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投資家から多くの資金を集めている最近のインターネット系スタートアップ企業は、人口の1%を占める高所得者層を対象とするアプリケーションを多く生み出している。「スマートフォンでリムジン配車!」、「オンデマンド洗濯サービス!」、「デスクへハンバーガーのお届けサービス!」、「郵便物の代理開封とスキャニングサービス!」等々。

同時に、多くの新興IT企業が誕生しているサンフランシスコでは、IT業界の従業員用のオフィス行きプライベート・バスなどの特典や高騰する家賃等、社会的な格差が広がっているという懸念が持たれている。

批評家達は、これらIT企業の優秀な人々のエネルギーを、裕福な人々の生活向上よりも別の方向、例えば医療、教育、ホームレスの支援など、ずっと昔から存在している様々な問題の解決に向けるべきではないかと、疑問を投げかけている。

幸運な事にReadWriteは、意味ある社会の変化のため、優れた才能と技術力を駆使して他者を支援することに情熱をもって取り組んでいる6人の起業家を発見した。(もちろん彼等は単なる模範であり、同じ精神を持って活動しているものの、脚光を浴びることのない人々は多数存在しているはずである。)

この6人の起業家達に話を聞くことができた。モバイル・アプリ、クラウド・ファンディング、イーコマース支援システム等のような、今話題のITベンチャーを多く生みだしているトレンドを活用して、彼等はどうやってより良い社会を作ろうとしているのだろうか。

HandUp共同創設者ローズ・ブルーム

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あるとても寒い夜、HandUp共同創設者のローズ・ブルームは、薄い毛布だけを身に着けて凍えているホームレスの女性の前を通り過ぎた時、この会社を設立することを決意した。

多くの市街地において、ホームレスの増加は問題となっている。サンフランシスコでは特に顕著で、それはしばしば外部からの軽率な批判へと繋がっている。

HandUpは、ホームレスがテキスト・メッセージやオンライン・プロフィールによって寄付金を求めることのできるサービスを展開している。同社はホームレスのメンバーに、支援の方法が記載されたビジネスカードを配布する。ホームレスからカードを受け取った人々が募金を行うと、その募金はホームレス個人にクレジットという形で与えられ、Project Homeless Connectを通じて必要な商品と交換することができるのだ。ブルームとHandUpのもう一人の創設者ザック・ウイットは、ホームレスのコミュニティーだけでなく、ホームレスの実際の苦労を実感するのが難しい地域に住む支援者にも、支援の機会を与えたいと言う。

「実際に問題が起きている所から遠く離れた場所で、その問題を理解することは困難です。不快に感じることも理解できます。」とブルームは話す。「我々はホームレスの教育を支援したいと思っています。サイトには多くのホームレスが登録していますが、彼等と道ですれ違ってもホームレスとは思われないでしょう。」

試験的にサービスを開始してから最初の4ヶ月で、HandUp には100人のホームレスや住居を失う危険のあるメンバーが登録し、2万ドルもの支援金が集まった。さらにHandUpの支援の下、一家族を含む7名がホームレスを脱却し住居を確保できたのだという。

Watsi創設者チェイス・アダム

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Watsiは、発展途上国の人々が病気の治療を受けることを助けるクラウドファンディング・プラットフォームで、1,145件もの資金提供事例がある。

このサービスの創設者チェイス・アダムは、平和部隊としてコスタリカに訪れていた時にWatsiの着想を得たと語っている。「Kickstarterというマイクロファイナンス(小口金融)サービスがあるのに、ヘルスケアのクラウドファンディング・サイトがないことを不思議に思いました。」

アダムは平和部隊での経験がWatsiの創業につながったと、私に話してくれた。彼も他の創業メンバーもベンチャー企業の世界とは縁がなかったが、自身の考えをHacker Newsに投稿して以降、IT業界から多くの支援が寄せられたという。

Watsiは病院や医療組織と共同で活動している。症状がWatsiの基準を満たしていれば、患者はWatsiのプログラムを申請することができる。そして申請が承認されると、直ちに医療機関が治療を行うのだ。

平均的な治療費は約712ドルであるのに対して、募金の平均額は20ドルだ。したがって一人の患者に治療費を提供するために多くの支援者が必要になるが、Watsiは全額が集まるまで治療を待つわけではない。

「全ての患者が治療費を得ることができます。」とアダムは話す。「ヘルスケアを取り巻く環境や治療条件の厳しさを理由に、治療費提供の可否を患者に伝えることは倫理的ではありません。我々は患者に、サイト上のプロフィールの掲載を続けることを約束しています。」

Watsiは2012年8月に設立され、Y Combinator(起業のための資金調達やトレーニング等の支援を行う有名なスタートアップ・プログラム)を通じて誕生した初めての非営利組織となる。

Soko共同創設者グウェンドリン・フロイド

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Soko共同創設者グウェンドリン・フロイドは、サンフランシスコのオフィスからナイロビを行き来している。彼女はこの異なる2つの環境から、デジタル・デバイドやベンチャー企業の閉鎖的な世界を目の当たりにした。

「サンフランシスコに住みながら、様々なコミュニティーと一緒に働くことは興味深いことです。」とフロイドは話す。「この二重生活は革新的です。」

Sokoは、デジタル世界の中心からは取り残されてしまいがちな、発展途上国のハンドメイドジュエリーのメーカーと、オンラインで買い物をする人を結びつけるマーケットプレイスだ。

