Pocket

新しい家族の誕生を機に、東京を離れる決断

– まず、現在携わっている業務について教えてください。

second (2)
◇ChatWork株式会社 CTO室 九岡 佑介(くおか・ゆうすけ)氏

九岡氏:我々が提供するチャットワークというサービスのインフラの運用と開発に携わっています。その中でも特に、OSSを活用したインフラのソフトウェア化を率先して行っています。これまで属人的な側面が強かったインフラを変えていくのが僕のミッションです。

capture

– ChatWorkに入社するきっかけは何でしたか?

九岡氏:端的に言うとライフステージの変化ですね。僕みたいな自分の技術をどこかに活かしたいと思っているエンジニアにとって、東京は力を発揮できる所が多いと感じていますし、僕自身やはりそうだったので、前職までは東京でキャリアを積んでいました。

価値観が変わり始めたきっかけは、妻の妊娠でした。家族で過ごす時間をもっと大事にしたいと思い、妻の実家のある香川で仕事をする決意をしたんです。そこから、東京と同じような仕事が香川でもできないかと考え、いくつかリモートワークができる企業を探していたところ、弊社はリモートワーカーの受け入れ体制が他の会社と比べ段違いに成熟していて良かったんです。

– ChatWorkに入られて苦労したことはありますか?

九岡氏:そうですね。2年ほど前に立ち上がった、老朽化したソフトウェアを作り直すプロジェクトが当てはまるかもしれません。具体的に言うと、2年ほど前に全システムをPHPからScala言語に作り直そうという動きがでました。前職でScalaを使っていた経験もあり、僕もそのプロジェクトに入ることになったんですが、そのプロジェクトが一段落するかという段階で当時のインフラエンジニアが退職することになり、急きょ僕がインフラを担当することになりました。

その前任の方が5,6年かけて作りこんでいた機能が、最先端の素晴らしいものばかりで。たとえば必要なときに必要な分だけサーバを稼働させる「オートスケール」が当たり前のように搭載されていたり、データセンターが落ちてもサービスを継続できる仕組みがちゃんと組み込まれていたり。また、開発当初としては最善の方法でサーバの構築や運用が自動化されていたりもしました。退職にあたっては、その方が沢山あるドキュメントをさらに充実させてくださって、説明会を開いてもらったりしたのですが、少し勉強した程度じゃキャッチアップできないんですね。社内で一番インフラの経験がある僕ですらその状態でした。

つまり、チャットワーク利用者はこれから増えていくだろうし、もっとサービスをアグレッシブに強化していきたいのに、自由にインフラを変えられる方が一気に減ってしまったんです。その時期はけっこう大変でした(笑)

かといって、インフラエンジニアも急激に増やすことができるわけではありません。そこで、プログラマの力をもっと借りてインフラを一緒にメンテナンスできたら多少は楽になるんじゃないかと思い、インフラをソフト化することにしました。

 

「人間国宝になりたい」を後押ししてくれる

– 九岡さんが目指しているエンジニア像を教えてください。

third (2)

九岡氏:エンジニア像、かどうかはわからないですが、目標は「人間国宝」です。「九岡と言えば○○」と言える代表作を作りたいんです。たとえば、Rubyを開発したまつもとゆきひろさん。Rubyそのものの設計をした人、コードを書いた人、実案件で使ってテストに貢献した人などを含めると、Rubyの開発に携わった方は何千人もいると思いますが、未だにRubyは彼の作品と呼ばれ続けていますし、これからもそうでしょう。

代表作があればそれで食べていくこともできて、エンジニアとして自分の開発した技術で食べていけることほど幸せなことはないと思います。そのような代表作を持っている、ということは人間国宝の条件かなとも思いますし、僕もそれを目指したいですね。

– そういう環境がここには揃っているんですね。

九岡氏:そうですね。OSSを公開したり、活用したりしている理由も実はそこにあったりします。OSSだと多くの人に使ってもらえて、結果的にフィードバックも多くもらえるのでソフトがどんどん良くなると思いました。結果的に、その中から代表作が生まれて人間国宝になれるかもとも思いました。

普通、会社としては内部の知見を外に出したくないという場合がほとんどだと思っていて、その場合はOSSを趣味でやるしかなくなってしまいます。しかし、弊社はそこらへんが寛大で(笑)。仕事としてOSSを活用したソフト開発ができていることで、会社に与えられているミッションと個人的な目標、どちらにも最短距離で近づけている感覚がありますね。

 

「ゼロイチ」で開発できる環境に燃える

– もし時間もお金も無限にあったとしたら、何をしますか?

fourth (2)

九岡氏:もっと実験がしたいですね。たとえば、新規のプロジェクトにおいては時間もお金も限られているので、10通りの方法が思い浮かんだとしても、実際に試せるのはせいぜい1,2通りです。エンジニアとしては、机上の空論の中で1選ぶよりも10使って選びたいんですが、時間とか費用の関係で中々難しいのが現状ですね。

なので、もっとお金と時間があれば様々なパートナーさんに協力していただいたり、もっとスペックの良いサーバを大量に使ったりして多くのパターンを試して結論が出せるので、エンジニアとしてはそういう時間とお金の使い方が出来たらいいなと思いますね。あとは、新しい手法や技術を試しやすいので、仮にお金があるのならば、新しいサービスを開発するときなどにそのためだけにサービスを実験的に作って新しい技術がどのように動くのか実験してみたいです。

– とことんエンジニア道を追求していく、という姿勢ですね。最後に、御社に入社されて良かったと思う点を教えてください。

九岡氏:私にとって、実際に海外展開に向けた取り組みの機会が与えられた会社は弊社が初めてなんですよ。エンジニアからすると、海外展開はとても大きなチャレンジなんです。たとえば、今は日本のデータセンターにサーバを置いているので、海外の人がそこにアクセスしようとするとかなりの時間がかかるんですが、それと同じように海外展開するには海外にサーバを作る必要性が出てきます。

そうなると、これまでのやり方ではうまくいかないので、やり方を根本的に変えるためにソフトウェアを開発する必要が出てくる。他のエンジニアの方にも同感してもらえやすいと思うんですが、そういう状況でゼロイチで開発することにすごく燃えますね。そもそもそういったチャンスが他の企業だとあまり無いので、この会社に居られて良かったなと思っています。

– ありがとうございました。

リモートワーカーとして、会社の先を見据えサービス向上のためにインフラ開発を積極的にリードする九岡氏。「会社のミッションと個人的な目標のどちらも最短距離で近づけている」と語る姿は、とても活き活きとしていた。多様な働き方、考え方を応援する環境があるからこそ、人々の共感を呼ぶサービスを生み出せるのだろう。

 

002


今回取材した方

ChatWork株式会社 CTO室 九岡 佑介(くおか・ゆうすけ)氏

2015年11月にChatWork株式会社入社。
福井県出身、香川県在住で、普段はリモートワークでチャットワークのインフラ開発を行う。現在32歳で、ChatWork社は5社目。人生の目標である「人間国宝」に向かって、自分、サービス、会社が全員ハッピーになるようなソフトウェア開発をモットーにコードを書き続けている。マイブームはKubernetesとConcourse CI。

 

Pocket