1960年の創業から57年、いまや200を超えるネットサービスを展開する一大IT企業へと成長を遂げたリクルート。そのリクルートグループにおいて、IT・ネットマーケティング分野からビジネスを支えているのがリクルートテクノロジーズだ。

今回は同社の中でも、グループ全体で共有する基幹系システムの開発・運用をメインに手掛ける共通基幹システム部の会計・Neoシステムグループ グループマネジャーの長谷川正毅(はせがわ・まさき)氏にインタビューを実施。現在のリクルートを支える基幹系システムの立ち上げに関わり、その後30年にわたって事業の拡大・成長にシステムを都度適応させてきた長谷川氏は、「次世代の基幹系システムを描ける人材を育成することがリクルートで自分が果たす最後の役割」という。いくつものインターフェースを持ち巨大化したレガシーシステムを、ビジネスに柔軟かつ迅速に対応できるIT基盤へどう進化させるのか。その進化の旗振り役となる人材をどう育てるのか? 多くの企業が抱えるであろうこのテーマに対し、リクルートはどのような“次世代”を作り上げる気でいるのだろうか。

今回は、リクルートで30年を超えるキャリアを築き、リクルート全体の成長を土台となる部分で支えてきた長谷川氏の、仕事に対するスタンスやキャリア観にも触れながら、次世代の基幹系システム人材の育成にかける想いについて伺った。

 

“飽きない”リクルートの理由とは

-まずは、長谷川さんのこれまでのキャリアと現在取り組まれていることを教えてください。

ITソリューション統括部 共通基幹システム部 会計・Neoシステムグループ グループマネジャー 長谷川 正毅(はせがわ まさき)氏

 

私がリクルートに入社したのは1986年、当時の新規ビジネスの一つであったコンピュータリソースの提供ビジネスに興味を持ち入社しました。その後、社内SEとして数年働いた後、基幹系システムの構築プロジェクトが立ち上がり参画。そこで構築したシステムが今のリクルートを支える基幹系システムとなっています。

プロジェクトがカットオーバーした後は、基幹系以外のさまざまな社内システムにマネジメントとして関わっていましたが、一周まわって2009年に現在のポジションに戻ってきましたね。現在は、共通基幹システム部の中でも会計と運用を担うグループのマネジメントをしています。

 

-86年入社ということは今年で31年目になるということですよね。リクルートといえば人材輩出企業、卒業生が若くして起業、といったイメージがありました。単刀直入に聞きますが、長谷川さんがリクルートで過ごす30年間を選んだ理由はなんですか?

一言でいうと、“飽きなかった”からですね。私は自分のことを飽き性だと思っていますが、仕事に関してはまったく飽きなかったんです。それこそ同僚とフラットに「いつ辞めるか」なんて話もしていましたし、「長く働きたい」と思い続けていたわけでもない。3年くらいで転職するだろうとすら思っていました。それでも辞めずに今ここにいる理由を思い返すと、やりたいことが常にあったことが大きいのかなと思います。

やりたいことを自主的に探していたこともありますが、見渡すと周りの誰かも必ず面白い何かを考えているんですよ。新たなやりたいことを誰かが見つけて、気付けばそのやりたいことが自分のやりたいことになっている、なんてことも往々にしてありました。次々に現れる“やりたいこと”をやっていたら30年経っていた、という感じですね(笑)。

 

-やりたいことが常にある状態ってなかなか実現しづらいと思うのですが、そのモチベーションは一体どこから来ているのでしょうか?

自分自身の性格も多少関係あると思いますが、周りの環境も大きいと思います。会社自体が新たなチャレンジや変化、自ら考えて行動することを強く求めますし、ボトムアップの文化が根付いているので「やりたい」を実現させる後押しもあります。それは30年前も今も変わりません。

また、特に基幹系システムを担当する我々に言えることですが、グループ全体の経営戦略に直結するシステムの開発を超上流の課題設定や状況分析、手法の検討から行えることもモチベーションになっていると感じます。様々なビジネスドメインを持ち、各事業の勝手も違うなかで、それらすべてを総括し、共通する基盤を作りだすというプロセスは、難易度も相当に高いのですが、その分、力の見せどころでもあり、グループメンバーと共に1つずつクリアして築き上げていく工程が楽しいです。

 

守るだけが業務じゃない! 基幹系システム人材こそ“生き生き”すべし

-長谷川さんが率いている共通基幹システム部では、現在どのようなプロジェクトに取り組んでいますか?

