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写真:アップルの協同設立者スティーブ・ジョブズ、最後の出席となったMacworld2008にて。

かつての一大カンファレンスであり、WIREDマガジンの発刊やiPhoneの発表を行ったMacworldエキスポは、その30周年を迎える事はないだろう。

IDGワールドエキスポ、そのイベント企画者であるSix Colorsのジェイソン・スネルが述べるところによると、Macworldは「休止する」ということだ。この休止は、ひょっとするとずっと続くものになるかもしれない(IDGは最近印刷版のMacworldを休刊したが、スネルは以前そこの編集長だった)。

Peter Kafka (@pkafka):「6年前に影響力を失ったものが休止する事に『展示会の休止でMacworldの開催も終了か』」

2009年、当時のアップルCEOスティーブ・ジョブズが病に蝕まれ、初めて基本方針演説をしなかった。Macworldはそれ以来ひん死の状態にあった。

当時、アップルの動きはショッキングなものだった。Macworld、特に1月のサンフランシスコでのイベントは、アップルの大規模な新製品発表の場所だった。2007年、ジョブズはMacworldのステージでiPhoneとApple TVの両製品を発表した。その一年後には、かれはMacBook Airをマニラ紙の封筒の中から取り出してみせた。

では、何がMacworldの幕を引いたのか?

当時のアップルの見解とは、ジョブズに理由があるとするものだった。管理マニアとして有名なジョブズは、イベントの開催時期から報道関係者の招待に至るまで、彼がコントロールできないことをひどく嫌っていたということだ。

新たなサプライチェーンの登場

アップルの撤退時期を振り返ってみると、何か他の、もっと大きな力が働いていたように思えてならない。

MacworldやCESのような大規模展示会が1月に行われる理由は、どの製品を仕入れるべきか決断する時間を必要としていた小売バイヤー達にあった。彼らが発注したら、アップルの様な企業は1年の間に製造、出荷し、製品は年末商戦に間に合うように到着する、というわけだ。

ジャストインタイム製造システムと、ここ15年ほどで勃興してきたアジアの素晴らしく効率的なサプライチェーンが、そのスケジュールに終止符を打った。加えて、アップルの安定して成長する小売チェーンと、新製品が発表されるとほぼ同時に事前予約する事が可能なオンライン店舗の登場により、アップルは1月の発表会イベントの必要性を失ってしまったのだ。

消費者を何カ月も待たせつつ、現行モデルを買うのを辞めさせ、ライバルが機能をコピーし、値段競争を仕掛けさせる時間は必要とはされないのだ。

2008年が、アップルがiPhone関連の告知(それも単なるデバイス・ソフトウェアのアップデート)をMacworldで行った最後の年となった。3GSと4GはアップルのWorldwide Developers Conferenceでデビューを果たし、4Sからは全てのiPhoneが9月か10月のイベントでデビューする事となった。その時以来、事前予約が可能になり、出荷もすぐ行われるようになった。

中間業者(Macworldに限らず、全ての中間業者)を切り捨てるというジョブズの夢は、何十年も前からあった。1980年代にMacが最初に発売された時、彼はコンピューターを工場から購入者へと直接出荷したかったのだ。30年後、ジョブズの予見した効率的で、消費者に直接届く流通は現実のものとなった。Macworldはその道程の犠牲者の一つに過ぎない。

画像提供:Dan Farber

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