マーク・ザッカーバーグはグレーのTシャツばかり着ている。それは別にメディア対策部が、アルバート・アインシュタインやスティーブ・ジョブスのようなビジョンを持った人物をまねて、お決まりのファッションでキメるべき、と提案したからではない。物語の中にしか存在しないような陰鬱な色(1984年の灰色とでも言おうか)を着ているのは、彼が本当に多忙で、気にしている暇がないから、というわけでもない。英語で行われた初の公的質問会でのザッカーバーグの発言によると、洋服ダンスがグレーに染まっているのは、むしろ彼が気にかけた結果、ということらしい。

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「私は、コミュニティに奉仕すること以外の決断をできる限り減らすために、生活はシンプルにしておきたいのです」と、先週木曜日にメンローパークにあるフェイスブックキャンパスのタウンホールで、ザッカーバーグは聴衆に話した。「私は、毎日朝起きて十億人以上の人々に奉仕することができると言う本当にラッキーな立場にいます。もしエネルギーを他の物に使ってしまったら、仕事がおろそかになるような気がするのです」。他の物、というのは例えば「服の色」に違いない。

ザッカーバーグもソイレントしか口にしていないのだろうか?相当の時間が節約可能だ!制服には宇宙飛行士用のオムツも含まれていて、いつでもどこでも「できる」ようになっているのだろうか?あと、奉仕している「コミュニティ」と言うのは「資本主義」の意味だろうか?

真実は必ず明らかに

シリコンバレーの真実は、アインシュタインの一般相対性理論のように、相対的だ。

雇用体系やプライバシー保護、「カスタマーサービス」に関して心許ない、数百万ドル企業を運営することは、聖職者の使命でも崇高な努力でもない。ザッカーバーグはマザー・テレサとは違う。国境なき医師団は人類に奉仕している。教師達や消防士も人類に奉仕している。株主のために価値を創造する、というのも自分自身が最大の株主である場合、なかなか滅私奉公とは言いにくい。

それでもなお、「善行の人」というシリコンバレーで今一番人気のマーケティング・ツールは、彼のメディア向け人格のあらゆる面に浸透しきっている。理由は明らかだ。公的慈善行為は、単なる節税行為以上の意味を持つようになるからだ。例えば、「エボラ根絶」を掲げて、ちょっと自宅のソファの隙間を探すだけで大金を用意できる億万長者のCEOが行う場合には。

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それは彼が「コミュニティ」を(何度か痛い目にあっていたとしても)気にかけている、という意思表示になるのだ。株主達にとっても良いことになる。少なくとも、約1名にとっては。つまり、最近ゲイとトランスジェンダーに対するフェイスブックのサポートを差し置いて懸念を表明し、その政治活動委員会(PAC)が「創業以来、寄附金の41%をLGBTの人権に反対する政治家に寄附してきた」ある人物のことだ。

誰も信用するな

フェイスブックの偽善が世間の好意的な見方を失わせるのではないか、という株主の懸念は、4月のフェイスブックの証券取引委員への報告に記されている。そこには、いかにPACの寄附の30%が「温室効果ガスの規制緩和に賛成した政治家」に行ってしまったかを示す記述も含まれている。報告に述べられているように「フェイスブックの環境に対する公的なサポートにも関わらず」である。

この地球で一番の金持ちの一人でありながら善人として通そうとしているザッカーバーグは、歴史上最も壮大な人格詐称のケースだ。何もフェイスブックを退会するべきだと言っているのではない。だが、彼のサービスを利用するからと言って、彼の全てを信用する必要はない、ということだ。

トップ画像提供:Facebook

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