アップルの、シンプルに「Apple Watch」と命名された新しいスマートウォッチは、ぐうたら者から優秀なアスリートまで、あらゆる人をより健康にしようとしている。本当にそんなことができるのだろうか?

349ドルからという価格の来年発売予定のこの新デバイスは、より専門的なフィットネス・トラッカーやGPSスポーツウォッチと比べ、2倍~3倍の価格設定となっている。安くすませたいのであれば、iPhone内蔵の運動感知センサーを活用した無料アプリなどを使ってエクササイズ管理する、ということも可能だ。

Apple Watchは2つの新しいアプリを搭載している。FitnessアプリとWorkoutアプリだ。これらの機能を2つのアプリに分けたのは賢い選択と言える。Jawbone UpやFitbitといった多くのシンプルなフィットネス・トラッカーは、歩数計測を主な機能としている為に、ジムでの運動を歩行と勘違いしてしまうのだ。

モチベーションを求める人々、つまりFitbitsやUpsを買い求める同じ購買層に対しては、日々の活動時間を測るFitnessアプリがその要望を満たす事になる。このアプリは起立と着席も感知し、ユーザーに1時間に1度は立ち上がることを促すこともできる。

Workoutアプリは、より熱心なフィットネス信者向けと言える。アップルのCEOティム・クックが表現するところの「カスタム・センサー」を使用し、心拍数を感知することによって運動の「激しさ」の測定可能だ。

Apple Watchが正確で詳細かつリアルタイムの心拍データを把握できるのか、または他のフィットネス・ウォッチのように概算するだけなのか、まだはっきりとはわからない。概算ばかりであれば、優秀なアスリート達はApple Watchに見向きもせず、チェスト・ストラップのような既存のデバイスを使用するだろう。

これはアップルがフィットネス市場全体を網羅しようとして中途半端に終わってしまう可能性の一例だ。

ユーザー以外にとってのApple Watch

フィットネスアプリの開発者とフィットネス・トラッカーの製造者は今後、基本以上の性能を知っていく必要がある。

アップルは、6月のWorldwide Developers Conference(WWDC)においてHealthKitを初めて公開した。しかし、その能力に関してはわずかな情報しか提供されなかったし、既存の健康及びフィットネス関連のAPIに比べても貧弱だった。その後リリースされたベータ版のHealthKitは、特にエクササイズ管理において進歩を見せた。

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HealthKitの最大の強みであり弱点でもあるのは、アップル製ハードへの依存性だ。健康に関する情報はユーザーのiPhoneに保存され、iCloudへの移行すらできない(おそらく全デバイスのバックアップ・ファイルの一部として以外は)。Apple Watchも恐らく、データをiPhone内のHealthKitデータ保存ファイルに送る事になるのだろう。

アップルにとってはその方が情報共有を制御することが簡単なのだろう。新しいアプリに健康情報が共有されるたびに、デバイスがユーザーへの許可を求めることができるのだから。だがそれはデベロッパーに対しては開発の柔軟性を制限してしまうことになる。特に、同じサービスのウェブ版やAndroid版を提供したいと思う時に。

それから、アップルがFitnessとWorkoutのアプリでかなりの範囲をカバーしたことで、デベロッパー達はApple Watch用のフィットネス・アプリを開発しようという気にはならないかもしれない。

我々はiWatchを待っていたが、iPhone 6が実のところ、完璧なフィットネス・トラッカーになるのだ。5S同様、歩数やその他の運動を計測できる運動追跡チップが内蔵されている。新しく追加された気圧計で、距離と速度だけでなく、高度も計測できるというわけだ。

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アップルのフィットネス市場を網羅しようとする動き自体が、アップルのHealthKitのライバルであるGoogle Fitへと開発者達の興味を向かわせるかもしれない。Google FitはAndroidで上手く動作するように設計されているが、ウェブアプリやソフトの連携次第では、iPhone上でiOSアプリと連動させることもできる。

Apple Watchが市場にお目見えするまでにはまだ数ヶ月ある。ライバルや提携者たちがどんな反応を見せるかは興味深いところだ。フィットネス・トラッキング用のハードとソフトはもっと安価か、よりパワフルに、あるいはその両方を達成しなければならないだろう。今まで通りのフィットネス・ルーチンを続ける、というオプションは残されていない。

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