IoTについて色々なことが言われている。業界をまたいだ幅広いテクノロジーの開発が進むことにより、あらゆるところでのイノベーションサイクルが根本的に変わるという。だがそれはどこまで本当なのだろうか?

「IoTについてわかっておくべきことの1つに、このテクノロジーが非常に高く評価されている点が現段階にあります。」と語るのは、NokiaのIoTマーケティング副社長Jason Collinsである。

彼はさらにこの騒ぎを黎明期のインターネットと比較している。静的なページとハイパーリンクはインターネットの可能性を完全に開花させるにはいたらず、さまざまなウェブベースのビジネスが爆発的なブームとともにやってきては、失敗して消えていった。しかしそれでも我々がインターネットとよばれる貴重なネットワークやサービスインフラは残された。

「というわけでインターネットはいわゆる大したもとなったのです。」とCollins氏は冗談交じりに語るが、IoTのサイズをどう定めるかという真面目な話にうつる。

 

そこから生み出す結果を考慮しどのようにIoTの規模を決め、その結果をどう評価するのか?

インターネットの価値を測るのは難しい。今日ではコンピュータやスマートフォンから何十億というオンラインデバイスにつながることができるが、生みだされる価値とはそういったことよりもっと幅広いことをしめすだろう。

「ベル研究所にいる私たちのチームがこのことを分析した結果、IoTの価値は今日のインターネットの36倍になると試算しました。IoTの潜在的価値は接続されたデバイスの数と、IoTデバイスやアプリケーションをユーザーが感じた価値につながっています。」

この潜在力を考えたら、我々はコネクテッドテクノロジーが生活やビジネス成長をむこう数十年で根底から変えてしまう過程の、ごくごく初期段階にいることが分かるだろう。

 

このチャンスを企業はどう活かすのか?

この新しいマシンタイプ(M2M)通信がでてくる前、製品とサービスを開発し、販売するビジネスを推進する主な要素が2つあった。

だがこれもIoTのおかげで変わろうとしている。この大きな変化を生みだすキーとなるのが、急速に普及するコネクテッドデバイスがものすごい勢いで生みだすデータだ。

「世の中がコネクテッドになることで企業やその顧客は大量のデータから恩恵を受けると言いますが、話はそう簡単なものではありません」と、NokiaのIoT部門でマーケット開発ディレクターを務めるMarc Jadoulは言う。

おそらくこれは「アナログからデジタルへ」と言う観点でとらえるのが最もいいのだろう。機械やネットワークがデータを集めるなかで効率的なふるまいを学習し、それをどう使うか分析する。ジャドウル氏はさらに、IoTをモノが通信する環境というだけでなく、コンテキストや意味を生みだす「コネクティブな組織体」、あるいは「グローバルな神経系統」として考えるべきだととく。
これがIoTから価値を引きだす第一歩になるという。

これが達成されたうえで、かつてインターネットの検索機能がそうであったように、IoTは「問題解決のためのプラットフォーム」を提供できるようになる。「Googleなどのプラットフォームは情報へのアクセスだけでなく、そのコンテキストも提供しています。
おなじくUberは公共交通に変革をもたらすモデルを提供し、AirBnBは宿泊の新しいモデルを提供しています。
彼らは今のビジネスモデルを変えるためにコネクティビティとデータを利用しており、IoTはコネクテッドカーやデジタルヘルスケア、スマートホーム、そのほか多くの分野でイノベーションのプラットフォームとなることでしょう。」とジャドウル氏はいう。
ビッグデータと新しいサービスが牽引する成長の可能性は限りない。

ワイヤレスセンサーのネットワークはアナリティクス機能を備えたアプリケーションへと成長し、いまのM2Mよりも大きくリッチなエクスペリエンスを可能にするとも同氏は言う。

しかしデジタルな変革が訪れるのは、プラットフォームやデータ、そして(いまだ非常によくみられる)縦割り型のアプリケーションだけの範疇にとどまらない。このテクノロジーから多大な利益を生みだすには、組織の文化や考え方にも大きな変化を求められる。

 

企業内部の成長を牽引するのは誰か?

M2Mに見られる新しいイノベーションは、しばしば企業内部で積極的に行われるコスト削減と、指揮管制として知られるプロセス最適化から生まれる。我々が工業IoT(IIoT)、あるいはIndustry 4.0.と呼んでいるものだ。

初期のIIoTが目標としてきたのはコスト削減とプロセス最適化だが、やがてくるエンタープライズIoTは製品やサービスのイノベーション、まだ見ぬビジネスモデルによっても大きな成長を可能とするものだ。この新しいテクノロジーにこれまでのIT屋だけでなく、よりよいエクスペリエンスのために様々なイノベーションネタを仕入れ、顧客と向きあうことは新たな収入源を求める製品マネジメント層の人間が早々に興味を示したとしても驚くことではないだろう。

「IT屋がコスト削減のために用いる方法ではなく、企業がIoTを成長の媒体と見なすことが早くなればなるほど、企業内でのIoTはより早く立ち上がるでしょう。」とJadoul氏は言います。

 

IoTが向かう先とは?

コネクテッドテクノロジーが成熟し、人々の考え方に大きな変化が訪れれば、IoTはステークホルダー達に新しい価値を提供するようになる。

「企業はビジネス上の問題解決に目を向け始める必要があり、その考えを縦割り型のアプリケーションの範囲を超えたところに広げなければならない。現状にとどまるかぎりえられる価値も限定的なものとなる」と、Nokiaのビジネスモデリング主席
Lee L‘Esperanceはいう。これまでの企業を見渡して、彼は本当の価値が製品とサービスによってもたらされると付けくわえている。

IoTは企業に大きな影響を与えうるものだが、ただのポイントツーポイントなリンクではなく、コネクテッドな組織体を形成するためのアーキテクチャづくりが必要である。ビジネスコンテキストのなかでIoTソリューションを設計できるように推進することは、
ビジネスモデルを適正化し、価値を生みだし、成長し高い投資対費用効果を達成することにつながる。つぎの記事ではビジネスモデルをどう開発するか、ステークホルダーに新しい価値を手にするチャンスをどう生みだすかについて述べようと思う。

この記事はNokiaとのパートナーシップで執筆されたものである。

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