現在、部全体としては、主に基幹系システムに連なるアプリケーション基盤を刷新するプロジェクトに取り組んでいます。「現行の基幹系システムとどう向き合っていくのか」というテーマはずっとあったものの、目の前の経営課題への対応が続き、ずっと潜在化した状態でした。しかし、私のような開発当時の背景を知る者が限られるようになった今、「次世代の基幹系システム構築」に向けて、現行のシステムを細部まで開き切り、関連する業務も含めて全容を理解した人材を育成することが、喫緊かつ最重要課題として、今まさに取り組み始めるところです。今回のアプリケーション基盤の刷新はその第一歩です。

そもそもの説明をすると、共通基幹システム部には会計・勘定系と販売・事業支援系、人事・情報系など大きく分けて3つのグループがあり、私のグループは会計・勘定系システムの開発・保守・運用を担っています。

一般的に基幹系システムの業務は、運用保守がメイン、与えられた要件の中でひたすら守りに徹するといったイメージが強いと思うんですが、我々の業務はそのイメージとまったく異なります。もちろん運用保守といった“守り”も大切にしていますが、それ以上に基幹系システムのプロとして、いかによい提案ができるか。リクルート全体のビジネスがいかに安定的に発展し続けられるか、“攻め”を意識しています。作業を始める前の要件定義や課題設定こそが業務の本質です。

 

-保守・運用をメインとしたSEの一般的なイメージとは大きく異なるんですね、意外でした。そんな共通基幹システム部の雰囲気やメンバーの特徴などを教えてください。

自分が作ったシステムを最後まで見届けたい、超上流から開発に関わりたい、その過程の中で自らも成長したい、といった想いを持つ人の集まりです。「何を作るのか」だけでなく、「なぜそれが必要なのか」「他にいい解決策はないのか」をとことん考えることが求められますし、そういったアプローチがみんな好きですね。なので「言われて作らされている感」はないですし、「利益優先で、本当はお客様にとって必要のないものを作る」いった葛藤もありません。

ギスギスした雰囲気や無理をしなければいけないといった雰囲気がないのは、リクルートテクノロジーズという会社自体が外販をしていないこともありますが、そもそも技術を開拓・追究することを目的としていることが少なからず関係していると思います。

また、部の雰囲気としても、基本的にグループごとの壁があまりないです。たとえば歓迎会や送別会などなにかやるときは必ず一緒にやるんですよ。あと、リクルートならではの文化の一つですが、ニックネームやあだ名で呼び合っていますね。入社したらまず、「あだ名どうする?」というところからスタートします。とあるキャラクターに似てるという理由で入社当時に先輩に付けられた「だっく」というあだ名が、今は後輩にも浸透していて、私は社内では「だっくさん」で通っています(笑)。

他にも改善テーマを自分たちで決めて社内勉強会を開くなど、勉強意欲、向上心のあるメンバーが多いです。技術力だけでなく、論理思考やプレゼンテ―ションなど、ビジネススキルを磨くという点でも、面白い組織だと思います。

 

-そんな長谷川さんが、組織づくりのために意識していることはありますか?

「やりたいことをやりたい人がやる」といったことを、いかに支えるかが一番だと考えています。上から言われたことをただやるような組織にはしたくない。個々人の気づきや課題意識から生まれるものを大事にしていきたいと思っています。

自分自身としては、みんなが道に迷うようなことがあれば気軽に相談してもらえるような、そしてこっちの道もあるよと導けるような存在でありたいですね。ただ、自分が正解だとは思っていないので一緒に軌道修正していければいいかなと。マネジャーをするようになって長くなりますが、今でもグループのメンバーに教えてもらうことがたくさんあります。

見た目はちょっと怖めの大阪弁のおっちゃんですが、課題や新しいアイディアを一緒に考え、議論することが本当に楽しい。「こんな新しいことを思いついた」「こんなことやってみたい」などちょっとしたアイディアがあれば、それが形になっていなくても気軽に相談に来てほしいと思います。「こうすればもっとよくなるんじゃないか」とちょっと先の未来を描いてくれる人が、今の我々にとって必要な人材だと考えていますし、そんな仲間を迎い入れ、活躍してもらうための準備や環境を整えることに注力しています。

 

「人」と「現場力」が財産であり成長の源泉である

-アプリケーション基盤の刷新プロジェクトに注力されているということですが、このプロジェクト成功に向けて準備されていることなどありますか?

