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オープンソース企業からオープンソースが消えていく理由

オープンソース企業からオープンソースが消えていく理由

2014.2.17 19:51 | Matt Asay | y.okada

ピーター・レヴァインはスタートアップ企業に対し、Red Hatを目指すのは間違いだと警告している。しかしわざわざ警告するまでもなく、そんなものを目指す企業はもう久しく存在しない。

オープンソース起業家としての経験も持つベンチャーキャピタリストのピーター・レヴァインは、Red Hatに追随しようとする試みをばかげているとして否定している。

TechCrunchに掲載された記事の中でレヴァインは、「Red Hatのような企業はもう現れない」と断言している。「勝算は薄く、これまでこの分野に挑戦してきた企業の屍がそこら中に転がっている」。

確かにその通りだが、そんなのは既に分かり切ったことだ。

Redmonkのステファン・オグレディは2006年の段階で、Red Hatのような数十億ドル規模のオープンソース企業はもう現れないだろうと論じていた。実際、本気でRed Hatの手法を真似ようとする者は久しく存在しない。例外はHortonworksくらいだろう。

「オープンソース・ビジネス」を構築するためのオープンソース・フレンドリーな手法が新たに登場するようになり、Red Hatのビジネスモデルは数ある選択肢の一つに過ぎなくなった。現在、差別化要因としてオープンソースを売りにする主要なオープンソース企業を見つけるのが事実上不可能になってしまった理由はここにあると言えるだろう。もちろんRed Hatも例外ではない。

売りはオープンソースそのものではなく付加価値にある

Red Hatは、目的ではなく手段としてのオープンソースを販売する道を貫いてきた。私は2008年に同社CEOのジム・ホワイトハーストとCTOのブライアン・スティーブンスにインタビューしたことがあるのだが、この2人はどちらもRed Hat Enterprise Linuxのサブスクリプション契約を、コスト削減やオープンソースの自由度などとは関係なく、単に利益を生み出すものだと考えていた。

Red Hatがオープンソースの真意を軽視していたというわけではない。それとはちょっとニュアンスが異なる。

2000年5月には、オープンソースはRedHat.comのウェブサイト上で一番の売り文句であった。しかし現在ではRedHatのサイト上にオープンソースの文字は見れらない。代わりにビッグデータへの言及、アンチパテント誓約、パートナー企業へのリンク、導入事例などが掲載されている。

現在のRedHatはオープンソースそのものではなく、付加価値を売り物にしているようだ。ただしクリス・アニスズクティックがツイッターで指摘したように、グーグルでRed Hatを検索すると同社がオープンソースの実績を大々的に宣伝していることが分かる。

しかし実際にウェブサイトを訪れてみると、Red Hatの業務内容は自社製品の価値を販売することであり、他の大多数のソフトウェア企業と変わりない。

消える「オープンソース」の表記

一方、Red Hatを目指していた他の企業はどうかと言えば、彼らもまたことごとくオープンソースを売り文句にするのを止めている。

2010年、SugarCRMのウェブサイトのメインページでは大々的にオープンソースが謳われていた。しかし現在では一言も言及されていない。

私の古巣であるAlfrescoはどうだろうか。2009年2月にはAlfrescoも自社のことを「企業コンテンツ管理のためのオープンソースの選択肢」だと宣言していたが、現在のホームページにその記述はない。

Drupalの会社Acquiaも(2009年のサイト現在のサイト)、そしてオープンソース・プロジェクト関連のサポートやソフトウェアを扱っている主な企業もまた同じような状況だ。

「だが、これらは本物のオープンソース企業ではないじゃないか」と思われるかもしれない。ならば、JBossはどうだろう?JBossはオープンソース企業であり、2006年の2月に志を同じくするRed Hatによって買収された。そして買収後である2008年2月にもRed HatのJBoss事業部はオープンソース・ブランドとしてJBoss.comのウェブサイトを維持していた。このウェブサイトは2012年5月にリニューアルされたが、その時点ではまだオープンソースをフィーチャーしていた。現在はどうなったのだろう?現在のJBossのホームページからは、オープンソースに関する記述は消えてしまっている。

目的ではなく手段としてのオープンソース

現在、オープンソースで相当な利益をあげている大企業はもはやわざわざ「オープンソース企業」を謳う必要などないのだ。こうした企業とは、ツイッター、フェイスブック、グーグルなどを指す。彼らは直接オープンソース・ソフトウェアを販売して小銭を稼がなくても、オープンソースに十分な貢献を行うことができる。彼らがやっていることは、上に挙げた他の大多数の企業とそれほど違わない。つまり、オープンソースの付加価値(ソフトウェアの所有権も含む)を提供しているのである。

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レヴァインの主なテーマである「オープンソースをサービスやアプライアンスモデルと結合させることで、ソフトウェア業界全体に驚異的な成果をもたらす」という論旨は既に良く知られたものだ。特に目新しい考えではなく、むしろこれがためにオープンソース企業は主な差別化要因としてオープンソースを売りにすることを数年前から止めているのである。

レヴァインの主張が正しかったのは「Red Hatのようなオープンソースのサポートを主幹事業とする企業はもう現れない」というただ一点においてのみであり、大意は間違っている。Red Hatと同等もしくはそれ以上に利益をあげる「オープンソース企業」はこれからも現れるだろう。ただしオープンソースそのものが販売対象になるわけではなく、製品価値を高めるために使われていくのだ。

レヴァインの記事を読んで驚かされたのは、未だに「次世代のRed Hatになる」ことを彼に約束してくる起業家がいるのだという点である。彼はもっと良い取引相手を探した方が良いのではないだろうか。

画像提供:Shutterstock

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