過去10年ほど産業(B2B)アプリケーションに提供されてきたARソリューションを静観してきた人間として、協働した様々な同僚の考えは常に2つのパターンのどちらかに分類されることに気づいた。

初期導入者:彼らが手がけているプロジェクトについて知り、現場で行われている開発についての熱い話に耳を傾け、そのソリューションの概要から今抱えている制限事項を知ることは容易だ。彼らのAR製品やアイデアの多くは非常に用途が限られており、ハードウェアの制約も多く、そのコストはどうやっても正当化できないほど割に合わない。また一般的に技術の限界に挑戦する姿勢のある企業によく見られるケースだ。

否定論者:大部分を占める技術についてよく知らないか、あるいはアプリケーションの幅をマーケティングやゲーム産業に限定しているグループのことだ。私もかつてはそういうグループの一人だった。

だが2017年に概況は大きく変わった。初期導入者達はもはや珍妙なゴーグルをかけた変わり者ではなくなり、かつては否定論者に属していた運用やメンテナンス業、サービス業、物流業のビジネスリーダー達は、この波に乗るために大きく方向転換しなければ取り残されることとなった。

人によっては言いすぎだという人もいるだろうが、世の中が変わったのは明らかだ。次に挙げるさまざまな分野での進歩について考えていこうと思う。

 

ソフトウェアはどう変わったか

屋内マッピングや位置特定、ナビゲーション機能が今では使えるようになり、自律運転車からの成果も大きく寄与したことから、使えるハードとソフトはどちらもすばらしいものになっている。GPSに縛られていた物流やそのほかのアプリケーションも、その制約が無くなった。

 

コンピュータービジョンと機械学習の影響

物の特定やマッピング、認識や異なる物体の追跡などを可能にするAR技術の中核は、多くのプログラミングを必要としたプロセスからより自動化されたものになっている。SFのように数百万個の物体を同時に認識して処理するというレベルとまでは行かないが、メンテナンスやトレーニング用のB2Bアプリケーションに求められる認識・追跡能力は既に実現されており、そのコストも一般的な対費用効果分析に耐えられるものだ。

 

ハードウェアの変遷

数年前の市場で手に入るスマートグラスにはいくつかの制約があった。まず重く、視野が限られており、熱を持ちやすく、すぐに電池が切れ、単眼であり、提供される体験は全体的に言って貧弱なものだった。しかしその進歩と専門化することによって、その性能は理想的な仕様にかなり近くなった。また企業はANSI規格や防爆性能評価そのほか、産業アプリケーションに関するあらゆることをスマートデバイスにも適用を進めている。ほかにも外付けのバッテリやプロセッサ、安全な接続、改善された視野といった小さなデザイン機能も、ハードウェアが産業用途に求められる水準に近づくことに役立っている。

 

そして言うまでもなく周波数帯域幅について

ARアプリはローカルで動くもののほかに、クラウドや企業のERPシステムと連動するものもある。そうした物はWi-Fiが繋がらないと使えないのだが、究極のゴールはWi-Fiが使えない状態でも遠隔アシスタンスや適切な情報の提供が可能なAR世界の実現だ。IoTはこれの助けになる。製造現場や倉庫、データセンターその他のあらゆる空間に帯域を消費するデバイスが入り込むこととなり、ネットワークに繋がらない所は無くなる。その結果、コネクティビティがアプリケーション用途から企業成長の鍵へと変わるのだ。

産業アプリケーションにはコンセプトの証明が必要とされ、最初はテストモデルから始まり、最初のソリューションが生まれ、何度かの接続技術の改良が入り、ソリューションのスケーラビリティのモデル化が始まり、レガシーハードやIoTソリューションとの統合が行われ、世界的な展開に至る。

AR技術の進歩は旅のようなものであり、その一歩一歩は生産性や人間工学、企業文化に与える影響といった観点から評価される必要がある。こうした過程と、企業が適切なパートナーとアプローチを選べることが、ソリューションの生産性やインパクト、それが持つ価値、そして成功するかどうかに大きくかかわってくる。

2017年は間違いなくARの世界に踏み出す年となる。5年以内に対応しなければ周りの優れたARによるアプローチにあなたは競争で太刀打ちできなくなるだろう。最初の一歩を踏み出そう。

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