自動運転車の危険性については散々騒がれてきた。イギリス大手新聞のガーディアンは「自動運転車の危険度は最も高いフェーズに突入した」と掻き立て、その安全性に極端な理解を与えている。その実、オートパイロットモードで使われているにも関わらず、飲酒運転での逮捕や事故が発生している。ハーバード大学もAIについて、ソフトウェアエンジニア自身もプログラムが起こりうる全てのシチュエーションで正しい判断ができると信じていないことから、ほとんどの自動運転車のテストは脇道での限られた条件でのみ行われていると記述している。

しかし、自動運転車の危険性は、果たして人間の運転を勝るほどなのだろうか。統計によると、2016年は自動運転による死亡事故が1件だけ報告されているが、人間の場合は40,000件以上だ。また、「路上を走行する際は人間の2倍安全であることが前提」といった、自動運転車に課せられている条件が撤回された場合、Intelの予想では自動運転車業界は2050年までに7兆ドル規模にまで成長するという。同時に公共の安全の為に使われている資金の2,340億ドルが節約できるそうだ。

トランプ政権はオバマ政権時と同様に、自動運転車に傍観的な立場を貫いている。昨年、英国は自動運転車の開発者をアシストするためのガイドラインを発表し、産業戦略担当国務長官のグレッグ・クラーク氏は「ヒューマンエラーは、十分にテストされたテクノロジーよりも明らかに交通事故の原因となっている」と述べている。企業だけでなく政府も乗り気である昨今、消費者の見解は如何なものだろうか?

自動運転に対する不安の払拭

アメリカのシンクタンクのブルッキングス研究所が今年実施したアンケートによると、自動運転車に乗りたいと答えたのは21%、反対に61%は乗りたくないと回答した。別のシンクタンクであるピュー研究所によるアンケートでは、アメリカ人の39%が自動運転車によって死亡事故は減ると考え、87%は自動運転を問わず、運転中は人が乗っているべきだと答えている。自動運転車に対して、人々は期待よりも不安を抱いていることが理解できる

原因はどこにあるのだろうか。ロボットが人類から仕事を奪うかもしれない懸念と同じく、自動運転車による周囲の環境の変化、またはコントロールの喪失を恐れているのかもしれない。だが、ワシントンポストは交通事故の94%はヒューマンエラーに起因していることを指摘している。環境のコントロールに関しては、ただの幻想と言っても過言ではない。

現在は自動運転車に拒否反応を示しても、将来は常識になり得るポジティブな理由が次の3つである。

1. 世界経済の活性化
Intelの予想では車内サービス、企業向け/個人向け移動サービスで自動運転車がもたらす経済効果は7兆ドルだ。ITがより強力に成長することを意味している。US版WIREDのアレックス・デイビス氏は「もし自動運転車自動車業界で仕事を見つけられるとすれば、それはITやデータ処理だ」と説明している。たとえ本当にロボットが仕事を奪ったとしても、新しい仕事の創出により働き続けられることを示している。

2. 自動運転がビジネスにもたらすイノベーション
Amazonプライムの小包が、自動運転で今よりも早く家に届けられることだけがメリットではない。トラックの集中運用はディーゼル代で最大10%の削減に繋がるなど、配達時間とコスト削減に役立つと考えられている。物流業者 シアー・ロジスティックスの技術部副社長 ロブ・クック氏は「自動運転がもたらす影響はコスト削減や効率性に留まりません。自動運転車は安全マナーを文字通りに守り、あまり車が走っていない深夜帯でも運用されています。つまり、疲弊した運転手の減少、出荷の迅速化、そして恐らくは事故の減少に役立つはずです」と述べている。

3.ビジネスの効率化
企業の長距離輸送だけでなく、ローカルな企業サービスも自動運転車の恩恵を受けられる。ピザの配達や宅配便も自動運転車のスピードや低燃費に助けられるだろう。他にも移動図書館やジム、ホテルでの利用も想定されている。AirBnBで深く根付いているシェアエコノミーの活性化に影響し、ライドシェアリングは今後更に安価に利用できるようになるだろう。

メディアは時として自動運転車を恐ろしげに書き立てるが、自動運転車は迷惑をかける以上に役立つものに成長しつつある。