サムスンとアップルは、モバイル産業市場を2社で独占し、過去最高の利益を上げている。

結構な話に思えるが、そうではない。両社の株価はここしばらく下落を続けている。両社の劇的な成長は、逆に将来のモバイル市場全体の衰退を暗示していると見られているのだ。しかしアナリスト達は、モバイル市場の両雄を評価するにあたり、コンピューター業界の歴史を思い出したほうがいいかもしれない。

マイクロソフトPCでの経験を指標にすると、新しい市場を支配することは結局、数十年間にわたる莫大な収益を生み出すことになるのだ。

ウォール街は目先のことしか見ていない

サムスンは、今四半期の収入499億ドルのうち、営業利益は83億ドルだとする報告を出した。2012年第二四半期の64億ドルよりもアップしている。この数値は8%の継続的な成長を示しているが、アナリスト達の予測より6~8%ほど不足している。このせいで、アナリスト達はスマートフォン市場が停滞しているのではないかと恐れているのだ。IDCの記録によれば、前四半期のスマートフォン出荷台数は3160万台で、前年比わずか12%増であった。これは、2004年以来最低の成長率となる。

極めてまずい事態だ。

どのくらいまずいかといと、アップルの株価を去年より30.5%も急落させるほどにまずい。

Screen Shot 2013-07-10 at 9.49.50 AM_0サムスンの株価も同様で、成長率の減速を示す業績予想を発表した後、散々な結果となっている。

Strategy AnalyticsのエグゼクティブディレクターであるNeil Mawston氏は、「アップルはiPhoneの衰退に苦しみ、サムスンはGalaxyの衰退に苦しんでいる」と断定している

しかし、本当に「衰退」しているのだろうか?

現在の支配=この先数十年間の収益

例えば、iPhoneユーザーが価値を見出しているのはアップル社自体だと考えてみよう。一度iOSの虜になったユーザーは、iPadやMacBookといった他のアップル製品にも手を出しやすくなる傾向がある

アップル独自のApp Storeに囲われているため、彼らが気軽に購入するアプリの価格のうち30%がアップルに支払われる。Asymcoによれば、iTunesでも1人あたり年間約40ドル分のメディアを購入しているという。

これは決して少なくない金額だが、スマートフォンだけの成長率に固執するウォール街のアナリスト達には完全に忘れられているようだ。

iTunesアカウントの成長についても掘り下げてみると、数字はもっと良くなる。Asymcoによると、iTunesのアカウントは2007年から2009年にかけて倍増しており、その後も2010年、2011年、その後の18ヶ月と倍増し続けているのだ。

Source: Asymco
Source: Asymco

1アカウントあたりの平均収入は同じ期間の中で99ドルから44ドルに減少しているが、これは、ユーザー層が熱狂的なアーリー アダプターから一般層へと推移したと考えれば当然である。
App StoreやiTunesのアカウントはアップル製品の購入にも繋がるため、デバイスのコストも妥当と言えるだろう。Asymcoの分析では、平均的なアップルユーザーはアップル社にとって一人あたり約300ドルの価値があるという。

さて、もしもアップル(またはサムスン)が既存の顧客を対象とした別のサービスを考え付いたとしたら、一体どうなるだろう?数十年にわたってぼろ儲けするに違いない。

マイクロソフトに学ぶ

マイクロソフトの例を見てみよう。マイクロソフトはかつてPC市場の90%を支配して利益を生み出し続けた。マイクロソフトWindowsの専売によって、マイクロソフトOfficeの収益は数十億ドルに達し、SharePointやWindows Server、SQL Serverその他の製品で、企業向けソフトウェア市場においても成功を収めた。

前にも述べたとおり、収入はマーケットシェア次第なのだ。グーグル(またはサムスン)が、短期的な利益を犠牲にしてでもマーケットシェアを支配することに注力したことは賢明である。従って、サムスンやアップルがモバイル市場を支配し続ける限り、成長率は問題にならない。彼らは、今後数十年にわたって投資家に莫大な利益を提供する準備をしているのだから。

ウォール街のアナリスト達はスマートフォンの成長率に固執するあまり、モバイル市場全体を見渡す長期的な視点に欠けているように思える。デバイスの売り上げは確かに重要だが、それは短期的な収益を生むからだけではない。プラットフォームに依存した長期的な追加収入を約束するからなのだ。

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