スポーツ業界は様々な意味で時代に左右されてこなかった。近代オリンピックの第一は1896年に開催されたものだろうが、その根は紀元前776年の古代ギリシアで行われたところまで遡る。人々はスポーツを文化として観戦していた。

今でもスポーツ業界は他と異なるところがある。一つをあげると、ライブでは限られた人数のみが観戦できるが、試合自体は人数に際限なく観ることができる点だ。観戦者はお気に入りの選手を一途に応援し、一生のファンになることも珍しくなく、場合によっては子供の代までその伝統を伝える。

スポーツへの情熱はいつも変わらないように思えるが、新たなテクノロジーの導入はスポーツがどのように競われ、観戦され、収益化されるかを変える。以下に挙げるのはスポーツ業界に大きなインパクトを与えるテクノロジーの使われ方だ。

1. テクノロジーがスポーツ業界をどう活性化させるかが分かるEスポーツ

ゲーム競技業界は2021年には16.5億ドル規模になると目されており、その勢いは衰えを見せない。大企業はそのスポンサーシップやマーケティングに大金を投じており、クラウドファンドによる賞金は数百万ドル規模になろうとしている。

Eスポーツは企業やファンの間でますます認知が高まっており、観客を相手の取引もそれに応じて盛んになってきている。シカゴのロバート・モリス大を始め、Eスポーツの学位を授与する大学も出てきている。またESPNも新たな領域を手掛けようとしている。サマーキャンプやプログラムも出てきている。サマーキャンププログラムのジュリアン・クリンスティ(以下JKCP)はセミプロ向けのプログラムを40年に渡って提供しているが、プロと対戦することで自分のゲームの強さを知ることができる新しいEスポーツのプログラムを創設した。

JKCPのCEOを務めるスティーブ・ロバートソン氏は、Eスポーツ業界を一般的なものにするのに一役買っている90年以降の世代間のコラボレーションを活性化する上で、同社のプログラムは重要なものだと考えている。氏は90年世代の孤立を解消するものだと観ている。一般的なスポーツ同様、Eスポーツもチームを組んで勝利を目指すものだ。

2. AIが作るトレーニングセッションとファンとの対話

ほんの5年前ですら、AIと機械学習がスポーツ業界に応用されるとは考えられていなかった。スポーツチームはファンとチャットボットで対話し、試合の情報をシェアする。またあるメディアではAIを使って低コストでスポーツ速報を提供している。

オートレースなどでは、エンジニア達が高速で動く車を特定するためにコンピュータに頼っている。AIは人が出来ることを拡げ、ウェアラブルはコーチがトレーニング中のデータを収集し生産性を高めるのに役立っている。

STATS LLCのAIディレクター Patrick Luceyは「今では選手が特定の状況でどう行動するかをシミュレートする事が可能となっています」と語る。AIの進化が進む中、スポーツ業界により大きな波を起こすのは疑いようのない所だろう。

3. ファン層の拡大と定着を支えるテクノロジー

今日では誰もがデータを手にするようになっている。特定チャンネル売上の数字によるファンの定着率の算出でき、エンジニアは大量のデータから有益な知見を引き出す。アメリカのカンザス州のサッカークラブであるスポルティング・カンザスシティの元経営層達により2011年に創立されたファンスリーシクスティを例に挙げると、世界中のデータを用いる企業のファン層の増加戦略の為のテクノロジーを開発した。

ファンスリーシクスティのような企業はライブイベントの観客のデータを集める事で、企業が今後の顧客について適切なコンテキストで把握することを助ける。今や顧客はコンテンツの消費をテレビのみに縛られないことから、ソーシャルメディアのファンを把握するのに役立つテクノロジーも存在する。

ファン達はやがてモバイルデバイスで好みのチームのライブストリーミングを楽しむようになる。FacebookやTwitterを含むソーシャルメディアプラットフォームは高画質のストリーム放送を提供している。Facebookは2017年にスタジアムページで大学フットボール試合をライブで15本放送し、Twitterは2016年に木曜夜のNFLのストリーム放送10本分に1000万ドルの契約を結んだ。なぜソーシャルネットワークが選ばれるのだろう? それはチームにとって各々の好みを示してくれる世界中のファンに簡単にありつける方法だからだ。

スポーツ業界と聞いて、エンジニアやゲーマー、シリコンバレーの技術者たちというのは第一に思いつくものではないだろう。だがテクノロジーがこの業界と、選手やコーチ、その他関係者や放送局まで人々に与えている影響は非常に大きい。テクノロジーの導入と進歩が進に連れ、この業界も選手達同様さらなる進化を続けるだろう。