スマートコネクテッドが推奨される世界においてIoTが五感の一部であり、ビッグデータがその燃料であるとするなら、これらがEC(eコマース)で果たす役目とは何なのだろう。

まず、IoT(モノのインターネット)とは、データと通信接続ネットワークを利用するスマートデバイスの配置を意味し、ビジネスやECプラットフォームにとって、新しい事業成果へ導く聡明な洞察をもたらしている。

より多くのデバイスが繋がるようになり、多様化するデータの流入は指数関数的に増大し、ビッグデータを活用するEC事業にとって、より多角的なアドバンテージもたらすことが可能だ。

事実、ビッグデータを収集することで、ユーザが商品をより早く簡単に見つけることができるようになっている。次に挙げるのは、ビッグデータとIoTがeコマースに与える決定的なアドバンテージだ。

よりパーソナライズされたショッピング体験

ビッグデータを活用したユーザのショッピング体験の改善は、あらゆるEC企業が常に依存していることだ。ユーザが特定のサービスや商品を検索する際、ECサイトはユーザのネット上の行動傾向に可能な限りアクセスし、検索結果を最適化する必要がある。
ユーザがより簡単に商品のリサーチを行えるようになるだけでなく、そのユーザの定着率、ひいては企業の利益に繋がるからだ。

ターゲットされた検索結果の為のデータ解析は相当正確に行うことができる。Amazonはビッグデータが商品のおすすめにどう使われているかを示す好例だろう。Amazonで商品を検索すると、別のユーザの購入履歴からそのユーザが興味を持ちそうな類似の商品が表示される。数え切れないほどのECプラットフォームが商品推薦やターゲット広告においてビッグデータの恩恵に預かっている。例えば季節ごとのパーソナライゼーションなども強力なターゲットマーケティング戦略だ。このアイデアの背後にあるのもやはり、ユーザのブラウズ履歴やネット上の行動分析なのだが、加えて季節という要素が入ってくる。おすすめの効果を最大限にするため、アルゴリズムに季節や祝日などが加味されるのだ。人の行動は季節によって変わるが、出来のいいアルゴリズムはその変化を認識できる。例えば冬の休暇には、ユーザは自分の為にではなく他の人に送る為のギフトを買う傾向がある。そこでアルゴリズムは季節ごとに人気のある商品を勧めるようにするのである。

商品のおすすめを一歩進んだものにする上でもデータは鍵となってくる。ユーザの従来のショッピングの傾向から、ECプラットフォームが類似商品を勧めるだけでなく、ユーザが欲しがりそうなものを予測した上で推薦することが可能になる。例を挙げると、Shopifyの海外アプリストアでは、小売業者がユーザにとって最も便利と思われる商品を勧めることで、ユーザの傾向を予測することが可能だ。オンライン小売業者それぞれの予測モデルは自社の製品、ユーザ、売上予測から定義される。

EC企業の多くが商品のおすすめと予測のためにビッグデータを活用している。では、ユーザのショッピング体験をパーソナライズする上で、IoTとコネクテッドデバイスの役割とは何なのだろう。IoTデバイスから寄せられるデータはユーザのライフスタイルから知見を得たりターゲットマーケティングにますます活用されるようになってきている。ユーザのニーズ予測から問題が起こる前にソリューションを提供することにおいてまで、EC企業の可能性は無限だ。コネクテッドデバイスはユーザのブランドの好みや製品の状態、環境的な要素といった情報をこれまで以上に効率的に使うようになってきている。

AmazonはIoTをECで活用している企業の筆頭と言える。Dashボタンはユーザが好みの商品をボタンひとつでシンプルに買える機能で、それぞれ好みの製品と対になっている。ユーザの時間を大幅に節約出来るだけでなく、Amazonにとってもそれぞれのブランドや製品の消費パターンについて大量のデータが得られる。

顧客の満足と定着率の改善

顧客からのフィードバックはEC企業が顧客満足度と定着率を向上させる上で最もパワフルなツールである。この場合、人による洞察がデータドリブンなビジネス戦略において中心的な役割を果たす。というのも自分たちの製品に対する顧客からの意見から意味を見出す上で重要だからだ。多くのEC企業が商品を購入した顧客から細かいフィードバックを得ようとするのはこのためである。たとえ厳しい意見が目立つ結果になったとしても、それは必要な改善を行わなければならないという明らかな証拠である。必要な改善を行うためフィードバックを分析することで、顧客満足度の向上に繋がる。

しかし顧客の定着率のためにはレビューの他に取り組まなければならないことがある。IoTはEC企業が顧客の満足度を図るための購買パターンや傾向を分析することを可能にしてくれる。例を挙げると、WalmartはIoTを使って人気のある製品のソーシャルメディアについての分析を行っている。小売業者はIoTを使い、顧客の好みからより包括的で満足度の高いショッピング体験を提供することが可能だ。クレームの予測にも役立ち、より簡単で迅速な解決を実現できることから、顧客サービスについても良い影響がある。

在庫管理の向上と配達の迅速化

リーダーでデータ通信が行えるRFIDタグやIoTセンサーの利用により、在庫管理の時間は大幅に短縮され、また正確になった。倉庫で労働者が目的のものを探すのにもRFIDチップは役立ち、在庫が少なくなればそれを検知し新しい発注を出すこともできる。このケースでは在庫管理に伴う労力の大幅削減と潜在顧客の機会喪失防止でIoTは重要な役割を果たす。ECサイトで商品が売り切れていれば、顧客はそれを求めて他のところへ行ってしまうだろう。よりアクセシブルな在庫管理はEC企業にとって、より多くの時間を他の重要なことに費やせる事を意味する。

またRFIDとGPSを使えば配達状況をリアルタイムで追跡することも出来る。企業にとってはいつ荷物が目的地につくかを正確に把握できるだけでなく、紛失や誤配送といった問題も解決できるようになる。配送状況のリアルタイム追跡は現在でも可能だが、RFIDは物流業者の配送ルートやスピードなどのより大きな課題を解決するようにもなるだろう。

まとめると、人々がデジタル上での買い物の利点をますます理解するようになり、ECは将来の小売の主流となるだろう。そうなれば小売業者も進歩するテクノロジーに合わせた戦略を取らざるを得なくなる。その中でビッグデータとIoTは間違いなく中心的な役割を担う事になる。

またユーザも買い物体験が変わり、自分自身にとっての利益になり得る以上、自らが提供するデータの影響を過小評価しない事だ。