企業の位置情報に関するデータの使い方が注目を集めている。位置情報データは市場でまたとない価値を持つツールだ。広告とマーケティングに重点を置くカナダのコンサルティング企業のBIA/Kelseyは、最近の調査でモバイルロケーションに限定したマーケティングに、2017年だけで171億ドルの投資があり、2022年には387億ドルとなる見通しだ。データの価値が集める労力に見合うかどうかという話ではなく、今日のマーケティングにおいて重要視されているということは言うまでもないだろう。問題はそれらのデータをどう安全に扱うかである。

物議を醸す個人情報データの取り扱い

個人情報データの安全性についてはここ数年議論が続けられてきた。ケンブリッジ・アナリティカがFacebookの8,700万人のプロフィールから密かにデータマイニングを行なっていたことが明らかになって以来、疑念は恐怖へと変わった。2018年初頭、EUはプライバシーについてEU一般データ保護規則(以下GDPR)の策定により大きな一歩を踏み出した。この法案は企業がEU内での個人データを収集、利用することを厳しく規制するものであり、違反したものには莫大な罰金が課せられるものである。この法律はEU内でのみ有効だが、EUで存在感を出したいと考える企業全てにとって関係あることだ。企業がグローバル化する中、EUも当然そのターゲットに入るわけであり、GDPRも考慮されなくてはいけないことになる。

グローバル化が進む以上、どの企業にとってもロケーションデータは重要なものとなってくる。アメリカのグローバルマーケティングエージェンシーであるAmerisalesの設立者、ラーサン・フリッツ氏はForbesで「グローバル化は一般的なものとなり、サービスや商品を売り込むための型にはまったやり方というものは存在しなくなりました」と語る。位置情報データは企業にとって競争から一歩抜きん出るために必要なパーソナライゼーションやコンテキストを汲んだマーケティングに重要な素材だ。

つまりジオマーケティングが大きな鍵を握っているわけだが、そのデータを活用できるのは顧客の了解あってのことである。位置情報に限らず、その他の個人データを扱う際は以下の3点に気をつけたい。

データの使用は顧客の承認を得た範囲に限る

ユーザーの居場所に応じて宣伝の内容を選ぶジオターゲッティングの場合、このことを見落としていたがために失敗することがある。例えば、フィラデルフィアにある法律事務所が救急治療室に来た人に人身傷害関連の広告を掲げたところ、顧客に対して弱みに付け込む悪徳弁護士のような印象しか与えなかった。データを使ったマーケティングの同意を得なかったために失敗したケースもある。プライバシーの侵害だと見なされたのだ。集めた情報はそれを収集した消費者のものである。そして使用を許可するのは消費者の権利だ。使用する権利を明示的に求め、それを楽に許可する選択肢を提示しよう。消費者がそれに同意し、また安全に扱われていると納得すれば、ジオターゲッティングにもっと協力的になってくれるだろう。

顧客が求めるままの透明性

企業が個人のデータに手をつける際、ほとんどの人は誰がどのようにデータを扱うのかをきちんと知りたいはずだ。どのデータをどのように使うのか透明性を担保しよう。どのデバイスを使ってデータがシェアされるのか、マーケティングにどう活用されるのか、システムにどれだけの期間保持されるのかなどをはっきりさせる必要がある。包括的で分かりやすいプライバシー規定に書かれるべきだ。

サービスや製品にアプリを使っているのであれば、データをシェアするサードパーティの名前と、シェアする理由を明記しよう。例えば、ソーシャルメディアとの統合がマーケティング戦略にあるのであれば、消費者のロケーションデータはソーシャルメディアプラットフォームと共有されると明記する。それも消費者が簡単に理解できるようなものでなければならない。

顧客のデータによるカスタマーエクスペリエンスの向上を説明する

顧客の位置情報データを慎重に扱い、その使い方に透明性を以て説明できるとしても、最初になぜその情報を集めるのか説明するのも重要だ。会社の新しい市場開拓など、ほとんどの消費者が気にしないトピックだろうが、カスタマーエクスペリエンスの向上や新しいイノベーションのために使われているということが分かれば、ポジティブな印象は与えられるかもしれない。

アメリカに本社を置くコンサルタント会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーによると、位置情報データをシェアすることの利点を説明すれば、消費者はその許可に前向きになるそうだ。回答者の55%は、パーソナライズされたらレストランのオススメや近所で実施されている値引き販売の情報を受け取れるのであれば、位置情報データのシェアに抵抗がないという。

データの収集には賛否両論あるが、成功しているブランドは収集に踏み切っている。問題はデータが安全に扱われ、それがいかに体験向上のための資産として活かされているかを消費者に明確に説明できるかどうかである。