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Bluetoothビーコンは低電力の電波を使用し、位置情報やその他のデータを近くの端末に通知するものだ。しかし、その情報はかなり複雑になっている。グーグルがサポートするEddystoneと呼ばれる最新規格により、こうした状況は改善されるかもしれない。

Eddystoneは、本質的に複数のフォーマットの集合体と言える。データ通信規格を満たしたもので、ビーコン通信をよりシンプルにすることを目的としている。

これでビーコンが直面する問題すべてが解決されるわけではないだろう。—マット・アセイが指摘するように、多くの問題は技術面というよりビジネスに関連しているからだ。しかしEddystoneによってビーコン利用に関する障壁を解決できるケースも存在することは確かだ。

開発者の希望となるビーコン

クアルコムが分社化したGimbalという企業が、ハードウェア、ソフトウェア、サービス、規格を独自に提供しているように、ビーコン業界では企業間での互換性が見られていない。アップルも独自のiBeacon規格を有しており、iOS端末でしかビーコンが使用できないようになっている。

この場合、次のような状況であればビーコンはその機能を発揮する。Macy’sのように、小売チェーンが店舗にビーコンをインストールし、専用アプリを開発する。そしてこのアプリで店舗のビーコンと通信させるといったケースだ。このとき、ビーコンから発信されるデータ、使用ルール、周辺のセキュリティなどは小売業者の自社開発者のみが理解していればよい。

ビーコンで得た位置情報を、ユーザーのプライバシーを保護すると同時に幅広い開発企業で活用したい場合、こうした企業間で互換性を有しないシステムは、成り立たなくなってしまう。そして小売業者や店舗経営者は、ビーコンが発信するデータの仕様を独自のものとし、企業はそれぞれに合うアプリを一から開発することになってしまうのだ。

ビーコンがオープン・プラットフォームになったとき、この状況がどうなるか考えてほしい。

オープン・プラットフォームの必要性を痛感したのはサウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)という大規模イベントに参加したときだ。技術会議の公式アプリとタイアップしたビーコンが実験的に使用されていた。同じパネルに向かう近くの会議参加者を探す、などといった機能はおもしろかったが、イベントを開催しているSXSWのアプリでなければ利用できなかった。もしもSXSWがコミュニティに参加を呼びかけていたら、—ビーコンの仕様を公開し他社も何か開発していたら、ビーコンのおもしろさは大幅に増していただろう。Eddysotneによって改善されるのはこのようなケースである。

「私はEddystoneのビジョンを明確に持っていました。しばらく深く携わっていたものですから。これは1、2人といった規模で完結するエコシステムではないのです」。Eddystone開発を手がけたグーグルのプロダクトマネージャー、マシュー・キューリック氏がそのように語ってくれた。「皆さんのアプリにビーコンを展開することを専門とした人々が存在する。これは他と比べて興味深いエコシステムです。だからグーグルは、データ構造のさまざまなレイヤでツールとサービスを提供しようとしているのです」。

多様なツール

このレイヤには アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)が含まれる。これによりアプリ開発者はビーコンと位置情報をひも付けすることができたり(Proximity Beacon API)、バスの停留所や美術館などで近くのビーコンからデータを抽出することができる(Nearby API)。また、実際に複数のビーコンを展開する企業向けの管理ツールもある。

グーグルが創り出しているのはダッシュボードと言われる複数の情報源からデータを集め、概要をまとめて一覧表示する機能やその他のビーコン展開のための管理サービスではありません。キューリック氏は語る。—これは増加の一途をたどる、この分野のスタートアップにとって喜ばしいニュースだ。テクノロジー企業大手、グーグルは、Eddystoneフォーマットによって、企業がモール、スタジアム、美術館といった公共施設に大規模ビーコンを設定・維持する作業を単純化できる手助けをしたいと考えている。特にEddystoneの遠隔フォーマットにより低充電状態やその他ハードウェアがうまく機能しない際などの問題をビーコンが発信することが例に挙げられる。

EddystoneではEphemeral IDが提供される。IDは暗号化され、認証済みクライアント以外での使用を不可とし、頻繁にIDを変更することで個人情報の漏洩リスクを軽減する。これが広く採用されると、ビーコンの個人情報に関する懸念のうちいくつかを緩和できると見られている。

グーグルはBluvision、Estimote、Kontakt.ioといったEddystoneのサポートを検討しているビーコン製造企業とパートナーシップを結んでいる(公示情報:Kontakt.ioは最近、ReadWriteの親会社、Wearable Worldが経営し、起業支援を行うWearable World Labsに参加した。Wearable WorldはWearable World Labsの株主である)。

パートナーシップを結んでいない企業で大きな存在感を示しているのは、大手ビーコン製造企業でアップルストアなどの小売業者にデバイスを展開しているGimbalである。キューリックによるとグーグルとGimbal間でEddystoneに関する話はないということだ。Gimbalのスポークスパーソンにコメントを求めたが直接的な返答はなかった。

アップルはグーグルがサポートする最新技術に対し敵意をむき出してくるだろう。グーグルとEddystoneパートナーに対抗した、アップルとGimbalのラインアップが見られる日が来るかもしれない。ビーコンは結局のところ、スマートフォンとモバイルアプリをうまく機能させるシステムであるから、両社が対抗すれば残念である。オープンフォーマットの台頭が与える影響は広範囲にわたっている。

画像提供:Intel Free Press

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