マイクロソフトが新しいSurfaceタブレットでやらかした勘違い

マイクロソフトがWindows 8版Surfaceタブレットのアップデートを発表した。Surface Pro 2とSurface 2だ。より薄く、明るく、パワフルに、高速になっている。依然として、デバイスのパワーとスピードが重要なポイントとなっているようだ。

これがマイクロソフトの、そしてSurface 2シリーズの最大の問題点なのである。

マイクロソフトが宣伝したかったこと

Surface Pro 2はIntelの新しいx86 HaswellチップにWindows 8.1を搭載した、タブレットとラップトップの完全なハイブリッドである。バッテリーの寿命は初代Surface Proに比べて75%長くなった。デバイスはUSB 3.0ポートをサポートしている。マイクロソフトはタブレットを立てておくためのキックスタンドを改良したことも宣伝しておきたいだろう(今回は角度を2段階に設定できる)。64GB Surface Pro 2の最低価格は899ドルで、アメリカでは10月22日に発売が開始される。

surface_stage一方Surface 2は、今年初めにマイクロソフトに10億ドル近い償却を余儀なくさせたタブレット、Surface RTの後継である。Surface 2はARMベースのNVIDIA Tegra 4プロセッサを搭載し、マルチタスク機能が向上した。さらに無料で製品版のOfficeスイートが付いてくる。Surface 2の最低価格は449ドルで、こちらも10月22日に発売開始だ。

Surface 2、Surface Pro 2の予約注文は9月24日に開始された。

マイクロソフトは初代Surface RTも最低価格を349ドルにして販売を継続する。昨年の発表以来RTタブレットが全然売れていないことを考えると、在庫を処分するために販売を継続するのだと考えざるを得ない。

Surface Pro 2はプロフェッショナル向けだ。マイクロソフトはこの製品を、ラップトップに換わるものとして宣伝している。RAMは4GBと8GBのものがあり、大抵のラップトップと同様の処理能力を備えている(参考までに、最新のMacBook AirのRAMは8GBだ)。

「この商品にはマイクロソフトのすべてが詰まっている」
マイクロソフト Surface部門の副社長、パノス・パナイはニューヨークで開催された発表イベントでこのように述べた。

「パワーが売り」は的外れ

長年の習慣に従って、マイクロソフトは新商品のパワーとスピードに焦点を当てている。パナイはイベントの間ずっと、RED HDカメラで撮影した超高解像度な生映像をSurface Pro 2で流し、Surface Pro 2がどんなデータも扱えることを誇示していた。

彼はまた、(ほとんどがMacBookを使っている)記者団を皮肉って、Surface Pro 2は市場に出回っている95%のラップトップよりも高速だと言った。つまりマイクロソフトのタブレットはアップルのiPadやラップトップよりも高性能だと言ったのである。

panos_surface_1「これがパワーだ」とパナイは続ける。「完全なPCのパワーをタブレットにしたのがこの製品だ」

今回のタブレットは初代Surface Proと違ってデバイスが熱くなったりせず、音も静かだ。マイクロソフトによれば、10.6インチスクリーン(解像度1920×1080)のカラー精度は46%向上した。キーボードが着脱可能な新しいPower Coverはどちらのタブレットにも装着可能だ。このカバーを付けるとデバイスのバッテリー寿命を50%伸ばすことができる。

マイクロソフトの名誉のために言っておくが、同社はSurfaceタブレットという全く新しいタイプのデバイスを生み出し、Windows 8デバイスのエコシステムを一般に広めてきた。しかし、Surface 2とSurface Pro 2のハードウェアスペックに焦点を絞ったのは間違いなのである。

マイクロソフトは何を伝えるべきだったのか

大抵のコンピューターユーザーはRAMが何であり、コンピューターをどう動かしているかという一般的な概念は持っている。ただし彼らは、NVIDIA、サムスン、クアルコムのようなメーカーが作るARMチップとIntelのx86チップの違いについてはほとんど理解していない。そういった状況のなか、マイクロソフトは二つの新しいSurface商品を、パワーとスピードという二つのキーワードで売り込んだ。

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マイクロソフト Surface用のType Cover 2

マイクロソフトのメッセージは、パワーとスピードこそが特徴だ、となっている。最近の風潮からすると、消費者がパフォーマンスの詳細そのものに主な関心を寄せているとは到底思えない。

先週の技術分野における最大のトピックはiPhone 5SでもiPhone 5Cでもなかった。話題の中心はハードウェアではなく、iOS7であった。なぜか?アップルデバイスを使っているほとんどすべての人が最新バージョンのOSを使い始めたからだ。新OSの影響を受ける人々の数は、新しいゴールドバージョンのiPhone 5Sを探している人よりもはるかに多い。

アップルとマイクロソフトの違いは、アップルがiOSを、誰もが知っていて関心を持つものに仕立て上げたことだ。Surface Pro 2やSurface 2がいかにパワフルであろうが、人々がWindows 8に関心を持たなければ何の意味もないのである。そして人々がWindows 8にも、それがどんなふうに生活を良くしてくれるのかにも興味を持たない限り、Surfaceシリーズはマイクロソフトの大失敗作であり続けるだろう。マイクロソフトがデバイスとサービスの企業に転換したことをどれだけ長く語ろうとも無駄なのである。

(追記:日本では10月25日に両端末の発売が開始される。価格はSurface Pro 2が99,800円から、Surface 2が44,800円から)

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