顔認識のテクノロジーは全く新しいものではない。今日のスマートフォンには標準で備わっている機能で、FacebookやInstagramで投稿した写真のタグ付けなど、使用用途は広く浸透している。顔認識システムは誰が写真に写っているか、またはデバイスの持ち主は誰かといった、非常に幅の狭い判断条件の上に成り立っている。そんな中で気になる進展が、高速処理能力とAIを備えることで、山ほどの判断条件の中から個人を特定しようというものだ。

革命的な認識技術

中国は新疆(しんきょう)ウイグル自治区では、顔認識テクノロジーを活用していることがニュースで話題となった。ウイグル人の家の側や国境付近に導入され、街を歩いているかもしれない政府の監視リストに載っている人物を見つけ出すことが目的だ。特に政府がインターネットへのアクセスや公な言論を極度に制限している中国では、こういったニュースは残念ながら珍しいものではない。しかし同時に、既に実証された技術が、いつか自分の身の周りにも反映される日が来るかもしれない。

技術的な基礎

AIを使った顔認識の基礎は、異なる分野の技術の進歩によって成り立っている。まず動画の精度の向上だ。昔の動画は画質が荒く、解析が難しい。だが今日のCCTVカメラなら少なくとも1080ピクセルのテレビ番組レベルのHD動画を監視に利用できる。AIプラットフォームのPixMettleを開発したカピル・ディングラは次のように語る。「AIと機械学習は顔認識技術の進歩に寄与しているメジャーな技術です。現在の技術はただ単にデータベースから適合しそうなものをスキャンするだけでなく、対象をどのようにグループ化し、その対象から外れた候補を効率的に省いていくことを学習していきます。性別や民族的特徴などの特定も可能です。ただ、問題は未だその精度が指紋やDNAと比較すると低い点です」。

現時点での実用的な技術

リアルタイムの顔認識技術の応用例全てに対して、米国で今最も懸念されているのは警官が身につけているカメラに使われることだ。この技術に対して、支持者たちは警官がデータベース情報に基づいて容疑者をより簡単に特定し、反暴力活動家の当然の帰結と見なすが、反対にこういった技術はいい加減な判断を正当化し、マイノリティへの暴力を増加させるという意見がある。

顔認識技術が今できることでより穏便な用途には、ビジネスにおける認証・承認に取り入れるというものがある。Trueface.aiを例に挙げると、設計者はフィンテックやeラーニングに関する業者がユーザの認証を簡略化し、パスワードやチャレンジクエスチョンと顔認識を組み合わせた多要素認証の実現を狙っている。

我々の生活に多くのカメラが導入され、企業はそこから得られるビックデータを、どれだけの人が広告のそばを歩いているかだけでなく、そこに歩いているのは誰なのかの特定する目的で利用することも可能だ。企業や政府は誰がどこにいるかを常に把握するようになるのだろうか?そうはならないかも知れないが、可能性がないわけではない。