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米ヤフーのスタートアップ潰し

米ヤフーのスタートアップ潰し

2014.3.11 12:09 | Selena Larson | y.okada

米ヤフーは明確な目的もなく手当たり次第にスタートアップを買収し、革新的なアプリやサービスを次々と閉鎖させてしまっている。

日は巡り、ヤフーは買収を繰り返す。

先週ヤフーは、ソーシャルメディアのポスト内容をインタラクティブなインフォグラフィックや動画に変換するデータ視覚化サービスを提供するスタートアップ、Vizify のチームを買収した。

買収額は明らかになっておらず、Vizify のチームがどのようにヤフーの戦略に組み込まれるのかという点も不明だ。今のところ、完全に思いつきで買収したようにしか見えない。

しかしこれはいかにもヤフーらしいやり方だ。ヤフー CEO のマリッサ・メイヤーが2012年6月に同社の舵を取り始めてから、ヤフーは手当たり次第にスタートアップを買収し、若くて才能のあるチームを次々と獲得してきた。

2014年になってから最初の2か月で、メイヤーは既に8つの会社を買収している。その中にはモバイルデバイス用「インテリジェント・ホームスクリーン」の Aviate、モバイル・アシスタント・アプリ「Donna」を作った Incredible Labs、モバイル・マーケティング会社の Sparq、企業向けアプリケーション製作会社の Tomfoolery などが含まれている。

買収した企業のプロダクトは即終了

ヤフーは買収によって自社に新しいエネルギーを蓄える一方で、買い取ったプロダクトは軒並み終了させてしまう。これまでメイヤーに買われた38のスタートアップのうち、31までがそのサービスを閉鎖しているのだ。

同社は Vizify についてもその全プロダクトを終了させるつもりであり、ユーザーは路頭に迷うことになるだろう。Vizify は完全な払い戻しに応じており、ユーザーが速やかに解約できるようウェブサイトに手続き方法を掲載している。

Sparq の顧客も同様に犠牲となった。このスタートアップが提供していたサービスの一つにビジネス用のQRコードがあり、マーケティング資料などに印刷されたコードの多くはまだ流通しているものと思われる。しかし残念ながらそれらのQRコードは現在では無効となり、印刷された広告もヤフーの買収のおかげでただの紙クズになってしまった。

そして人気のバーチャル・アシスタントであった Donna も、ヤフーによる買収の1か月後には姿を消してしまっている。

10代の若者によって開発された文章要約アルゴリズム「Summly」は去年の3月に買収され、ヤフーはそのテクノロジーをヤフー・ニュース・ダイジェストに組み込んだ。ヤフーとタッグを組んで生まれ変わった Summly はくだらないバイラル・コンテンツで溢れ返った代物となり、結局成功しなかった。

つまり、もしスタートアップが自身のサービスを継続したいと望むのであれば、ヤフーから打診が来ても買収に応じずに事業を続けるべきなのである。

若い才能を吸収

スタートアップがヤフーに吸収されると大体休業してしまうため、顧客はたびたび取り残されてしまうし、創業者も自分たちが作り上げたプロダクトやサービスから引き離されてしまう。

老朽化した大企業は若い才能を呼び込もうと画策し、多くのスタートアップが何億ドル、何十億ドルという大金と引き換えに企業に取り込まれていった。

しかし、この流れも変わりつつあるようだ。Quartz が指摘したように、ヤフーは老舗の巨大企業という自社のイメージはもはや正しくないと考えているようなのだ。ヤフーの最高財務責任者ケン・ゴールドマンは今週、モルガン·スタンレーの投資家会議でスピーチを行い、スタートアップの人材を誘致するのは昔より簡単になったと述べた。

我々がこれまでの道のりにおいて数多くの人々を失ってきたことは間違いありません。彼らを失った理由は、様々な理由によって我々が彼らを追い出したからです。我々が会社に行って買収の話をした時、正直に言って彼らはヤフーに買収されることを望みませんでした。よって我々も彼らを買収して当社に来てもらうために、「ヤフー割増価格」を支払わなければなりませんでした。しかし今ではもうそんなことはありません。

「モバイル」戦略

メイヤーはモバイル戦略に焦点を当てており、数々の買収がその戦略に基づいたものであることは明らかだ。しかしその戦略が功を奏すかどうかは以前として不明なままである。

関連記事: ヤフーがモバイル用のアプリ・ダウンロード広告実験を開始

ヤフーはモバイルを第一優先とする企業を目指して邁進しているが、同社の大胆不敵なリーダーはもう一つの目標もあきらめていない。昔ながらの(むしろ伝統的なと言った方がいいかもしれないが)ヤフーの戦略、検索である。

関連記事:ヤフーがマイクロソフトとの提携を解消し、自社の検索技術を復活か

メイヤーはコンテキスト検索に力を入れており、この計画には Android向けランチャーアプリの「Aviate」が大きく関わっている。Aviate を使うと、モバイル端末はユーザーの習慣を学習し、適切なアプリを適切なタイミングでホーム画面に表示してくれる。例えば、ユーザーがサニーベール行きのバスに乗っていたとしたら、端末にはユーザーが何もしなくても現地の天気が表示されるようになるのだ。

あるヤフーの担当者は私に、ヤフーはコンテキスト検索こそ未来であると考えており、同社が Aviate を買収した理由はそこにあると語った。

「ユーザーの行動パターンを学習してパーソナライズ化できれば、本当に直感的に使えるようになるでしょう」とヤフーの担当者は言っている。

モバイルとコンテキスト検索の結婚は、まだハネムーン期間といった感じである。壮大なアイデアは山ほどあるが、実行できるものはほんの一握りだ。もしもヤフーが本当に同社のモバイルサービスをコンテキスト検索に上手くつなげることができれば、ヤフーがこの2年の間に行ってきた数多くの買収の一つが、ようやく実際のテクノロジーとして実を結ぶことになる。

画像提供:Hoij(Flickrより)

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