デザイナーは、物理環境とデジタル環境の両方において責任を持つべきである。
ディーター・ラムス氏の「グッドデザインの10の原則」をデジタルプロダクトに当てはめた考察。

デザインとは、環境保全に大きな役割を担うものだ。
  製品がつくられ、その役割を全うするまでの間、資源を節約し、
  物理的に環境を汚染せず、そして見苦しいという視覚的な汚染もしてはならない。
  — Dieter Rams氏「グッドデザインの10の原則」

デザインはクラウドの中にあったとしても、実際には環境に負担をかけている。

2012年の推定によれば、サーバーファームは年間およそ300億ワットの電力を消費する。これは、30の原子力発電所に相当する。そのうち、計算処理に使われる電力は15%未満に過ぎず、残りは利用が急増したときにサービスを中断させないためにサーバをアイドリング状態に保つ目的で使われている。

デザイナーは、自分たちの仕事にも物理的フットプリントがあることを忘れがちであり、情報が現実世界に負担をかけるものだとは考えていない。しかし、私たちがデータの保管や、送信、レンダリングに電力を使うことによって日々莫大な資源が消費されている。

デジタル活動が現実世界に与える影響の分類を試みたサイトもある。ある記事のカウントによれば、

Google検索1回はCO2 0.2グラムに相当
スパムメール1通は平均でCO2 0.3グラムに相当
ツイート5000万回はCO2 1メートルトンに相当
こういったトランザクションの一つ一つは微々たるものだが、累積すれば、デザインによる二酸化炭素排出量は無視できない量になる。

そんなことをユーザが考えることはなさそうだ。BuzzfeedでGIFを見たり、なんとなくFacebookで画面をスクロールしているときに、環境への影響を考える人がいるだろうか? 私たちはデザイナーとして、また開発者として、ユーザに対する責任と同じく環境に対しても責任のある製品を作ることについて、義務を引き受けなければならない。

少しずつでもストレージ領域を節約し、帯域を減らすことには効果がある。デザイナーにできる最も良いことは、無駄のない製品を作ることだ。webサイトやアプリケーションにデータの無駄遣いをさせず必要な空間だけを使わせ、必要以上に電力を消費させないこと。モバイルアプリを作るときでも、バッテリー消費が多いほど充電回数も多くなることを考慮すべきだ。クラウドベースのアプリでも、現実にはエネルギーが必要になる。

物理環境以外にも、考慮すべき環境がある。デザインは視覚空間の中にある。これ以上インターネットを汚染してはならない。ネット上では連日、人の注意を引くための目障りなビジュアルが大騒ぎしている。バナー広告、サイドバー広告、ニュースフィード広告。webサイト全体でさえも広告であったりする。こういったガラクタは人々の認知作業の負荷を増大させ、インターネットがつまらなく、役に立たないものになっていく。

責任あるデザイナーの精神において、世界の価値を損なうものではなく世界の価値を引き上げるものを創造すること。それは、物理環境とデジタル環境の両方で、優れたケアをすることを意味する。私たちには今、将来のデザイナーや開発者のために基調を定めるチャンスがある。

デジタルサービスが環境に与える影響について、下記の優れた記事も参照されたい。

The Surprisingly Large Energy Footprint of the Digital Economy (TIME)
Power, Pollution and the Internet (The New York Times)
Making The Web A Better Place: Guidelines For “Green” Web Design (Smashing Magazine)
How Much Energy Per Tweet? (Gigaom)
How Much Does the Internet Weigh? (Discover Magazine)
Searching the Planet to Find Power for the Cloud (NPR)

この記事はシリーズ「グッドデザインの10の原則: デジタルプロダクトへの展開」(全10回)のPt.9です。

「グッドデザインの10の原則」はDieter Rams氏と長年の連携をもつVitsœのWebサイトで発表された。原則はクリエイティブコモンズラインセンスのもと、ここで見ることができる。

記事提供元|L’OREM
logo_lorem@2x

Pocket