投資家、評論家、好事家達が仮想通貨に寄せる興味は尽きない。大抵は価格の予想に注目するが、特定の通貨の市場パフォーマンスに黙想していると仮想通貨の真価を見誤るかもしれない。価格の上下だけが全てではない、デジタル金融革命は世界を変えようしている。仮想通貨は我々が生きているうちに目にする、最も大きな発明の一つであることは間違いない。近い将来、金融にまつわる障壁はほぼ完全に消え去ると考えられる。取引を瞬時に実施できるようになり、今ある地域的制限は取り払われる。取引に付随する両替やその他手数料を徴収する輩も過去のものとなる。

この変化を政府や銀行はどう考えているのだろうか。米国は仮想通貨に関する問題に取り組みが必要だと気付いた。米国下院金融サービス委員会は2018年7月に「通貨の未来:デジタル通貨」と題された聴聞で、2つの問題について触れている。

最初に触れられたのは規制の重要性についてだ。政府が資産の流れをコントロール出来なくなること、取り分け非合法活動に対する資金援助に伴う使用を多くの人が懸念している。犯罪者に使われるかもしれないと言う理由だけで規制することはおかしいと言う意見がある一方で、仮想通貨を厳しく取り締まる必要性を求める声もある。連邦議員のブラッド・シャーマンは仮想通貨の完全撤廃を望んでいる。

そして、次の問題として挙げられているのは、政府によって作り出される仮想通貨の問題についてだ。米国のシンクタンクNPO調査団体「R Street Institute」のアレックス・ポラックスは、「中央銀行によるデジタル通貨はとんでもないアイデアです。連邦準備制度は自然と圧倒的な資金の配分者になるでしょう。そしてその割り当てには政治の色が反映せざるを得ません。そうなると納税者の負担によって成り立つ政府の財布も同然です」と述べる。

しかし政府は仮想通貨にますます興味を示している。ブロックチェーンのCEOで設立者のピーター・スミスは、24ヶ月内に主要な政府がデジタル通貨でソブリン債を発行すると予想している。その実、中国も自国による仮想通貨の開発を試みていると発表した。また、同国がブロックチェーンでリードしていることも、政府がサポートする理由の一つである。同様に、タイ政府と金融庁もタイの仮想通貨 「OmiseGo」をサポートしている。

一方、銀行側はどうだろう。一晩でその立場を失うようなことはないだろうが、仮想通貨によって排除される中間者としての立場から、今後10年で厳しい現実に向き合わなくてはならない。仮想通貨が現金より簡易な支払い方法になるためには、超えなければならない技術的ハードルがある。仮想通貨の所有権とセキュリティは一般的ユーザにとってややこしいものだ。Google PayやApple Payはメインストリームになってはいないが、これらはより簡単に使えるものでなければならない。

ま銀行に預金するわけではないと言う点にも触れてみよう。世界中で20億人が銀行口座を持たず、自国通貨を安定した資産として使えない事実がある。しかし彼らはモバイルデバイスやインターネットへのアクセスを持っている。デバイスを使った国境に関係のない通貨による貯蓄や取引が行えるのは非常に有効である。

モバイルバンキングやモバイルウォレットが広く使われるようになり、仮想通貨への移行も無関係とは言えない。マクロ経済的に、通貨や経済のグローバル化が大きく進んでいる。人々はこれに賭けているのだ。シカゴにあるデリバティブ企業 「CMEグループ」は、ビットコインの流量は2017年12月以来毎月増加していると述べている。

向こう10年で仮想通貨は世界的に理解され、受け入れられるようになるかもしれない。金融システムをひっくり返そうとしたビットコイン当初の目的は達成されそうもないが、消え去ることもないだろう。10年後、仮想通貨と現金はどのようなかたちで共存するのか。いずれにせよ、仮想通貨に対する煩わしい気持ちは次第に変わっていくはずだ。