の採用に、企業がより多くの資金と労力を投じようとする意図が読み取れる。事実、86%の企業はフィールドサービスが向こう2年の大きな利益の原動力になると見込んでいる。

重工業からヘルスケア、エネルギーから交通に至るまで、フィールドサービスはIoTとコネクティビティの実験場となるだろう。これら技術を仕事や生活に統合することは、フィールドサービス業界全体のビジネスモデルを変える可能性を秘めている。

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そして、多くの技術者と機械とがより密接につながることで、明らかになってきたことが1つある。機械から与えられる確かな情報を利用して効率的に、かつ、高品質な仕事をする技術者を手に入れることは、収益を上げられる可能性に気づくことよりずっと大事であるということだ。

 

※著者はカリフォルニア州プレザントンに拠点を置く現場サービス管理プラットフォーム企業の大手 ServiceMaxの共同設立者兼最高戦略責任者である。

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