Pocket

製造分野のプロセス改善のためにますます物理的なロボットが用いられるようになっているが、バーチャルボットやチャットボットも、人とコンピュータのやり取りが求められる分野で大きな注目を集めている。

これらボットとはタスクの自動化や効率的な人とのやり取りを可能にするソフトウェア技術を指すものだ。ボットは世界中の企業のカスタマーサービス業務においてますます伸びてきており、Microsoft、Google、Facebookといった大企業は自前のボットプラットフォームを携えてこのゲームに臨んでいる。

ボット市場も大量の資金を引き寄せ始めているところだ。最近の数字でいうと、ボット関連の企業180社がこれまでに集めた投資は240億ドルに達するといい、他にも多くの企業が投資集めを争っている状態だ。

チャットボットはこれまで主にメッセージングアプリが占めていたところに出てきたものであり、ユーザーフレンドリーな対話のためのインターフェイスがしのぎを削っていた分野でもある。これらボットが活用できる分野にはタスクリストや税金の管理、ミーティングの調整といった仕事に関するものも含まれる。

この技術はまたリモートでの食料オーダーや予約の受付などのカスタマーサービスの自動化を考えている企業でも使われている。

ボットの普及の伸びの理由の一つにあげられるのが、AIソフトウェアの劇的な性能向上だ。AIの大きな性能向上によりコンピュータの言語処理能力はこれまでになく高精度になり、人との対話が大きく改善された。

その改善された言語能力は、注目だけでなく馬鹿にならない額の投資も集めている。

投資家の目を惹いているいくつかの興味深いボットの新分野があることが近年の調査で分かっている。

今日もっとも多くの投資を集めている分野は、ボット開発及びサービスプロバイダであり、投資額は2010年以来200億ドルにのぼる。

ここ6年間、ボット関連で多額の投資を集めている他分野は、メッセージングプラットフォームが20億ドル、インフラやコネクタ、サービスシェアが10億ドル、AIツールが5億100万ドル、パーソナルアシスタントが4億4300万ドル、バーチャルエージェント/カスタマーサービスが1億870万ドル、ボットディスカバリーが1億210万ドル、チームコミュニケーション/生産性向上が5200万ドル、AIアナリティクスが2000万ドルとなっている。

どの企業がもっともボット関連の資金を集めているのかを見ると、トップ企業は興味深い並びとなっているが、その中でもFacebookが圧倒的なのはいうまでもなく、額は全体の投資の多くを占める1830億ドルにもなる。

他の企業とは大きく差が開いており、2番手のLINEでも13億ドルといったところだ。さらに順位を下っていくと、メッセージングやカスタマーサービス、ビジネス生産性に取り組む企業が名を連ねている。

ボット関連で投資を集めている企業トップ10には、Slackが5億4000万ドル、Twilioが4億8400万ドル、Stripeが4億4000万ドル、MZが3億9000万ドル、Foursquareが2億700万ドル、Interactionsが1億3500万ドル、Kikが1億2100万ドル、Skypeは7700万ドルといったところが入っている。

 

新たな激戦区が生まれるか?

ボットが幅広く急成長を遂げていることは、登録ユーザー2億7500万人のためにボットストアを開いたKikのMessengerから見てとることができる。同プラットフォームではVine動画を他人に送ったり、化粧品店のSephoraからメークのおすすめを聞いたりするための様々なボットが揃えられている。

MZのケースも興味深い。同社はチャートのトップを飾った携帯ゲーム Game of War を作った会社だ。だが同社はニュージーランドの交通エコシステム全体を動かすボットという、これまでとは全くかけ離れたプラットフォームを作り上げた。

ボット業界は更に多くの人たちが注目するようになっており、400社以上が既にこのテクノロジーが持つ市場での可能性を求めてひしめき合っており、投資もそれに伴い集まるようになっている。だがリサーチ企業 VentureBeatのアナリスト Jon Cifuentesは、ダーウィンの法則に従いこれら多くのスタートアップ企業も弱いものから排除されていくと予想している。

Cifuentesは次のように言う。「ボットの利便性は、ユーザーが繋がる先のサービスの利便性にかかってきます。生き残るためには、ボットをできるだけ早く世に送り出さなければなりませんが、それがいい加減なボットやそれを機能させるためのツールの場合は生き残ることはできません。」

ボットの波に飛び乗ろうとする企業がひしめき合っている状況ではあるものの、質の高いボットがいい加減なボット群といずれ差をつけることになるだろう。だがそのためには我々の生活を大きく改善するボットを作り出すための多額の投資が必要となる。

「優れたボットを作るのは大変な苦労を伴います。なぜなら便利なサービスを適切に呼び出すことを求められ、そのためには
いいアイデア、いいチーム、そしてなにより資金源が必要になるからです」と彼はいう。

AIテクノロジーが進んだとは言え、今日のボットシステムはまだ人間ができるようなオープンエンドな問いかけに対応することが難しい。だがテクノロジーが進化し続けることで、便利で適切な会話型製品の設計について、発展的かつ健全な議論が生まれることだろう。

Pocket