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ご存知だろうか?中国には世界中のどの国よりも多くのスマートフォンユーザーがいる。その差は簡単には縮まらないだろう。

欧米のデベロッパー達は中国市場を巨大なものだと認識してはいるが、それが自分達のアプリにとってどのような意味を持つかということまではあまり分かっていない。彼らはちゃんとアプリを中国向けにローカライズして販売しているだろうか?もしくは中国がこれまで行ってきた盗用の歴史が、彼らをそういった努力から遠ざけているだろうか?

この話題についてデベロッパー達と議論した結果、7つのポイントが浮かび上がってきた。

1.ローカライズは言語だけでは不十分

欧米のアプリ開発者は、彼らのプロジェクトを中国で立ち上げる際に必要なのはダイアログやテキストを中国語に翻訳することだけだと思っていることが多い。確かにそれも重要なプロセスではあるが、あくまでも準備段階に過ぎない。中国では中国独自のソーシャルネットワーク プラットフォーム用に製品をローカライズする必要があるのだ。TwitterとFacebookがブロックされているため、中国人は通常独自のソーシャルメディアである「新浪微博」や「騰訊微博」を使っている。中国で作られるアプリには、大抵これらのソーシャルメディアが組み込まれている。

中国のユーザーがあなたのアプリを使ってみて、もし彼らのソーシャルネットワークにログインできなかったり、コンテンツを友人と簡単にシェアできないようであれば、彼らはすぐにアプリを使うのを止めてしまうだろう。また、アプリを中国版のクラウドシステムに統合することも必要だ。国外のクラウドソリューションを利用しているアプリでは中国の強大なファイアーウォールに阻まれて、ネットワークに接続できなかったり重くなったりしてしまうからだ。

2.中国にもクラウドテクノロジーは存在するが、まだ簡易的なレベル

中国のアプリは現地のクラウドサービスを利用する必要があるのだが、中国のクラウドテクノロジーは欧米の開発者が親しんでいるそれと比べて何年も遅れている。マイクロソフトSkydriveの可能性を除けば、Webベースのドライブサービスは基本的に安定していない。それもこれも偉大なるファイアーウォールのおかげなのだが、アプリにストレージサービスを提供してくれる現地のパートナーを見つけることが重要課題となる。

一方で、欧米のクラウドストレージ プロバイダがいつまでも中国より優位であるとの保証は無い。多くのテクノロジー産業と同様にほんの数年で競合可能なレベルにまで追い付かれると思っていたほうがいいだろう。

3.中国ではアプリの売り上げの30%がストアによってカットされ、さらに中国政府にも徴収される

アプリ開発者が中国でアプリを販売する際、自力でアプリを配布したほうが良いのではないかと声高に訝る声が時折聞こえてくる。そうすれば中国の配布元に売り上げを分割する必要がなくなるからだ。既にアプリストアに売り上げの30%をカットされているというのに、さらに第三者に支払う理由などあるだろうか?ここで問題になるのは、中国政府もまた税金と手数料を合わせて売り上げの20%以上を徴収するという点だ。現地のパートナーが国際企業に属していれば、これらのコストを吸収することが可能となる。アップル チャイナが果たしている役割がそれに当たる。

もしデベロッパーが自力で中国市場に参入するつもりなら、あらゆる方面から徴収されるリスクを覚悟する必要があるだろう。

4.クレジットカード等、西欧で使われている決済方法は中国では一般的でない

中国はまだあらゆる面において現金ベースの社会だ。この点が、アプリストアでの購入を通じて利益を生み出すことを困難にしている。同様にGoogle Playもなかなか中国に近づくことができず、Androidアプリの収益化に苦戦している。つまり、地元でよく使われているオンライン決済(Alipay等)をアプリに組み込む必要があるというわけだ。もしくは中国の三大モバイルキャリア(China Telecom、China Unicom、China Mobile)と直接取り引きして、アプリ内の支払いを各キャリアの支払いプランと一緒に請求できるようにするのもいいだろう。国際的なデジタル決済処理のFortumoがこれらの3大キャリアと提携しており、欧米のデベロッパーのために道を開いてくれている。

Fortumo以外の同様のサービスは欧米の顧客をほとんど持っていない。そのため彼らと取引する場合は中国語で読み書きするか、もしくは地元のベンダーとコミュニケーションができるスタップを雇う必要があるだろう。

5.中国には秩序がないと思われがちだが、実は膨大な秩序が存在する

中国では知的財産著作権侵害が横行している上、低コストのAndroid携帯や何百と存在するアプリストアのイメージとも相まって、多くのデベロッパーが中国のことを野蛮で無秩序な国だと思っている。実際にはその逆だ。中国ではローカルマーケット毎にアプリの認証やQAプロセスが存在する。つまり、何百というアプリストアがそれぞれ独自の秩序を持っているのだ。アプリを売りたいストアの候補が既に決まっていて彼らとの関係を確立できるのであれば、これは大した問題ではないように思えるかもしれない。しかし、複数のストアで販売するには全てのストアに向けて、それぞれ異なった認証とQAプロセスを行う必要があるということになる。

6.目的別にアプリストアが存在する

欧米の開発者は少数のアプリストアに向けた作業に慣れてしまっている。もう一度言うが、中国では事情が異なる。まず、特定の都市や地方のためのアプリストアがある。それから、特定のターゲット層(子どものいる既婚女性等)に向けたアプリストアがある。さらに、特定の市場区分(ゲーマー、会社員等)に向けたアプリストアもある。従ってアプリに最適なストアを見つけるには、ただ人気の高いストアを選べば良いというわけにはいかない。作成するアプリの種類に基づいてストアを選択し、現在のトレンドをモニタリングし、正しいマーケットリーダーと一緒に仕事をしているかどうかを確認する必要があるのだ。

7.まだアプリを中国に配布していなかったとしても、あなたのアプリは既に中国にある

欧米や日本のアプリ開発者達は中国市場に参入することをためらっている。彼らは決まってIPの盗難や模倣に対する懸念を引き合いに出す。皮肉なことに、IPの盗難や模倣が中国で横行しているという事実は、すなわち彼らのアプリも既に中国で誰かによって公開されている可能性が高いということを意味する。世界中の有名なアプリが中国で容赦なく食い物にされるのは、悲しいが珍しいことではない。この問題に対する唯一の実現可能な解決策は、中国アプリストアのエコシステムに精通した現地パートナーと組むことだ。そうすれば違法なアプリは取り下げられ、オフィシャルなものに置き換えられることだろう。

編集部注:この記事は、ゲストライターのDominique氏(Kii株式会社中国担当副社長)によって執筆されました。

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