安全で快適な暮らしをしている読者からすると想像し難いが、毎分24人が住まいを離れねばならず、難民化しているという。彼らは暴力や政治的不安定、迫害などにより母国で安全に暮らす事が出来なくなった人たちだ。現在進行形のシリア紛争は数多くの住民の追放を招いているが、同じ事が起きているところは他にもある。

ビッグデータといえばビジネスやスマートシティ開発のツールだと捉えられているが、実際には様々な用途があり、立場の弱い世界中の人々が定住できる手助けも出来る。
果たしてどのように、難民のために役立つのだろうか。

誤解のない対話の創造

難民の境遇には多くの懸念点がある。難民が入国しようとしている国の民衆は、大抵彼らの定住に反対だ。問題の多く誤った情報の伝方や、単なる無関心に起因する。事実に基づく難民に対する考えを全員が改めることは難しいかもしれないが、データはその取り組みを始めるには良いスタート地点である。

近年、国連難民機関と世界銀行グループが、正しい情報に基づいた対話を促す為に協力関係を結んだ。彼らのプランは難民から匿名でデータを集め、為政者および難民の生活向上をはかる人たちがそれを利用できるようにする、強制退去に関する共同データセンターの設立だ。

安住の地を求める難民の種別やスキルその他の情報で分類されたデータを集めるだけでなく、彼らを助ける革新的な用途と、誰もが助かる解決策の創造を為政者に促すのもセンターの目標だ。センターはヨーロッパに設立するとみられており、おそらくは2019年に開設される。

難民の行き先

難民がどこに安全な場所を求めているかを知るのは分析無くしては難しい。母国の近隣国が最初の候補になり得るかもしれないが、衝突はいつでも起こり得ることであり、受け入れを拒まれれば他の選択肢を探さなければならなくなる。彼らが次にどこを目指すのかを知る鍵となるのが予測分析だ。

「高度な分析は専門家が難民の次の行き先を高い確度で予測するのを可能にします」とオハイオ大学 行政学オンライン修士コースで教授を務めるアニルード・V.S・ルヒル氏は『The Conversation』への寄稿で述べている。

ルヒル氏はさらにこう付け加える。「難民の流入の兆しを嗅ぎとった為政者は、彼らの流れをよその国に向けようとするかもしれません。リアルタイムデータは組織が資金や物資を最も必要とされるところに投入する上で役立ちます」

宗教的迫害によりミャンマーからの難民流入が続いているバングラディッシュなどの国で、これはとりわけ有効だろう。政府や住民が同情し、適切に状況を処理することが出来るだけでなく、難民の行き先を変えることで環境面や金銭的なインパクトを緩和することもできる。バングラディッシュの住民の1/4は貧困層だ。

雇用問題の解決

難民を危機的状況から救い出すのは第一歩に過ぎない。多くの難民たちは祖国に帰ることができないのだ。また文化に馴染む上でのストレスもあるだろう。異文化対応のストレスは鬱蒼とした孤独や精神的な問題を引き起こす。

文化に受け入れられ、そこで仕事を見つける事は適応を促進する。難民たちだって何時迄もキャンプ生活を続けるわけにはいかないし、彼らが出来るだけ早く居場所を見つける上で重要なことだ。
何が職の斡旋を成功させるかについての調査はまだ始まって日が浅いが、その結果は期待がもてるものだ。ビッグデータを使ったアルゴリズムにより、難民が仕事を見つけられる可能性は40-60%向上するという。

必要なリソースの割り当て

ビッグデータは国を追われた人々を救う上で強力なツールであり、これは早々に活用される必要がある。先で述べた共同センターのプロジェクトはその手掛かりとしては良いが、危機的状況下にある難民たちは今すぐ救いを求めている。データ収集、スマートな政策、人々の温情が共に難民に向けられることで、彼らに再び安全な生活が戻ってくる。