Softcardの決済システムは、始まったそのときから失敗する運命にあったようだ。同社は無線キャリアらが共同で結成し、ユーザーに携帯電話を利用する決済手段を提供してきた。先月23日、Softcardの主要パートナーであるAT&T、Verizon、T-Mobileは敗北を認め、技術の一部をグーグルに売却し、Android phoneにおいてGoogle Walletをサポートすることに同意した。

この提携により、Google Walletは、Android phoneを用いる決済手段としてより勢いを増した。これはNFC(近距離無線通信)決済対応の新設備がある小売店で利用可能になったからだ。その中には、同じくNFCを用いるApple Payに対応する店舗も含まれる。

「現在のところ、Softcardを利用しているお客様は、そのアプリでタップ&ペイの決済システムを継続して利用することが可能です」。Softcardは、グーグルとの提携声明でそう述べている。「来週、私たちはお客様やパートナーに詳細をお伝えする予定です」。

注意:Softcardとそのヘンテコなマスコット、Tappyは風前の灯だ(SoftcardがIsis という不吉な名前でスタートしたから、という理由だけではない)。

アップルとグーグルは、自社のデジタルアプリ・コンテンツストアで決済方法を管理したいと望んでいる。それと同様に、自社OS使用端末で小売決済の管理者という役割を望んでいることも明らかだ。

今後は、PayPalと、そしておそらく、モバイル決済のスタートアップ企業LoopPayを先日買収したサムスンが、アップルとグーグルの決済システムに対する主要代替サービスとなっていくだろう。

サムスンが、自社のハードウェアをグーグルに支配されたくないと思うのは当然だ。だがPayPalは決済システムにおいて、サムスンよりもはるかに興味深い、第三者サービスとなる可能性がある。特にeBayから分離独立し、単独の株式会社になろうとしているのだから。

開発者にとっての課題とは、Google WalletとApple Pay両方をサポートする必要があることだ。スマートフォンにおいては、両巨大企業を介さなければユーザーに接することもできないからだ。PayPalは両OSに対応しているため、この点において、自社のワンタップサービスを開発者に売り込むチャンスがある。

決済システムを開発する企業は、どこも同じ疑問を抱えている。支払いの動作として、タップすることが有効なのかどうかという疑問だ。消費者が支払いを確認するという意味においては、タップという遂行的行為が、支払い動作として一定の意味を持つとは言えるだろう。だが、馴染みある動作「カードを機械に通す」よりタップが良いということはないだろうし、「カードを差し込む」よりも良いということもないはずだ。今年後半には新しいチップの入ったカードが必要になるにも関わらずだ。

未来の決済システムは、バイオメトリクスや行動データ、あるいはそれらの組み合わせによって決済データの確証を得て、クラウド上で行われるだろう。われわれはカードを機械に通すことも、タップも、差し込むこともしなくなる。ただ支払うだけになるのだ。NFCは過渡期のテクノロジーにすぎないのだ。本来は過去数十年、高価で期待通りにならない電話接続に対処するために開発されたのだから。

現在、未来の決済システムに近いことが、アプリ内で行える事例もある。Google WalletやApple Payはアプリ内決済手段として、このような取引においても存在意義を持つだろう。だが、最も重要なこととは、そのような決済処理に、キャリアや携帯電話メーカーの承認が必要ないということだ。

アプリベースの決済において、決して出る幕がないと認識したため、Softcardは負けを認めたのだ。PayPalは「ワンタッチ」モバイル決済に熱心に取り組んできた。しかし同社が、Uberの料金支払いシステムのような、動作の一切必要ない決済システム開発に力を入れれば、現実はもっと面白いことになるだろう。

われわれは、Softcardが試みたように、カードを機械に通すのに代えて、時間のかかる、より煩雑な清算処理を行う必要はない。カードを通すのも、タップするのも、差し込むのも、全部除外しなければならない。

この2006年のIBMのCMはそれをほぼ正しく理解したものだ。清算の際に新たな支払方法が必要なのではない。全く旧態依然とした方法そのものを終わらせなければならない。

私はそう信じている。

トップ画像提供:Softcard

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