AIに対する愚痴を一度は皆、耳にしている。人から仕事を奪い、Alexaなどのbotは必要以上に我々のことを知り、生活を支配し始めている。このことにElon MuskやBill Gatesといったテクノロジーにおける有名人ですら、AIとその能力に警鐘を鳴らしている。

だが、AIや新技術の最悪のケースシナリオばかりに目を向けていては、最良の結果へ導くシナリオを遠ざけてしまう。ロボットは生産効率を上げ、DeloitteはAIが政府に多額の節約をもたらすと予測している。AIにより幾つかの仕事では新しい需要に対応することが求められるかもしれない。また予測的メンテナンスを通じて働く人たちの命を救ってもいる。

AIの発展で得られる恩恵のうち、もっとも目を引くのは時間の節約だろう。ワークフローの最適化、プロセスの自動化、人の代わりに低レベルな仕事を引き受けることなど、AIにより我々は何時間もの時間を捻出することができるようになる。あるいは労働時間が週3日になるというのもありえる話だ。

 

週休4日生活に備える

週3日労働というとある人にとっては素晴らしい物に聞こえるが、またある人にとっては恐ろしいことを想定させるだろう。他国よりも労働時間が長い米国では、長時間労働は勲章のようなものだ。2017年の週辺りの平均労働時間は44時間というアメリカ人は、たとえ僅かな期間休暇が得られたとしても、それを有効活用しないようになってしまった。

こういったワーカホリックな文化において、長時間頑張って働き続ける人の先に、仕事の未来はあるものだと信じるようになっている。だが、長時間労働によって経済を動かすといった物の見方には、じつは進歩がかなりの高いレベルの仕事をこなすという、現実を見ることを忘れている。仕事を前に進めるために人と対面する時間を優先させるというようなことを言っていると、結果その先にあるのは、進めるではなく停滞だ。業界に本当に影響を与えるためのエネルギー、集中力などがこうした労働者には大きくかけている。

AIによるビジネスの自動化やアップグレードが意味するものとは、我々もまたより広い仕事に対する観点を持つことを求められるということだ。週5日働いてルーチンワークや機械のメンテナンスを行うか、週3日働いてより深い思考やイノベーションに集中する、さてどちらの方に価値があることなのだろう? 業界によりそれぞれの答えはあるだろうが、それらは伝統を守ることなどではなく、ニーズに応えるということのみだろう。

 

AIに降伏する

週3日労働が望ましいという業界では、テクノロジーが役に立つ。「私の考えるAIドリブンな未来というのは、人の労働時間を大きく奪い、取引活動を機械が面倒を見るようになり、人は週3日の労働で済むといったものです。このことで我々はより高次の問題について考える時間や、友達、家族と出かけ、映画や本を鑑賞し、またたくさんのところに出かけ人としての経験を広めるための時間が取れるようになります。」と語るのは、世界的なIT企業であるWipro LimitedのCTO K.R.Sanjivだ。

Sanjiv氏はAIに対する我々の恐れについてこう指摘する。「AIはIT系の労働環境をまとめて更地にしてしまう巨大なローラーのようなものだ」という考えは間違いでなく、AIによって退屈で嫌気の差す冗長のような仕事をしなくても済むようになる点から、かえって労働環境がよくなるくらいだ。」彼はデジカメを例にあげて次のように言う。デジカメの登場でまずより多くの人が写真を取るようになり、やがてこれが携帯に搭載されるとその売上も大幅に伸びたと。

「このサイクルには2つのことが必要です。まずイノベーティブな企業の存在と、カメラと携帯を低コストで組み合わせる方法を見つけ出す優れた労働力。そして第二に携帯電話に700ドル出せるだけの人の購買力向上です。この2つが揃ったことで素晴らしいサイクルが生まれました。これはテクノロジーが労働市場を悪いようにではなく良いように変えるという1つの証拠です」

今以上のことをするには、そのための鍵が必要だなどと謳われるが、AIはこのことを実現するものだ。我々がより多くの時間を作り出し、悩ましいことが減るだけでなく、問題に新しい方法で取り組み、仕事を効率面以外でも改善するためのキャパシティが我々に生まれてくる。

 

AIはどのように我々にとって変わるのか

産業革命が起こる前、人々は週60時間働いていた。それがテクノロジーによって40時間に短縮された。やがてやってくるAI時代の革命がやろうとしていることは同じだ。産業革命が受け入れられたのは物理的労働が目に見えて減ったからだ。片やAI時代のそれはより低レベルな知的タスクを解消するものである。

以下に挙げるのはAIが労働をどのように変えるかという予想だ。

1. 品質管理にAIが使われる

IBM Watsonは製品の瑕疵の検知や安全性や性能を図るテストに使われている。これにより企業は訴訟にかかる費用を節約できているだけでなく、携わる人は生産やそれに関するイノベーション、AIプロセスに適用可能な品質保証の改良に集中することができている。

2. AIによるToDoリストの自動化

AIドリブンなCRMであるSpiroでは、営業に出かける人のメールやカレンダーなどから情報を集めてToDoリストを作るシステムを構築した。これにより営業マン自身が接点や見込み客の分析を行う時間を減らし、関係性の構築により多くの時間を使えるようになった。

3. 人が解決すべき問題をAIが見つけ出す

ITとDevOpsチームはAIに対して慎重な姿勢を見せている。ここまで書くと日々の仕事での分析や問題解決スキルに関する話にも見えるが、AIが人の代わりにコードやログそのほかから人が解決すべき問題を力技で探し出すことで、人は適切なソリューション開発に力を注ぐことができるようになる。

AIというと人から仕事を奪い、大量のデータが収集されると言った暗い話に行き着きがちだ。しかしこういった新しい物の見方への移行は我々のより短い労働時間、あるいは長い週末の実現、そして人が出来る限りポジティブな人生を送る為に必要なものだ。