コネクテッドカーに蔓延するイノベーションにより、その開発はますます盛んなものになっているが、その「コネクテッド」な面は、使われているネットワークに準ずるものになる。ネットワークが届かない場所では、このことが問題を起こすリスクとなり得る。特に多くのコネクティビティソリューションは通信をユーザーの携帯に依存しており、その携帯は大抵単一キャリアのネットワークに繋がっている。この問題は回避できるものなのだろうか?

何かをしようとして携帯を取り出したところ、電波が届いていなかった時のことを思い出してもらえるだろうか。車に乗っているときに起こると余計に腹立たしいものだ。携帯をカーナビにしてドライブに出たことがある人のなかには、地方や主要な高速道路から離れた所に行った際、セルラー網のカバレージから外れてしまい、地図が読み込まれなくなったことを経験した人もいることだろう。

あるいは子供が車内で動画を見ているときに、キャリアの電波が切れてストリーミングが止まり、子供が泣きわめくといった場合もあるだろう。こういった状況は不便で腹立たしいものであるが、こうしたどうしようもないことが車の故障や事故といった本当に危機的な状況下で起こったとしたらどうだろうか。

コネクテッドカーソリューションは市場に溢れているが、それらのほとんどは携帯とペアリングするか、ソリューション自体のコネクティビティで通信をまかなう。どちらの場合でも使えるネットワークは単一キャリアに限定される。結果、キャリアがカバーしていない地域では通信ができなくなってしまうのだ。
Opensignalがアメリカの主要なキャリアについて調査を行った結果、国土の87%以上をカバーしているキャリアは無く、場合によっては70%もカバーしていないことがわかった。また同調査では、キャリアはカバレージよりもダウンロード速度を重視していることもわかった。

Network coverage Comparison

2018年にEUでは自動車が事故の際に緊急サービスに自動的に接続することを求める規制、eCallが施行される。カバレージを外れているために、車が緊急サービスに接続出来ないとしたらどうなるだろう?

IoT World Alliance (Cisco Jasper) やRACO Wireless (KOREにより買収)といったコンソーシアム組合は世界のカバレージの問題に取り組むことを目的としているが、それぞれの地域をカバーするのはやはり単一キャリアであり、問題は依然として存在する。

IoTのコネクティビティをまかなうため、モバイル仮想ネットワークオペレーター(MVNO)も乗り出してきた。MVNOは自社で電波塔などを持つかわりに、様々なキャリアから帯域幅を買っている。しかし異なるキャリアから帯域幅を買っているということは、カバレージは時とともに変化する可能性があるということだ。帯域幅を仕入れるキャリアが変われば、サービスの一貫性が保たれないこともありうる。

世界的な通信サービスプロバイダ Orange Business Servicesは、ほぼ全世界の国で複数のキャリアと協定を結んでいる。OrangeのIoTコネクティビティソリューションの興味深いところは、その地域で一番強いキャリアのネットワークを選んで自動的に接続するという点だ。これによりカバレージの穴を大幅に減らし、商業的に見込みのあるソリューションが提供できる。

「現在、自動車を取り巻くイノベーションの多くはコネクティビティについてのものです。コネクテッドカーはメンテナンス費用の削減や事故のリスクの低減・安全性の向上など、新たな交通エクスペリエンスを創り出すさまざまな機会を生み出します。」と、Orange Business Servicesのコネクテッドカー部門責任者 Julien Massonは語る。

コネクテッドカーとIoTの世界が成熟するにつれ、業界はサービスの信頼性、冗長性についても考慮する必要が出てくる。セキュリティや緊急時のサービスを提供する場合であれば特にそうだ。乗客にデータストリームを提供できるのは素晴らしいことだが、結局のところソリューションの価値はそれを支える通信の信頼性次第である。生死を分けるような場合は尚更だろう。

 

 

この記事はコネクテッドカーシリーズの一部である。上図の高精細版はここからダウンロード可能だ。