リクルートテクノロジーズが開発する会話エンジン「TAISHI」を搭載した、人型ロボット「Pepper」※1が2016年10月、沖縄銀行5店舗に登場。業界初、金融知識および “文脈考慮”技術を搭載し、金融に関する対話業務(接客)をスタートする。

※1 本取り組みは、ソフトバンクロボティクス株式会社が提供・開発するPepperの法人モデル「Pepper for Biz」を活用し、リクルートテクノロジーズと沖縄銀行が独自に実施。

ITバリアフリー化の足がかりへ

沖縄銀行がリクルートテクノロジーズのロボット会話技術を採用

2016年の人口増加率が東京都に次いで全国2位であり※2、平均寿命も長い※3とされるなど、銀行利用者の多様化・高年齢化が進む沖縄県。また、銀行の店頭業務はIT化が進み、接客時もタブレットが活用されるなど、来店者のITリテラシー次第で、サービス満足度に差が生まれやすい環境となりつつある。

沖縄銀行では、こうした背景を踏まえ、地方銀行として、多様化・高年齢化する利用者層に対し、店舗のバリアフリー対策など、新たな提供価値を生み出す必要があると考えてきたという。

一方、リクルートテクノロジーズでは、「ロボットとの対話により、ITリテラシーが高くはない生活者層に対しても、さまざまなIT技術や、Web上の情報にアクセスできる機会を提供したい」という考えのもと、自然な対話をおこなえる会話エンジン「TAISHI」を独自に開発し、実証実験を重ねてきた。

今回、「将来的に、ITのバリアフリー化を実現する足がかりとしたい」という両社の意向が合致した結果、沖縄銀行向けにカスタマイズした「TAISHI」をPepperに搭載し、店頭での接客業務に採用することになったのである。

※2 「日本の統計2016」(総務省統計局)より。前年から人口が増加したのは、東京、沖縄、埼玉、神奈川、愛知、千葉、福岡の7都県(増加率順)。
※3 都道府県別平均寿命は、女性が86.88歳で1位、男性が78.64歳で25位。(参考:「都道府県別平均寿命」厚生労働省)

 

“集客”ではなく“対話”で業務サポートへ

金融知識を搭載したPepper、5店舗で一次接客スタート

沖縄銀行では昨年12月より順次、複数店舗にPepperを設置してきた。しかし、来店者とPepperとの対話は少なく、商品やキャンペーンの紹介、カチャーシー(沖縄独特の踊り)披露など、あくまでその効果は“店頭への集客”にとどまっていた。

今回は、スピーディーかつ的確な対話をおこなえる「TAISHI」をPepperに搭載することにより、“来店者との対話”を主体とした業務サポートを図るという。下記5店舗にて10月より、以下の業務を担当する予定だ。

【導入店舗一覧】
本店営業部新都心支店牧港支店山内支店名護支店

【「TAISHI」搭載Pepper 業務内容】
■「TAISHI」搭載による来店者との金融に関する対話(来店者の質問へ回答)
∟たとえば、ATMの利用時間、手数料、預金・融資商品、住所変更など手続き方法の案内など。
■Pepper胸部タブレットを利用したアンケート(ローンの決め手など)による、来店者ニーズの把握。※9月以前から実施中。

実施時期は未定であるものの、今後は、方言対応やインバウンド需要に備えた複数言語への対応をおこなったり、地価情報など外部データを会話に反映させたりすることで、来店者との取引契機拡大を図ることも視野に入れているという。

 

独自会話エンジン「TAISHI」に金融知識をカスタマイズ

“文脈考慮”機能により会話の流れに沿った応答も可能に

店頭で Pepper に話しかけると、 左図のような仕組みで返答する。この仕組みは、リクルートテクノロジーズが自然言語処理技術を活用し独自開発した会話エンジン「TAISHI」により実現した。「TAISHI」はクラウド上のデータベースのため、Pepperに限らず、スマートフォンやWebサイトなど、あらゆるデバイスに搭載可能という特徴を持つ。

また、基本会話辞書のほかに、さまざまなデータベースを「独自辞書」として付加することにより、会話のレパートリーを自由に拡張することが可能であり、今回は、「TAISHI」において「金融」分野のデータベースを開発、実装した。専門用語の解説や、質問への回答など、業務に関連する対話を想定した仕様となっている。

さらに、今回の取り組みでは、ビジネスシーンでより適切な対話を実現するため、Pepperへ搭載される会話エンジンとして初めて、金融辞書を付加した「文脈考慮」技術を開発・搭載。これまでの一問一答ベースでの対話ではなく、直前の会話内容(文脈)を記憶して話す内容に反映する。

たとえば、Pepperに「金利」に関する質問をした場合、それまでの対話内容に応じて、「ローンの金利」・「預金の金利」・「為替の金利」など、最適な回答が瞬時にできるため、より来店者のニーズに合った対話が可能になる。

今回の取り組みの背景には、将来的なITのバリアフリー化を見据える両社の意向があったという。今後、来店者からどのような反響が得られ、いかにロボットや会話エンジン活用の可能性が広がっていくだろうか。今後の実績と動向に注目したい。

【参考URL】
リクルートテクノロジーズ
アドバンスドテクノロジーラボ(ATL)
沖縄銀行

提供:リクルートテクノロジーズ

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