テック系に優れた中南米の労働力は世界的な企業を引きつけ、同地のオフィスを長年サポートしてきた。しかし、近年の政府によるイノベーションハブ構築の働き掛けに加えて、モバイルデバイスの普及を支える中産階級の増加により、南米の消費者が大企業の注目を集めている。

次第に海外のテック企業が意気揚々と同国へ進出し、テクノロジーが入り込んでいなかった数々の業界に接触するようになっている。AmazonからAlibabaに至るまで、ラテンアメリカがこれら大企業を如何に惹きつけるようになったのかをおさらいしてみよう。

クラウドサービス需要の増加

Amazonはクラウドサービスを筆頭に、同社の活動を世界的に拡大し続けてきた。中南米では最近、アルゼンチンに新しいアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のデータセンターが設置され、既存のブラジル、チリ、コロンビア、メキシコのオフィスリストに加えられた。

アルゼンチンにAWSのデータセンターは、つまりAmazonのクラウドサービスが同地のテクノロジー企業にとって重要なものになり、またサービスの需要が高まっていることを如実に物語っている。データセンターが近くにあるということは企業にとってコスト削減とデータの速度の改善、地域外のサービスへの依存解消に繋がる。AWSを使っている南米最大のメルカドリブレ社(アルゼンチン)は16ヶ国で営業し、3200名以上の従業員を抱えているが、その800名はIT部門だ。同社はAWSを使った製品を迅速に作り出している。

セコイア・キャピタルやソフトバンクといったグローバルベンチャーの中南米への投資が急増する一方で、テクノロジー企業の中でもAWSの様なサービスの需要が高まっている。ガートナーのレポートによると、クラウドサービスの世界市場は2018年に21.4%の成長が期待され、その利益は1,864億ドルになるという。Amazonのラテンアメリカ進出はおそらくこの市場機会をものにするための戦略的行動であり、またGoogleやAlibabaなどの競合他社と世界的なクラウドサービスでリードしている状況を保つためのものだろう。

ブラジルの新世代技術者

ブラジルはGoogleのアクティブユーザー数のトップ3の1つであり、ポルトガル語はスマートフォンのAIアシスタントで2番目に多く使われている言語である。さらにサンパウロには活動的なテクノロジー企業を2,700社以上も抱え、スタートアップ企業を取り巻く環境は南米一整っていると言われている。Googleが最近になってLaunchpadアクセラレータやCampusといったプログラムを同士で展開しだしたのもうなずける話である。地元の起業家たちの育成に加え、GoogleはGrow with Googleというコミュニティプログラムを立ち上げた。これは無料のトレーニングセッション、ツール、イベントを通じてスキルやキャリア、企業の成長を助けるものだ。ブラジル内の4つの都市で既に17,000人がトレーニングを受けた。

Googleはブラジルで常に新しい構想を展開していくことだろう。例えばWomenwillは女性を対象にリーダーシップや交渉戦略、パーソナルファイナンス、デジタルマーケティングのトレーニングを行う新しい試みだ。またGoogleは地元の非営利団体、 Instituto Rede Mulher Empreendedoraに100万ドルの助成金を出し、ブラジル国内13.5万人までの女性を対象に向こう2年間のトレーニングを行っていくことを発表した。

依然発展の余地のあるeコマース

南米でオンラインショッピングをする人の約半数はメルカドリブレを訪れる。この「南米のeBay」は同地域最大のeコマースマーケットプレイスであり、15カ国で1億7400万のユーザーがいる。これまでに外的要因から危うくなった事もあったが、それでもニッチなeコマース市場のチャンスは多く、他のeコマースの大手にとっても収益を上げる余地がある。これまで長らく距離を置いてきたAmazonやAlibabaといった超大手も変わりつつある。

Alibabaは南米市場に興味を示すような動きをこれまでにいくつか出してきている。同社はこれまでに三通の覚書を南米諸国の政府とやりとりしている他、地元の配送サービス業者ともパートナーシップを結んでいる。またメキシコ~アルゼンチン間のような国境をまたぐ取引を容易にする様々なプログラムを開始した。Amazonもこの地域での立ち位置の強化に務めている。メキシコと北米で立場を強くしてきている他のeコマース大手にはウォルマートがある。

向こう5年の南米でのeコマース市場の伸びは年間18%と予測されているが、それでも世界中の小売市場の2%を占めるに過ぎない。まだまだ手をつけるべきところがあることを意味しており、多くのeコマース業者がこれに挑戦しようとしている。

加速する南米でのテクノロジーの導入

小規模なビジネスオーナー向けのサービスから大規模な小売のオプションに至るまで、南米の多くの業界ではテクノロジー的に進んでいないことから、目をつけ出したのはAlibabaだけではない。例を挙げるとSpotifyNetflixにとっても南米は最も成長しているマーケットとなっている。メキシコとブラジルはFacebook Messenger、Instagram、WhatsAppにとって月間ユーザーベースでトップ市場となっている。ブラジル人とやりとりする人はほぼ100%WhatsAppを使っている状況だ。カーシェアの雄 Uberも件数的にトップ3は南米の都市が占めていると述べている。

より多くの有力なテクノロジー企業が同地域に参入するにつれ、イノベーションがもたらされるだけでなく、地元の技術的な才能の雇用が生まれる。そして彼らがまた新しい世代の起業家たちをインスパイアし、南米で利益が生まれる関係性が築き上げられていくのだ。