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ここのところデジタル写真は迷走状態にあったが、この製品はちょっと異色だ。Sonyが発表した新しい風変わりな写真デバイスは、スマートフォンをパワフルで本格的なデジタルカメラに変貌させる。

どうやって変貌させるかというと、スマートフォンの背面にイカのように絡み付くのである。

th21 sony lensOlloclipレンズのような通常のモバイル写真アクセサリーとは異なり、Sonyの新製品である「Cyber-shot DSC-QX100」と「Cyber-shot DSC-QX10」は、スマートフォン本体のカメラ機能を一切使用しない。イカのようにへばり付く目的は、スマートフォンのモバイルネットワークを利用し、端末を巨大なビューファインダーとして機能させることにある。QX10もQX100もデジタル一眼レフからレンズを切り出したような形状に見えるが、色々な意味でそれは正しい。

QX100 / QX10は一見ただのレンズのようだが、紛れもなくスタンドアローンなカメラである。ただしビューファインダーは付いていない。スマートフォンに装着して撮影した写真をそのままシェアすることができる。500ドルで販売されるQX100は、基本的にソニーの人気ハイエンド・コンパクト・カメラであるRX100 IIモデルからボディ部分をもぎ取ったものだ。250ドルのRX10はもう少しカジュアルなコンシューマーモデルであり、値段相応のセンサーを備えている。両製品とも9月25日から店頭に並ぶ予定であり、既にアマゾンでは盛大に予約販売の募集を行っている。

手軽さと品質のジレンマ

サムスンのGalaxyカメラに期待を寄せるフォトグラファーにとって、QX10 / QX100はやや風変わりではあるが、興味をそそる製品だろう。高性能なiPhoneアクセサリーのように機能するこのボディレス・カメラは、見た目こそ変わっているが、考えてみると実に優れている。

ソニーは自らの新商品をコアユーザー向けだと認めている。確かにコアユーザーでなければこんなマニアックな仕様に250ドルや500ドルも支払わないだろう。しかし、iPhoneの写真をわずか数秒で世界中にばらまけるような社会においては、手軽にプロ品質の写真を撮影してシェアしたいという願望が湧き上がっても不思議ではない。QX10 / QX100は手軽さと品質の間を上手に取り持っているのだ。

手軽さと品質を両立する方法としては、Eye-Fiワイヤレス・メモリーカードを使うのが手っ取り早くて良い方法だが、私の体験から言うとこのデバイスは控えめに言ってもバグだらけだった。賢明なフォトグラファーであれば信頼できないSDカードを使う気にはなれないだろう。サムスンのGalaxyカメラも昨年この問題に取り組んだのだが、残念なことに満足のいく画質には至らなかった。iPhoneに取り付けるタイプのふざけたレンズも数えきれないほど出ているが、そういった商品はピクセル補間機能がないし、写真に美しいボケ味を与えることもできない。

ソニーの対応力

モバイル写真の台頭とInstagramの爆発的ブームは、従来のデジタルカメラ・メーカーを大混乱に陥れた。「世界のポラロイド」とは異なり、ソニーには時代の変化に対応してきた堅実な経歴がある。カメラ・メーカーにとって、日進月歩の業界に歩調を合わせることは簡単ではない。WebやInstagramでの低解像度のアート風写真においては、スマートフォン(特にiPhone)がプロ仕様のカメラに負けなくなってきており、ここ5年間ほど業界は天地がひっくり返ったような騒ぎだ。

しかしソニーはあの手この手で対応を続けてきた。立派なセンサーと旅行に最適なスリムなボディを兼ね備えた同社のコンパクト・カメラ、RX100は世間に衝撃を与えたものだ(その素晴らしさにはプロのカメラマンも手放しで同意するだろう)。さらに、互換性のあるレンズを持つミラーレスのNEXシリーズは一貫して高い評価を獲得している。

唯一心配なのは「PlayMemories」アプリだ。私はこれまで数多くのソニー製ハードウェアを試してきたが、ソニー製ソフトウェアはあまり使ったことがない。ソニーが初期のコンパクト・カメラから学んだ教訓を生かしてくれていることを祈ろう。とにかく、ソニーはカメラに関しては一流なのだから。

ソニーのスマートフォン用ハードウェアは、市場を独占するというわけにはいかないかもしれない。しかし、写真のクオリティに対する情熱とInstagram時代の手軽なシェアリングのギャップを埋めたいと切望する写真マニアたちは、喜んでQX10 / QX100を試すことだろう。

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