AI、マシンラーニング、ブロックチェーンの発展により、過去5年で金融業界は大きな変化を経験した。金融部門で急速にスーパーコンピューターが人に取って代わるようになっており、金融の未来はこれまでの金融アドバイザーやトレーダーではなく、コンピュータサイエンティストとビッグデータの専門家に大きく依存することになるのは疑いがないところだろう。

世界トップの金融企業が金融アナリストや投資アドバイザーではなく、定量分析の専門家やコンピュータサイエンティストを多く採用しているのは驚くことではない。世界でも優秀な金融アナリストを輩出しているCFA協会は、この業界のビジネスはこれまでと同じようにはいかず、AI、ビッグデータ、マシンラーニングをそのカリキュラムに取り入れる必要があると気づいている。

片や仮想通貨を支えるブロックチェーンについても業界で一定の立ち位置を確立しており、アナリストたちはインターネットがメディアに対して起こしたようなことを金融システムに対して起こすだろうと見込んでいる。投資資産としての仮想通貨はBitcoinが2016年から2017年に1500%の急騰を見せ、2018年には63%にまで値崩れするまで、爆発的な人気を集めた。今では2000種以上ある仮想通貨は同じような成長や暴落を見せており、大きな投資チャンスを生んでいる中、リスクの種にもなっている。

デジタル通貨のデータ量は積み上がる一方だが、これらを取引する側が投資に対する知見を人力で見出すのに困難を感じており、AIやマシンラーニングによるソリューションの登場が待たれる動機となっている。AIやマシンラーニングを使ってビッグデータを解析し、株取引を行うというのは、金融市場の主流において新しいことではない。

仮想通貨市場にAIやマシンラーニングを適用するのは、かつてのデータ解析と同じように行われる。アルゴリズムによる投資の意思決定を行う主な利点はスピードと正確さである。どちらも非常に不安定な仮想通貨市場において最も重要な要素だ。また機械学習による取引の場合、トレーダーの特定の専門スキルやインサイダー情報を必要としない。

例を上げるとEthereumネットワークのブロックチェーンプラットフォームであるSignalsは、人工知能によりトレーダーがより素早くスマートに取引の決定を行い、利益を最大化するためのものだ。Signalsによって、仮想通貨のトレーダーたちはその経験を問わず、従来の分析からマシンラーニングを使ったものまでさまざまなアルゴリズムにアクセスすることができる。

別の例を上げると2014年から開発が続けられているRobo Coin Advisorがある。このプロジェクトは世界最初の仮想通貨についてのアドバイスを行うロボットであり、AIと仮想通貨技術、ブロックチェーンを組み合わせて、投資家にその日の値動きの予想や、仮想通貨及びそのトークンについての統計情報をもたらすものだという。

だが多くのデータの動きがある中で、これらアルゴリズムが正確な判断を導き出すことができるかを、どう確約できるのだろうか? それは過去のデータを使ったテストだ。その過程でアルゴリズムが過去のデータを使い、さまざまなシナリオからどういった答えを導き出すのかがわかる。Quantopianのようなプラットフォームは株取引アルゴリズムについての過去データを使ったテスト結果を多く提供しており、仮想通貨取引についても提供が始まっているものがある。

アルゴリズムによる投資が仮想通貨取引の利益に関するもう一つの観点が、市場での取引に関するニュースのスキャニングだ。高頻度で取引が行われるなか、自然言語を処理できるコンピュータアルゴリズムが取引に関するニュースを特定し、それに応じて即座に取引を実行する。こうしたアプローチは、その場その場の状況で大きく変動する仮想通貨取引市場で非常に役に立つものだろう。

例えばつい最近あった規制取締のニュースは仮想通貨の値動きに非常に大きな影響を与えた。規制取締のニュースを即座に特定し、直ちに取引を行うようトレーニングされたアルゴリズムがあれば、トレーダーはどちらに市場が動いても利益を上げることができるだろう。

ブロックチェーンと仮想通貨は社会の主流での立ち位置を確かなものにしようとしており、これら取引にともなうデータの量は増え続けていっている。長期投資家でもデイトレーダーであっても、業界に残り続けていくのであれば最新のテクノロジーを受け入れる準備をして置かなければならない。