目が不自由な人にとって、キッチンの棚から食品を取り出すことはできても、消費期限をはじめとした文字情報は点字印刷が施されていないと解読するのは至難だった。だが今日の技術では、スマートフォンを手に取り、Googleアシスタントに「Be My Eyes」を起動するように命令する。外箱の各面の写真を送信すると、45秒後には商品の情報をボランティアが教えてくれるのだ。

「Be My Eyes」はユーザーの製品に対する知見に関わらず、テクノロジーで生活を豊かにすることが出来る輝かしい一例だ。この素晴らしい設計は投資額の100倍以上の見返りをもたらしただけではなく、様々なニーズの生活をより豊かに過ごすための手立てになる。ユーザー目線のテクノロジーには多からずいくつかの共通点がある。相手目線の考え方、相手の要望を叶えるための機能の実現、そしてアクセシビリティだ。それをどう形にするかを以下に挙げよう。

1. ユーザーの感情を把握する

コードやワイヤーフレームを書き出す前に、誰のために設計しているのか、興味を持ってもらえるようにするには、そして利用者にとっての使用感に着目してみよう。ユーザーの4分の3は、企業がニーズや期待を理解してくれていると考えている。優れたユーザーエクスペリエンスの設計者は、共感マッピングやユーザーとのインタビューを通じて、ユーザーに影響を及ぼしている「何か」を理解し、ユーザーの感情に訴えかけるデザインを創造するのだ。

2. 説明書要らずの分かりやすいフォルム

見た目以前にきちんと機能して、ユーザーが正しく使えるようにフォルムを設計するべきだ。知覚心理学ではこのプロセスは「アフォーダンス」と呼ばれる。マグカップを例にすると、これにマニュアルは必要ない。コーヒーの熱で火傷しないように、取っ手を握れば良いのは見た目から判断できる。製品の機能に関するヒントがどれだけあるかを考えてみよう。アプリやウェブサイトを見て回るのに、どのボタンを押せばいいのか伝わるデザインだろうか?画面の行き先は明確に伝わるだろうか?デザインの意図がエンドユーザに伝わるように、前もってユーザーテストは実施するべきだ。ユーザーにタスクをこなしてもらい、どれだけ自然なかたちで使えたかユーザーのフィードバックを獲得しよう。

3. よりアクセシブルなデザインを

サンフランシスコの市街に、タッチパネルのキオスクがデザインされた。車椅子やその他の介助器具の市民の受け入れ態勢を理解する上で米国障害者法を参照し、最終的に商品をインターフェースの低い位置に表示させる「ADAモード」ボタンを備えたのだ。デザインはユーザーのリサーチを実施した上で設計しよう。言語の好みやテキストの読み上げサービス、デバイスの互換性など、ユーザーが何を求めているかを理解する。

全員が同じように使うわけではない。五体満足とも限らないし、デザイナーと同じナビゲーションインターフェースの感性を持っているとも限らない。その上で製品は多種多様な人達に使えるように設計することが大事だ。ユーザーのニーズに焦点を置くことで、デザイナーは生活を大きく変える製品を作り出せるだろう。