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米新聞大手ニューヨーク・タイムズは、HTML5を使って構築された新しいレスポンシブWebアプリを公開した。デジタル版の購読者はこのWebアプリの機能の1つ「Today’s Paper」にタブレットやデスクトップパソコンのブラウザからアクセスし、印刷版の新聞紙面とほぼ同じレイアウトの記事を閲覧することができる。

問題なのはこの「Today’s Paper」がレスポンシブWebデザインの利点をうまく活かせていないことだろう。レスポンシブWebデザインのコンセプトは、異なるスクリーンサイズを持つ様々なデバイスに対応したウェブサイトを1つのHTMLで開発することが可能という点だ。

「Today’s Paper」は、Chrome、Safari、Internet Explorerを含むタブレットやデスクトップパソコンのブラウザに対応している。しかしタブレット用のFirefoxやOpera、あるいはChromeを採用していないデバイスでは、純正のAndroidブラウザに対応していない。またKindle FireのSilkブラウザも対象外で、スマートフォンへの最適化もなされていない。

このニューヨーク・タイムズの新しいWebアプリは、アップル、グーグル、マイクロソフトの3大ブラウザには対応しているが、HTML5でのレスポンシブWebデザイン採用による利点を活かせておらず、FirefoxやSilk、スマートフォンへの最適化ができていない状態なのだ。

Webアプリには印刷版のニューヨーク・タイムズの全ての紙面と写真、一部ビデオが含まれている。デジタル版の購読者は一週間分の紙面にアクセスでき、オフラインでそれらを閲覧することも可能だ。

「試験的なWebアプリを公開してすぐ、「Today’s Paper」が最も人気のある機能の1つであることが分かった。」ニューヨーク・タイムズのデジタルプロダクト部門の上席副社長、デニーズ・ウォレンはプレスリリースで述べている。「この新しい閲覧体験は、斬新で魅力的なデジタルプロダクト開発プロセスの次のステップで、購読者はこれまでとは全く異なる革新的な方法で我々のコンテンツに触れることができるのだ。」

「Today’s Paper」は、9月以来ずっとベータ版のままだったニューヨーク・タイムズのiPad版Webアプリに取って代わることとなる。

デジタル版の購読者へ向けたレスポンシブWebアプリの提供は、Boston Globe(ボストンにおいて最大の発行部数を誇る日刊新聞)が2011年に行った、デジタル版購読者へのレスポンシブ版のリリースによく似ている。BostonGlobe.com(Boston.comの補完サイト)は、米国においてHTML5により構築された単独のウェブサイトでレスポンシブ版をリリースした、初めての主要な新聞の1つとして知られている。またイギリスのフィナンシャル・タイムズは数年前、アップルのApp Storeにアプリを出すことを回避するためにウェブ・ベースのHTML5レスポンシブWebサイトへの移行を決断したことで有名だ。

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