フロイドと2人の共同創設者(エラ・ペイノビッチとキャサリン・マフグ)は、アフガニスタンやケニアのような国々で働いた経験を持っている。発展途上国の地域社会の職人達にとってのインターネットの可能性を実感したことにより、彼女達はウェブサイトを立ち上げ、異なる地域で様々なメーカーと提携した。同社は今では300人以上の職人の作品を販売する巨大なネットワークへと成長している。

フロイドは、ナイロビにいるとサンフランシスコの起業家より遥かに少ない資金で活動できるので、ナイロビが革新の最先端の地であるように感じる時があると語った。

「職人達は、この地域で我々が対応すべき規則や技術の壁を乗り越えてモノづくりに挑んでいます。」フロイドは語っている。「二つの文化の橋渡しは、本当に面白いです。」

Prizeo創設者レオ・シーガル

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レオ・シーガルと共同創立者のブライアン・バウム、アンドレ・パンシックは、裕福な募金者のために大規模なチャリティーイベントを企画する事業を、セレブリティと共同で募金活動を進めるチャリティー・サイトへと変化させた。

Prizeoはセレブの名声とソーシャルメディアの力を活用し、当選者への特典付きチャリティーという形で世界中の人々の寄付を募っている。St. Jude Children’s Research Hospitalのために、25万ドル集めた最近の募金キャンペーンでは、募金者には抽選でマライア・キャリーのプライベート・コンサートが当たるチャンスが与えられた。

Prizeoはチャリティー団体と組んで活動しているが、団体の多くはセレブの広報担当とつながりを持っている。募金は、ツイッターやソーシャルメディアを通して集めるのだ。

2013年5月の開始以来、Prizeoはすでに300万ドルもの募金をチャリティー団体のために集めたという。それは毎日急速に増えている状況だと、シーガルは話している。

「我々がこれから始める予定のいくつかのキャンペーンでは、少なくとも100万ドルは集められるでしょう。」とシーガルは話す。

Prizeoが経験してきたように、あこがれのセレブと過ごす時間ほど、特別な体験はないだろう。俳優ウィル・フェレル、歌手ジャスティン・ビーバーそしてオリンピックの水泳選手マイケル・フェルプス等が、様々なチャリティー団体のために資金を調達し、選ばれた募金者と対面している。ちなみにシーガルが一番気に入っているのは、昨年6月に行ったサミュエル・L・ジャクソンとのキャンペーンだそうだ。

Homejoy共同創設者アドラ・チャン

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現在30以上の都市で活動しているホームクリーニング企業の共同創設者アドラ・チャンは、非営利的なHomejoy財団の設立を決めた。

チャンによれば、クリーニングを担う人達に自らの家庭を支えるという、これまでなかった機会を与える着想が、財団設立のきっかけとなった。地域社会により幸せな家庭の形をもたらすというミッションを具体化させたものが、Homejoy財団なのだ。

この組織は昨年末に設立され、他の非営利団体と共に、退役軍人と兵士の家族に対する支援活動を行っている。最近では、戦争で親を失ったティーンエージャーを対象としたキャンプへ多額の支援を行っている。今のところ、若い会社としてはかなりの規模と言える、1万5千ドルほどの支援を実施している。

しかし、地域社会のために積極的に活動しているのはチャンだけではない。(写真左。写真右は兄弟で同じくHomejoy創設者のアーロン・チャン)。Homejoyの社員達も同様にチャリティーに時間と労力を注いでいる。

例えば、プロダクト・エンジニアリング・チームのメンバーはウェブサイトの開発に手を貸し、他のチームのメンバーはそのスキルを生かして、住宅ローンの申請や家の周辺の修理をする等のボランティア活動をしている、とチャンは話している。

「従業員が非営利のサービス・プロジェクトに参加すると、チーム育成やその他色々な本業に役立つスキルを学ぶことができます。」とチャンは話す。「非営利のサービスから生れる考え方は、営利的なビジネスにも多くの面で役立つのです。」

Apps For Aptitude創設者ジョシュア・シンガー

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Photo credit: Scott Van Osdol

テキサス州サンアントニオの高校生ジョシュア・シンガーは、二人のクラスメートと共に非識字者を支援する活動を行っている。この支援活動は、普通の読み書きだけではなく、プログラミングの読み書きも対象としているのだ。

Apps for Aptitudeは、利用者の反応に合わせて変化することで、効率的に暗記する事ができるフラッシュカードiPhoneアプリを開発した。これを手始めとして、今後も学生の学力向上のためのアプリを開発していく予定だ。同団体は、アプリから得た利益を地元の非識字支援団体に寄付する予定だという。

「我々は比較的成功していたプログラミングのチュートリアルを作成してみましたが、Codeacademy(コーディング講座を無料で提供しているオンラインプラットフォーム)のような組織が使うには帯域幅が足りませんでした。」とシンガーは話す。(写真左。一緒に写っているのが共同創設者のアブヒナブ・スリとカンジ・イー)「我々はこれまでにない方法でプログラミングの学習を助けたいと思い、ハッカソン(大勢のプログラマーが特定の会場に集まり、決められた時間内に共同作業で課題を解決するイベント)を組織し始めました。」

2014年6月に予定されている3日間のハッカソンでは、テキサス中から学生が集まり、プログラミング・スキルを学ぶワークショップが行われる。

「我々は、自分達のコミュニティーをより良いものにする為にプログラミングの力を活用したいのです。」とシンガーは話す。「コミュニティーを助けるソフトウェアを作り、コミュニティーのために利益を生み出したいとも思っています。」

画像提供:全て各企業から提供

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