いつか、ひょっとすると来週、子どもたち、そしてその孫達が、映画「マトリックス」を観て「ネオが喋りかけてるあのバナナみたいなのは何?」と聞く日が来るのかも知れない。

笑うことだろう、ため息を付くことだろう。そしてNokia 8110を覚えている自分は歳を取ったと思うことだろう。かつて物好きがとびついたこのモデルは、「マトリックス」がヒットを飛ばした1999年のものだ。

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ウォシャウスキーの要求で取り付けられたスライド式のカバーは、「アメリカンサイコ(2000)」でクリスチャン・ベイルが演じるパトリック・ベイトマンが抱えて回るブロック大のモトローラDynaTACと同じくらい時代遅れな感じがするものだった。

そして今、マイクロソフトがこのブランドに終止符を打とうとしている。昨年買収したノキアのスマートフォンビジネスは「Microsoft Lumia」となり、「Nokia」の名前は過去の映画やTV番組の中でのみ生き続けることになる。ノキアの製品は多くの映画に出てきている。本当にたくさんの映画においてだ。

(更新情報:マイクロソフトですら携帯における歴史の1つであるNokiaブランドを潰す事は出来ないようだ。詳しくは下記を読んで欲しい)

商品の入れ替え

映画など様々な形でみることの出来るNokiaの変遷について通して言えることは、ロクでもないということだ。

この事は、例えばかつて最大の携帯メーカーであったNokiaのブランドが「マン・オブ・スティール(2013)」では目障りなものとしてしか捉えられていないという事も意味する。NokiaのLumia 925はスーパーマンが使う携帯という事でプロモーションに1.6億ドルもの資金が費やされた。

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映画での宣伝が上手く行くというのは、ブランドにとってこの上ない話だろう(DVD世代はTVの宣伝なんか観たりしない)。悲しいかな、ノキアの製品がズラリと並んだ営業所は、そのブランドを守るには至らないものなのだ。

映画において、ノキアの製品はその驚くべき(仮想の)機能を見せてきた。「トロン: レガシー(2010)」で披露されたその機能は、とてつもなく巨大な技術に対してNokia N8を使ってどの様に立ち向かうかを表している。

実際、Nokiaを使うスーパーヒーローの物語に終わりはない。「ダークナイト(2008)」では、ウェイン・エンタープライズがモーガン・フリーマン演じるルシウス・フォックスに、彼のボス、ブルース・ウェイン(クリスティアン・ベイル!)が、わざとオーバークロックされたNokia Tube 5800を見過ごすことで中国のセキュリティ会社に侵入させる一幕がある。スカイフック作戦だ。

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映画「マイノリティ・リポート(2002)」にあるような近未来のテクノロジーは未だフィクションに留まっているが、トム・クルーズが犯罪予防局の刑事を演じた頃、タッチスクリーンやHUDが無い中、Nokia 7650は斬新なものだった。

「ハート・ロッカー(2008)」では爆弾を起爆させるのにNokia 1600が登場する。宣伝として褒められたものではないだろう。

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同じく疑問を呈するのが、「トランスフォーマー(2007)」におけるジョン・タトゥーロのNokia N93iだ。都合の悪い場面でいつもこれが出てくる。

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悲しいことだが、こういった都合の悪い場面ももう観られることはない。少なくともNokiaのブランドの名においては。

更新情報(10/24):どうやら自身がITの歴史における巨人であるマイクロソフトは、Nokiaの名前を完全に潰す腹はないようだ。マイクロソフトの携帯及びWindows部門の副社長、トゥーラ・リティラによると、Nokiaのブランドは継続するとのことだ。もっともエントリーレベルの製品に限定されるようだが。

アップルはフィンランドを無茶苦茶にしたが、マイクロソフトは生きながらえるチャンスを与えたのかも知れない。

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