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米連邦運輸省が今年の5月に発表した自動運転車に対する予備方針声明で、特に強調された点がある。「自動運転モードから通常運転モードに切り替える動作を、ドライバーが安全、簡単かつ迅速に行えるようにすること。」

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自動運転車には、自動運転モードが作動していない状態を素早く感知し、ドライバーに車を運転するよう警告を発する機能が欠かせない。自動運転モードでゆっくり寛いでいたドライバーに突然運転させる試みこそ、自動車ベンチャー企業Zooxの創業者で最高経営責任者の、ティム・ケントレイ・クレイが最も頭を悩ます点だ。

「自動車業界が目指している『レベル3』は全く馬鹿げている。」と先月ロサンゼルスで開催されたConnected Car Expoでケントレイ・クレイは語った。彼の言う「レベル3」とは、NHTSA(米運輸省道路交通安全局)の示す車の自動化レベルを指している。

・レベル0-現在の車のように完全手動型
・レベル1-電子スタビリティー・コントロール(ESC)のような補助的なシステムを用いた車
・レベル2-アクティブ・クルーズ・コントロールのようなコンピューター・コントロールを少し用いた車
・レベル3-自動運転が可能だが、ハンドルとペダルは装備されている車
・レベル4-常時自動運転が可能で、無人でも動作する車

「法律は『レベル3』の車が自動運転中でも、ドライバーに対して自分が運転する時と同様に注意を払うことを義務付けている。」とケントレイ・クレイは言う。「こんなものは自動運転車とは言えない。自滅的な車だ。こんな法律に何の意味があるのだろうか?」

解決策は、最後までやり遂げること

オーストラリアのメルボルンを拠点として会社を経営するケントレイ・クレイは、運転動作が機械から人に移る際に、安全面で深刻な危険が伴うと考える。「車がドライバーに運転をするように警告を出しても、ドライバーがパニックを起こして事故を起こす可能性がある。」彼は、自動操縦が一般的な民間航空機における事故例を引き合いに出した。操縦者がコンピューターから人に移ったとき、パイロットがうまく操縦にあたることは難しく、事故を起こす事があるというのだ。「高度な訓練を積んだパイロットにできなければ、普通の車のドライバーにできるわけがない。」

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ケントレイ・クレイはNHTSAの示す「レベル4」を達成するために、自動車のすべてを「再起動」し、ゼロから再設計する必要があると考えている。この「レベル4」は要するに、ロボットあるいは搭乗者が何もする必要のない無人タクシーを意味している。「『レベル4』こそが本当の革命だ。」と彼は断言した。

Zooxの自動運転車の構想では、搭乗者は向かい合って席に座る。車は前後どちらの方向にも動くので、フロントガラスは存在しない。そして何といっても、車は買うものではなくなるのだ。車そのものはメーカーが所有し、Lyft(米国で展開する、アプリを使って同乗者を募ることができるオンデマンドの相乗りサービス)のような形で運搬が展開されるようになる。車はプライベートなネットワーク上の、制御された区域を移動するようになる。ケントレイ・クレイは言う。「まさに歩道の脇で車を拾い、歩道の脇で車から降りる世界の実現だ。」

もはや車ではない

ケントレイ・クレイは、まずこの3年は資金調達とテスト走行実施に向けた開発チームの育成に注力し、次の3年で実際の道路上での走行テストを行い、最後の1年では理想的な気象条件の揃うラスベガスのような場所で、1台以上の自動運転車を試験的に導入するという、7年計画でこの構想を実現させたいと話してくれた。

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映像やアニメーション業界出身のケントレイ・クレイは、この構想で自動車業界に革命を起こそうとしているのだ。

「Zooxの自動運転車はもはや車ではない。」と彼は言う。「大都市の移動を担う、新しいジャンルの次世代移動手段だ。」さらに彼は、100年前に車が登場した時、馬車を作っていた会社は時代の変化についていけず、1社も生き残れなかったことを引き合いに、「この20年で、自動車業界は同じ変化を経験することになるだろう。」と続けた。6月にはグーグルの自動運転車開発チームに向け、自らの構想をプレゼンテーションしている。「彼等は私の構想を評価してくれた。」

ケントレイ•クレイはZooxの自動運転車で飛躍しようとしている。そしてZooxの自動運転車の搭乗者にも、同じように新しい体験をして欲しいと期待している。Zooxの自動運転車には前にも後ろにも窓ガラスがなく、両サイドに幅の狭い窓があるだけだ。「『レベル4』の車が高速走行している時、おそらく搭乗者は前を見たくないだろう。スリル好きでなければ、ストレスになるだけだ。」と彼は説明した。「それよりも車に乗っていることを楽しんで、横の窓から外を眺める事をおすすめしたい。まるで飛行機のビジネスクラスに乗っているような気分なんだ。」

※Read Write Driveは、運送の未来について論じるシリーズです。

画像提供:Zoox

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