これまでの「スマート・ジュエリー」はどれもいまひとつだった。しかし、あるメーカーがこの状況を打ち破ろうとしている。

女性のほうがメジャーなテクノロジーを広く採用しており、ウェアラブル・デバイスの見込み客としては男性よりも数で優勢だと証明されているにも関わらず、女性を主要ターゲットとすべきウェアラブル・デバイスというものはどれもやや野暮ったいデザインになる傾向がある。

スマートウォッチやフィットネス・トラッカー、スマートグラスといったウェアラブル・デバイスには、見た目や値段、あるいは機能的な面で「欠陥」があることが多い。スマート・ジュエリーに関してはこの傾向はさらに顕著だ。従って私はこの「Ringly」も、その類のものだろうとたかをくくっていた。

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だが、スマートフォンと連携するカクテルリング型のウェアラブル・デバイスというコンセプトには何か好奇心をそそられるものがある。このベンチャー企業がただのおもちゃの指輪で終わらない、ちゃんと動作する製品を完成できればの話だが、成功する可能性は十分にあると思う。

そこで私は、今週予約販売を開始したRinglyを実際に試してみることにした。

見た目は悪くない

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ウェアラブル・デバイスは他のガジェットよりもデザインが重要視される。自分の身に着け、常に人目にさらされるのだから当然だ(身に着けているもので人となりを判断されることだってあるのだから)。

グーグルもこの点にようやく気付いたようで、著名なファッションデザイナーでGoogle Glassのファンでもあるダイアン・フォン・ファステンバーグにこのスマートグラスのデザインを依頼している。スマートウォッチPebbleも、同じ理由でこれまでプラスチックだったスマートウォッチを「Pebble Steel」と呼ばれるメタリック・バージョンにリデザインし、今月下旬からベスト・バイ(アメリカの家電量販店)の店頭で販売するようだ。

スマート・ジュエリーのメーカー達には、まだこの点が理解できていないらしい。彼らの提供する製品の大半は金属風に塗装されたプラスチック製で、安っぽい仕上がりだ。たまに質感が良いものが発売されたかと思えば今度は異常に高価だったり、肝心の機能があまりにお粗末でとてもまともに使えるものではないという状態だった。

Ringlyの共同創立者でCEOのクリスティーナ・メルカンドによれば、同社はこの問題をとても真剣に受けとめている。「我々はこれをジュエリーとしてもウェラブルとしても使えるようにデザインしました」と彼女は話している。彼女は若い起業家で、カーネギーメロン大学でヒューマン・コンピュータ・インタラクションと美術に関する学位を取得している。彼女はRinglyによって、常にスマートフォンをいじくりまわしているという「不作法」な状況を打開したいと考えている。このデバイスは、常にネットとは繋がっていたいが現在の技術は受け入れがたい、つまりオタク・ウエアを身につけたサイボーグのような見た目になるのはごめんだという女性のためにデザインされている。

想像通り、Ringlyは全くガジェットっぽくない。カクテルリングのような見た目で、マットな金のバンドの中に大きな宝石が収まっている。土台はブロンズ真鍮の合金が3ミクロンの金でメッキ加工されたもので、完全防水のケースはしっかりした作りだ。全体的に質感が高く、安っぽくは見えない。私はメルカンドに「金が剥げて色が変わったり、傷んだりすることはありますか?」と尋ねた。ジュエリーを査定する際、こうした質問は非常に重要だからだ。

「いいえ。最悪の場合でも多少マット感が薄れ、光沢が出る程度でしょう」と彼女は答えてくれた。それが本当なら、Ringlyはスタイリッシュなファッション・アイテムとして十分実用に耐えうるだろう。さらに、ガジェットとしての性能も悪くない。

動作もすばらしい

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Ringlyには控えめな通知機能が実装されている。低電力Bluetooth経由でiPhoneやAndroidからの通知がバイブレーションで伝えられるが、通知の内容は優先度が高いものに限られる。電話、テキストメッセージ、メール、予定が主な通知項目だが、Facebook、Twitter、Instagram、Uber、eBay、Tinderなどのユーザが愛用しているアプリからの通知にも対応可能だ。これだけあればあなたの指を一日中振動しっぱなしにすることもできるだろう。設定次第で、指輪の側面に搭載されたLEDライトも通知に合わせて点灯させることが可能だ。

Ringlyに付属するアプリを使えば、ユーザは4種類の振動パターンと5種類のLEDの点灯色を選ぶことができる。現段階では、振動や色をアプリごとに設定できるが、配偶者、職場関係、友達など、個人単位での設定はできない。Ringlyは今事前予約を受け付けており、最初の1000ユニットには特典として通知用LEDに本物のダイヤモンド(非常に小さいものだが)が搭載される。

Ringlyは充電方法もキュートだ。このスマート・ジュエリーには充電機能を備えたリングケースが付属している。Ringlyをそこに収納すると磁石で固定され、2~3日分の充電が行われる。バッテリーの寿命はもう少し長いほうがうれしいが、このリングのコンパクトなデザインを考えれば、これ以上大きなバッテリーを内蔵するのは難しいだろう。

いまのところRinglyは、特にこの価格帯の製品の中では、最も美しいスマート・ジュエリーの1つだ。事前予約の時点では145ドル~185ドルとなっているが、この秋公式に発売開始される時にはさらに25%ほど値上がりする予定だという。

スマート・ジュエリーのさらなる可能性

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なんのディスプレイ表示もなく、指先の振動(あるいはLEDの点灯)だけで通知を伝えることに少し物足りなさを感じるかもしれない。確かに誰からの着信なのか、どんなメッセージなのかという情報を得ることはできない。しかし、私の同僚が指摘した通り、最近特に複雑なガジェットが横行している中、最も基本的な形で必要最低限の通知をしてくれるデバイスは、ある意味新鮮かもしれない。

しかし、シンプルだからといって退屈だということにはならない。Ringlyには加速度センサーも搭載されていて、これは将来的にジェスチャー認識が可能になることを意味している。メルカンドはこんなシナリオを描いている:「例えば禁煙したい人がいるとしましょう。この仕草を登録することができます」(彼女は話ながら煙草を吸う仕草を見せる)。「この仕草を行うとリングが振動し、禁煙中だということを思い出させてくれるのです」。

これは面白いアイディアだ。いずれは双方向のコミュニケーションが行えるようになる可能性だってあるだろう。いつの日か、指先を動かすだけであらゆるデバイスを動かせるようになるかもしれない。

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アイデアは面白いが、現時点ではまだ未開発の機能だ。また、Ringlyのターゲットはオタクではない一般の女性なので、こうした機能が受けるかどうかも定かではない。だが女性である私は実際にジェスチャーに興味を持った。メルカンドと彼女のチームは、現時点でRinglyに搭載されている機能よりも多くのことを色々と考えているようで、今後Ringlyの機能は拡大していく可能性が高いと思われる。

スマート・ジュエリーに対して厳しい意見をもっている私ですらRinglyには魅力を感じる。多忙な社会人として重要な通知を見逃すわけにはいかないし、私は新しいテクノロジーのアーリーアダプター(※)でもある。そしてなんと言っても、かわいくてキラキラしたものに目がない女性でもあるのだ。そんなわけで、私はめったに取らない行動に出てしまった。事前予約をしたのだ。どうやら、そうしたのは私だけではないようだ。同社によると、事前予約の受付開始から8時間で6万ドルもの注文を受けているという。

※新しい製品を最初に採用する流行に敏感な人

このウェアラブル・デバイスの性能と見た目が、日々の実用に耐えうることを願っている。この秋に手元に届くのが楽しみだ。

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