アップルは、2015年に発売を控えるApple Watch用ソフトウェア開発キット(SDK)「WatchKit」を公開した。開発者は小さな画面上に独自アプリを作成することにより、米スポーツ専用チャンネルのESPNやアメリカン航空、米写真共有アプリのインスタグラムといった、早期パートナーと同様のことができるようになる。

アップルのiOSモバイルプラットフォームを糸口に、アプリメーカーはこのSDKによってApple Watchアプリを制作・テストすることができる。キットの公開時期から考えると、この新型ウェアラブル製品がお正月明けすぐに発売されるとは言い難い。現段階では春先の可能性が高いと噂されているのだ-実は流出ビデオ内でも同時期発売を明確に示唆している。

SDKを利用する開発手法は、アプリ開発者に対し以下に示す3つのオプションを提示している。

  • 独自のインターフェイスと機能を備えた標準ウォッチアプリを作成する。(少なくとも今のところは完全にカスタマイズ可能なインターフェイスの実現性には乏しいようだが)。
  • 情報の一部をデバイスの通知機能(Glances)に追加し、ユーザーがカード状の文字盤をスワイプできるようにする。例えばニュース、天気、株価、スポーツ試合のスコア等といった情報を取り込むのだ。ESPNは既にスポーツ結果やニュースをGlancesに送り込むウォッチアプリに取り組んできた。アメリカン航空の場合、ゲート変更やフライトステータスの更新が手首の上に送信されるようになる。
  • ユーザーがアクションを取れるようポップアップアラートの作成をする。例えば手首の上でテキストメッセージを返信したり、受信音をメッセージで無音にしたりといった行動だ。インスタグラムはユーザーが通知を通じて直接画像にいいね、を付けたり反応したりできるApple Watchアプリに着手してきた。それは、写真フィードや他のインスタグラムユーザーをフォローするといった点でも同様である。

しかし単体ウォッチアプリは少なくとも今の段階で制作不可能だ。これは2015年後半に向けての目標といったところだろう。そのため当面の間は、サードパーティ製ウェアラブルソフトウェア利用に関してiPhoneやiPad上で実行されているコンパニオンアプリにリンクさせる必要があるだろう。

SDKによると、大小2種類のApple Watchは、ホストとなる携帯電話端末やタブレットからデータ内に単にデータを注ぎ込むだけであるため、例えサイズと解像度のが異なってもそれほど難解なものではないらしい。しかしだからといって開発者たちはこの2つのウォッチの違いを無視してはならない。ちなみに男性向け42㎜画面サイズは312×390ピクセル、女性向け38㎜画面サイズは272×340ピクセルの解像度となっている。

SDK内部の詳しい仕組みについてだが、既にWatchKitを使用してみた開発者の反応があるので紹介しよう。

Zach Kahn(@zkahn94):「腕を上げる動作をすると『Short Look』短時間通知(左側)が表示され、一定以上の時間その状態を続けていると長い情報を読み取るための通知『Long Look』(右側)画面に切り替わります」

Zach Kahn(@zkahn94):「既にダイナミックな壁紙がiOS上にあるので、『ウォッチ画面には開発者が手を加えることができません』 …」

Zach Kahn(@zkahn94):「ウォッチアプリをインストールし、管理するには自身のiOSアプリが必須です」 …

John Siracusa(@siracusa):「アップルが名前の使い回し:Apple Watchのフォント名はSan Franciscoと呼ばれるものです …」

Benedict Evans(@BenedictEvans):「予想通りアップルのWatchKitから大量の処理要求がiPhoneへと向けられます。バッテリーとCPUを活用するためです」

Patrick Perini(@pcperini):「関連:ウォッチ上でUIデザインの完全カスタマイズはまだできないようです」

Vaclav Vancura(@vancura):「メニューアイコンのピクセルについての説明画面を見てみよう:大体の目安として大きいサイズのApple Watchでは+1ピクセルのストロークを使用するようです」

Steve T-S(@stroughtonsmith):「このデバイスはアップグレードに関する問題も『解決』してくれます-なぜならiPhoneで全て処理できるので、いちいちApple Watchをアップグレードする必要がないのだから」

Federico Viticci(@viticci):「『ボタンは、他の要素と区別するために角丸になっています』iOS6のことかいって? ブッブー、WatchKitの話です」
「WatchKitのボタンのさらに良い点は、『ボタンの背景をPlatterと呼ぶことです』」

Benedict Evans(@BenedictEvans):「興味深いのは、Apple Watchには2つのサイズがあって、それぞれ解像度も違うことです。ユーザーの反応を期待しているのでしょう」

このヒューマン・インターフェイス・ガイドライン(HIG)と一致して、スーパーブロガーのジョーン・グル―バーが以下に挙げるいくつかの点を指摘している。

  • 内蔵されているシステムフォントは「San Francisco」と呼ばれるものだ。聞いたことのある名前だろう。このフォントは2種類に分かれている。ひとつはサイズが19pt以下のSan Francisco Textと、もうひとつが20pt以上のサイズのSan Francisco Displayである。Displayの方は小さいディスプレイに適した文字間隔が設定されているが、Textの方は句読点が大きく、「a」や「e」などはグリフの幅が広めになっている。
  • ウォッチ・ヒューマン・インターフェイス・ガイドライン(HIG)によると、「双方向性を示すためにカラーを使用することは避けましょう。ブランディングに応じてカラーを適用しますが、ボタンやコントロールの双方向性を示すために単にカラーを使用しないでください」とある。来年はiOSのHIGを発行する予定だろうか?最新情報:ネベン・マーガンはこの件に関して、アップルは「双方向性のためだけにカラーを使用しないでください」と意味しているのであって、双方向性を示すためだけにカラーだけを使用してはならないと言っているわけではないと解釈している。
  • WatchKitの機能の大部分、はiPhoneに処理作業を手渡すことにある-このウォッチはあなたのiPhone上で実行されている拡張機能の実用的リモートディスプレイなのである。そのためウォッチ自身のバッテリー寿命は向上するが、iPhoneを携帯しない時には持続時間が制限されてしまう。なぜならばこのデバイスは「iPhoneを持ち運ばなくてもいい」ことを推奨するのではなく、「iPhoneは常にバッグやポケットに入れて身に着けておく」ことをねらいとしているからだ。

突き詰めていくと、どうやらApple WatchとはiPhone上で実行されているアプリとの単なるパイプラインではないらしい。まあ、率直に言ってだからといって既に出回っている他のスマートウォッチ機能となんら大差はないのだが。開発者たちがこのApple Watchをどのように展開していくかに期待したい。そしてアップルがその展開案にどのように取り組んでいくのかも見どころといえそうだ。

トップ画像提供:Apple

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