Twitterのスパム問題はなぜ悪化したのか
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Twitterが株式公開に向けて準備を進めており、サービスの成長が同社の最優先事項となっている。このショート・メッセージ・サービスはビジネスの主軸であるモバイルアプリを改良し、ユーザーがもっとTwitter利用に時間を割くよう仕向ける方法を探っている。

しかし、この成長に向けた努力は、長年Twitterを悩ませてきたスパム業者への脆弱性を招いてしまっているのかもしれない。

スパムは内部からやってくる

Twitterの成長に向けた努力の一つとして、「@MagicRecs」が挙げられる。この機能はユーザーに対して個別にフォローを提案するもので、最近ニューヨーク・タイムズから賞賛されていた。もしかしたらこの記事がスパム業者をおびき寄せてしまった可能性もあるのだが。

@MagicRecsは各ユーザーにプライベート・メッセージを送り、ユーザーがフォローしているアカウントからフォローされているアカウントを紹介するというものだ。私は大勢のジャーナリストやTwitterの従業員をフォローしているので、この機能は実にありがたい。有名人(例えばミュージシャンのプリンスとか)がTwitterデビューしたことがすぐに分かるからだ。

今朝私は、@DropboxOffersをフォローするように勧められた。このアカウントをフォローしてリツイートすると、オンライン・ストレージ・サービスで数ギガバイトの追加容量がもらえるらしい。最初私は、Dropboxに関するニュースを追うためにもこのアカウントをフォローしようと思った。「同業者のTechCrunchもAllThingsDもこのアカウントをフォローしている。Twitterの従業員たちもフォローしている。よし、ちゃんとしたアカウントだな!」

これがいわゆる社会的証明というやつだ。友達がみんなフォローしているアカウントなら、ついフォローしたくなってしまうのが人情というものだろう。これが@MagicRecsの魔法なのである。

しかし私の中に疑念が湧き上がった。そして思った通り、すぐにDropboxがそのアカウントは偽物だと発表したのである。

DropboxOffersというアカウントは偽物です。関わらないようにしてください。
DropboxOffersというアカウントは偽物です。関わらないようにしてください。

スパム業者が最初から@MagicRecsを悪用しようとしていたのかどうかは分からない。ほとんどのユーザーにとって、無料ストレージの提供はそれだけで十分魅力的だろう。しかしそのアカウントをフォローしていた何人か(技術業界の情報通やTwitterの関係者など、スパムにはおよそひっかかりそうもない人々)は、@MagicRecsに勧められたせいでアカウントをフォローしたのだと確認できた。

@DropboxOffers アカウントは、マルウェアへのリンクをツイートしていたわけではなかった。おそらくユーザーにアカウントのフォローを促し、その時点でDropboxの追加ストレージを提供すると見せかけて、ユーザーに危険なウェブサイトへのリンクを送りつけるのが狙いだったのだろう。Dropboxの公式アカウントからの発表があった時点で偽アカウントはまだ生きており、9,800人を超えるフォロワーが付いていた。

危険な実験

@MagicRecsはまだ実験段階とはいえ、TwitterのCEOであるDick Costolo氏の明確な認可を得たプロジェクトである。

@MagicRecsアカウントは我々のチームによる自信作です。ぜひフォローしてください!
@MagicRecsアカウントは我々のチームによる自信作です。ぜひフォローしてください!

我々はここから何を学ぶべきだろうか?

Twitterはスパムとの戦いにかなりのリソースを割いている。そのおかげで、ツイート内容にユーザー名を含むメンションを行ってユーザーに危険なリンクをクリックさせようとするような、典型的なスパムツイートの大部分は回避できている。しかしCharlie Warzel氏がBuzzFeed上で指摘したように、最近のスパム業者はユーザーを釣るために、Twitterのもっと目立たない機能(例えば「リスト」)を使い始めている

間の悪いことに、Twitterは今リソースの大部分をサービスの成長に向けてしまっている。新しいアカウントをフォローし、彼らと交流するようユーザーを奨励しようとしている。こういった努力は必然的にスパム業者が活動しやすい環境を作り出してしまうのである。

私は@MagicRecsが無くなってしまうのはいやだ。@MagicRecsは楽しいし役に立つ。私がまだ知らない出来事をツイートのタイトルに入れているような、情報価値のあるユーザーを教えてくれるからだ。しかしおそらくTwitterは、そのアルゴリズムがアカウントの正当性を厳しく吟味できるようになるまでの間、@MagicRecsを自制する方法を見つける必要があるだろう。@DropboxOffersはつい最近作成されたアカウントだ。これは危険な兆候である。しかし、Twitterを初めたばかりの有名人もまた同様に実績が乏しい。簡単には解決できない問題なのである。

スパムは常にそばにいる

グーグルが何年もかけて自動ターゲティング広告のツールを獲得したように、チャンスを伺っている連中は利口で適応性がある。彼らは便乗しようと狙っている会社の一挙手一投足に合わせて自らの手口を最適化するための技術を持っているのだ。スパム問題は間違いなく、Twitterが自身の株主に開示を強いられるリスクになることだろう。

言うほど簡単には答えが出ないだろうが、Twitterはスパムとの戦いに最善を尽くす必要がある。それは、@MagicRecsのような試みや、初心者を混乱させるようなサービスの改善につながる道を損なうことなく行われなければならない。

長期的に考えれば、スパムと戦うこととサービスを成長させることの間には何の矛盾もない。スパムはユーザーをうんざりさせ、サービスから離れさせてしまうからだ。しかし短期的な見方をすれば、Twitterは、自らがうっかり生み出してしまった問題を解決するために相当利口になる必要がある。

追記:Costolo氏は@MagicRecsのチームがこの問題を解決したと言っている。

@MagicRecsのチームは個別推奨エンジンのチューニングを行いました。既に適用済みです。
@MagicRecsのチームは個別推奨エンジンのチューニングを行いました。既に適用済みです。
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