Surface Pro で PC 市場の再生を図るマイクロソフト

プロスポーツの場合、「どっちつかずの選手」というのは、スター選手になれるほどに大きかったり、強かったり、速かったりするわけではない。そのような選手が良い選手になるケースもあるのだが、通常は目立たない選手として扱われるため、正しい立ち位置を見つけるのが難しく、チームで活躍させるのは難しい。

マイクロソフト のSurface Pro 3 は、まさにどっちつかずの製品である。前の機種と同様、Surface Pro 3 はタブレットとノートパソコン、つまりモバイルデバイスと PC のどちらの役割もこなせるように設計されている。Surface Pro 3 は PC に期待されるハードウェアとほとんどの機能を備えているが、形状は優雅な12インチタブレットである。Surface Pro 3 を額面価格で買ったとしたら、非常に良質なコンピューターを低価格で手に入れられることになる。ただし、Windows 8 を気に入っているとしての話だが。

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「これはノートパソコンの代わりになるタブレットだ」と、マイクロソフトの Surface 担当副社長、パノス・パネイは述べている。マイクロソフトの一従業員も、昨日私に次のように語った。「これは優雅に持ち運ぶことができるすばらしいノートパソコンだ」

しかし、Surface Pro 3 をその機能全体として評価するのは難しい。なぜなら、どっちつかずだからだ。

ここ数年の間、 一台二役のどっちつかずの製品は市場であまり成功していない。大方はその価格のためだ。世間の人々はタブレットのような外観の、タブレットのような使い心地のタブレットを欲しがっているのであり、その価格も携帯電話程度、つまり(高機能機種で)499米ドル以下であることを望んでいる。 しかしSurface Pro 3 は、一番低いグレード(4GB の RAM、64GB のストレージ、Intel Core i3 搭載)でも799米ドルだ。この時点でも通常のタブレットの価格帯に収まっておらず、8GB の RAM、512GB のストレージ、Intel Core i7を搭載した高機能機種では1949米ドルまで上がってしまう。

調査会社NPD Group の報告によれば、Bloomberg のデータを見ると9インチ以上のタブレットの売り上げが今年は12% 落ち込んでいるらしい。これは12インチの Surface Pro 3 だけでなく、Apple の9.7インチ iPad にとっても悪い兆しだ。小さいタブレットの方がより安い傾向にあり、これが市場におけるメーカーの出来高を押し上げている。Google と Amazon もこの点には気付いているようで、それぞれの主力製品は小型タブレットである。

調査会社 IDC によると、マイクロソフトのタブレットにおける2014年第1四半期のマーケットシェアは1.3% で上位5位のメーカーにも追いつけなかった。全体として、タブレットの出荷は前年に比べて3.9% 下がっており、PC は4.4% 下がっている。これはマイクロソフトのSurface Pro 戦略にとっては好ましくない傾向だ。

PC 市場の再生

マイクロソフトは皆に Surface Pro 3 をタブレットだと認識してほしいと思っているようだが、現在の価格ではターゲットは逃げてしまう。マイクロソフトはPC をタブレットの外見に押し込み、人々が「PC は決して無くなったりしない、タッチスクリーンを備えて電話がつながるようになっただけだ」と信じるまで Surface の製品ラインに取り組む事で、利益の大きいPC 市場を再生したいと思っている。

この考えは率直に言って、これまでのところ達成できていない。マイクロソフトの最終収益(この2年の Surface の在庫で10億米ドル以上の損失となっているようだ)がそれを証明している。人々は大きめのスマートフォンと、小型のタブレットを求めているのだ。PC が必要な時には手ごろなノートパソコンか、大きなモニターが付いた高機能で高価なデスクトップを購入する。市場はまだ、「PC のようにも動作する、他のタブレットよりもずっと高価な製品が欲しい」とは言っていないのである。

マイクロソフトがビジネスユーザーと企業市場に Surface を売り込むことを当てにしているのなら、その道も険しいものとなるだろう。Windows XP がどれだけ長く稼働しているかを見てもわかるように、多くの企業はシステムのアップグレードを渋っているし、Windows 8.1 にも夢中になっていない。中国政府も Windows 8 を使うことをやめてしまったくらいだ。

企業販売については、まだ楽観的な分析も残っている。J.Gold & Associates のジャック・ゴールドのコメントを取り上げよう。

価格はまだ多くの人にとって少し高いが、このユニットは企業ユーザーにとってはフル機能を備えたハイエンドデバイスに仕上がっている。彼らにとっては数百ドルのお買い得な価格よりも、このデバイスで生産性を向上できることの方がはるかに重要だ。

マイクロソフトは消費者市場のすべてを Apple と Android に譲りたいとは考えていないだろう。しかし、レドモンド式の考え方では解法は導きだせない。

マイクロソフトが頑固であることを讃えよう。年老いたマイクロソフトはただ会社が信じる道を進み、自社の製品が優れていると信じる力を持ち続けている。つまり、同社の製品はすべての人々のニーズに応えるものであり、すぐに購入しなければ皆が損をすると考えているのだ。これは正に、マイクロソフトが Xbox でやらかしたことであり、Windows Phone でも数年にわたって現在進行形で行われていることだ。Bing も恐らくこの部類に入るだろう。

時にはうまくいくこともある。Xbox は数年後、何億ドルもマーケティングに費やした後になってようやく成功した。Xbox Oneは非常に期待された製品であり、素晴らしいゲームコンソールだった(マイクロソフトによる見当違いな思い込みを特徴づける製品でもあったが)。マイクロソフトは製品を実用化に向けて磨き上げる一方で、大金を喜んでどぶに捨ててきたのだ。

Surface Pro 3 は注目に値する長所を持つ興味深いデバイスである。しかし、マイクロソフトが Surface Pro を PC と同等の価格で、しかも十分な量を売ることができると思っているとしたら、それは的外れだと言えよう。

もしもマイクロソフトが Surface を Pro 3 と同じハードウェアスペックと性能で構築し、それをノートパソコンと同等の価格帯(300米ドルから1000米ドル)で販売したら、「どっちつかず」のラベルは外れるかもしれない。しかし現状の、PC をモバイルのデザインに押し込んでノートパソコンのように売るやり方では、会社が望んでいるような流れを引き寄せられるとは思えない。

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