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テクノロジー業界は数多の産業を改革してきた。そういう場合には必ずある種の企業が現れる。改革によって打撃を受けた企業が事態を切り抜ける助けができないか、と考える企業だ。だが、新たに地位を築いた企業に打ち勝つのは、思ったよりもずいぶん困難であり、成功例は少ない。

タクシー業界も例外ではない。テクノロジー面でのパートナーを希望する企業や投資家から、この業界に合わせたサービスの設計や投資をしたいのだが、と相談されることがある。私の答えはこうだ。簡単なことではない。業界に参入し、従来のタクシー向けアプリをパパッと作ったら、Uberのようにその新しいサービスが他社に圧力をかけるのを黙って見ていればいい、というわけにはいかないのである。

だが、業界が努力を続けていないというわけではない。タクシー業界の狡猾な宿敵を制するべく、新たな試みが注目を集めている。近く発表されるArroは、多くの先行サービスと同様、タクシーを呼び、支払いをするためのアプリで、あのシリコンバレー生まれの企業が生んだアプリに類似している。

Uber、Lyft、Sidecarなどをマネし、それなりのアプリができれば、タクシー会社と提携するというのはうまい考えだ。タクシー会社の多くには、そのアプリに注ぎ込む資金がある。だがタクシー業界には根本的な問題があり、それによってシリコンバレーの新興企業との競合が困難となっている。実際、今のところ志を同じくするタクシー・アプリは、どれもUberの成長を止めることはできず、完敗している。リリース直後にサービスを完全に停止してしまうことも多い。その理由はこうだ。

タクシー台数には制限があり、乗客は待ってくれない

Uber、Lyft、Sidecarのようなアプリによって、ユーザーが期待するものは変化している。乗客はよりせっかちになっているのだ。「最寄りのUberが2、3分以上離れていると、ユーザーが車を呼ぶ確率がはるかに減少する都市もあります。その一方で、他の都市では、10分ほどの待ち時間をすんなり受け入れてもらえる場合もあります」。Uberのデータ・チームはブログ記事にこう書いている。

ある都市でUberやLyftのサービスが定着するにつれ、そのエリアの市民は待つのを嫌がるようになる。

タクシー業界では、ドライバーが安定した収入を維持するため、走行車両の数が意図的に制限されている(そうしなければ、個人レベルで収入が減ってしまうドライバーは非常に多いだろう)。結果として、乗客は長時間待たされることになる。一方、2014年の研究では、アプリで呼んだ車の92%が10分以内に到着したが、10分以内に到着したタクシーは16%のみだったという。

UberとLyftは急進的なイノベーションが可能だ

手の込んだスマートフォンのアプリを設計するのもひと苦労だ。問題は最先端の機能とは全く別のところにある。こういったアプリによる変化を、全従業員に、ただちに受け入れてもらわねばならないということだ。

Lyftは相乗り機能により、サンフランシスコのほぼ全域で、一回たったの$6で利用できる。顧客が最も好むサービスを知るため、Lyft(とUber)は、新たな価格モデルをいち早く試行しており、このためベイエリアでは価格と機能がかなり頻繁に更新されている。

タクシーは、様々な官僚機関に監督されたメーター制の価格システムにのっとっている。そこには急進的なイノベーションは備わっていない。

また、技術革新をどうにか実施にこぎつけたとしても、タクシー運転手がそれを使いこなすのは難しそうだ。昨春、筆者はFlywheelという新たなスマートフォンアプリから、サンフランシスコのタクシー向けの新機能をデモするよう頼まれた。乗客がタクシーに乗り込むと自動的に認識されるとのことだったが、この機能は(何度も)うまくいかなかった。その主な理由は、ドライバーに十分な技術研修が行われず、タクシーを操作する既存の方法とアプリを連携させるのが困難だったためだ。

イノベーションとは、柔軟であること、他のものと繋がることと同義であり、開発者や企業家として、余裕を十分に持てるということだ。だが、それはタクシー業界でパートナーを望むことにはならない。政府が管理し、労働組合に加入している業界は、ビジネスモデルの核心部分にイノベーションを起こすような経験は持ち合わせていない。そういった理由から、Arroがシリコンバレーのテック企業と競合したり、あるいは共同で事業を行ったりするのは大変なことだろう。

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トップ画像提供:Shutterstock

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