私は、プロジェクト成功には「人」と「現場力」が欠かせないと本気で思っているので、人材の採用・育成にかなり力を入れて準備しています。十数年前に構築されたシステムも、そのシステムにかかわる人々も、変化し進化する時が来たと思っています。

次のリクルートを支える人材の育成プログラムを作り、座学と実践を組み合わせることで、早期に活躍いただける環境を準備しているところです。座学のプログラム内容としては、経営戦略に直結した開発案件が多いことから、技術や会計知識だけでなく、ビジネスモデルなどリクルートグループ特有の知識など、実務で活用できるビジネス・経営に関わるものまで幅広く組み込んでいます。

ただ網羅的に学んでもらうわけではなく、配属が決まった時点のベーススキルに合わせて各々にとって一番効率的にスキル向上できるような複線状のプログラムに仕立てています。

また、必要に応じて、社外での研修など、業務に直接関わらない部分においても、積極的に支援していきたいと考えています。

学ぶ期間としては約1年間、頻度としては週に半日くらいです。受講し終わった方には先生役をやってもらっていたりします。先生をやるとなるとやはり本気になりますよね。他人に教えることを通じてさらに理解が深まりますし、自ら先生役をやりたいと立候補してくれる方もいたりして、嬉しく思っています。我ながら、プログラム自体は好評だと思います(笑)。

最終的には、外部と比較する視点を持ちながら、現行のシステムや業務フローのどこにどんな問題があるのか、解決するためにはどうすればよいのか、を一緒に考えて提案できる力を付けてもらいたいと思っています。提案先は経営層にまで及びますから、その難易度は非常に高いものの、やりがいもその分大きいと思います。超上流から関わるということはつまり、問題提起して解決法をアウトプットし、共感を得て実行に移せるようになる必要がある、ということなので。一人じゃ難しいかもしれませんが、だからこそのチームだと考え、組織力もさらに高めていきたいと思っています。

 

-最後に、未来の仲間へメッセージをお願いします。

基幹系システムをやってきた方の中でも特に若い方だと、プロジェクトの一部分しかわからず全容が見えない状況が歯がゆいし悩みに感じることが多いのではないでしょうか。そうしたなかで、弊社はまさに今、レガシーとされてきたシステムとそれに紐づく数えきれない業務プロセスの全容を開きに行くチャンスが来ていますし、我々も次の世代に余すところなく伝えたいと思っています。こんなチャンスは世の中になかなかないし、リクルートのこれまでの歴史を見てもなかなかないぞと。

今後どう変えていくかを頭から考えて実行する、まさに次世代のリクルートを支えるシステムを自らの手で作り上げるフェーズです。この領域で、こんなに楽しめるのはうちだけだと思います(笑)。自分がどのような仕事をどんな目的でしてきたのか、していきたいのかをしっかりと把握している方なら大歓迎です。

我々の仲間となって、リクルートだけでなく、今後の情報社会を支えるスペシャリストになってください。過去の自分を思うと飛び出すことばかり考えていた気がしますが、視野の広がった今は「できること」がたくさんある会社だとわかります。もし今の仕事を「やらされている」と感じていることが少しでもあるのであれば、「やりたいこと」を見つけにここに来てほしいと思います。

リクルートの財産・成長の源泉は、「人」であり「現場力」だと本気で思っています。ITやネットマーケティングに特化したとはいえ、リクルートテクノロジーズにおいてもそれは変わりません。次世代のリクルートを支える醍醐味を一緒に肌で感じられる仲間が増えることを楽しみにしています。

 

-ありがとうございました。

 

提供:リクルートテクノロジーズ


今回取材した方

リクルートテクノロジーズITソリューション統括部
共通基幹システム部 会計・Neoシステムグループ グループマネジャー

長谷川 正毅

1986年リクルートへ新卒入社。1992年に現在もリクルート共通の基幹系システムとして稼働する『Neo-ARK』の開発に関わる。
以降、社内業務系、グループ企業基幹系、求人・旅行など各ビジネス系、社内インフラ系など様々なシステム組織のマネジメントを歴任し、2009年より現職。その間も、リクルート分社化、株式公開、IFRS開示などあらゆるガバナンス変更を対応。