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目指したのは誰でも操作できる“直感的”な家づくり

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◇株式会社ネクスト グループ経営戦略部 R&Dユニット ユニット長 秋山 剛(あきやま・ごう)氏

– まずは、所属されている『リッテルラボラトリー』について教えていただけますか?

秋山氏:ネクストグループのR&D部門として2011年4月から発足した組織となります。すぐにサービスとして実装されるようなことよりも、ちょっと先の未来の可能性を探っていくような研究開発をメインに取り組んでいますね。

– これまで具体的にはどのようなことをされてきたのでしょうか。『すごい天秤』などとても印象的ですよね。

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秋山氏:すごい天秤は、HOME’Sの物件検索の条件を天秤の分銅という物理的なものに置き換えることで、誰でも直感的に操作できるようにしたものです。家づくりや家に住む人など、「家」に関係している人たちみんなで家探しについて相談できるような場と、それによってコミュニケーションが形成されるような設計のものを作りたいと思って。

簡単に言うと、検索でわかるものは変わらないんですが、そのアプローチの仕方を変えました。

– すごい天秤は海外の方にウケそうな雰囲気もありますよね。

秋山氏:そうですね。先日、SXSW(サウスバイサウスウェスト)というテキサス州で行われたカンファレンスに持っていったときにも、予想以上に海外の方たちが喜んで使ってくれて。直感的なものを目指していた僕たちとしては、言語の壁を越えて楽しんでもらえたので成功と言えるんじゃないかと思っています。

あとは、見た目にも結構こだわりましたね。『HOME’S』にはシャーロック・ホームズを意識した「ホームズくん」というキャラクターがいるので、デザインをホームズの時代にあったスチームパンクというものに寄せたんです。そのデザインだけでも、海外の方たちにウケていました。

 

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– 『GRID VRICK (グリッドブリック)』というのも面白そうな取り組みですね。

秋山氏:これは、家の間取り図をおもちゃのブロックで作ることができるんです。ブロックを配置していくと、リアルタイムで3Dのバーチャルな家が出来上がります。しかも、ヘッドマウントディスプレイをかけることで、出来上がった空間の中を疑似的にウォークスルーすることができます。

これまでにも3Dで家を作るソフトウェアなどは多く出てきているんですが、そもそもソフトウェアを使いこなすまでのハードルが高いという点とPCでの操作なので個人操作になってしまう点が気になっていました。「すごい天秤」と似ているんですが、家族みんなで暮らす家だからITリテラシーとか関係なく、みんなで「あーじゃない、こーじゃない」と言いながら家づくりができるようなものを目指しました。

 

– 直感的なUIが家づくりに必要なコミュニケーションを生むということですね。VRを駆使して、ウォークスルー体験ができるのも新しいですよね。

秋山氏:そうですね。意外にも、日本国内ではVR×不動産という組み合わせに取り組んでいるところがまだ少ないんです。海外では取り入れているところは増えてきていますし、相性も良いと思っています。

– 360°パノラマが最近国内で流行りだしている感覚はあるのですが、そこを飛び越えてVRを使っている理由はあるのでしょうか?

秋山氏:個人的に、360°パノラマと3DCGで制作されたVRというのは本質的に価値が違うと思っています。リアルさでいったら、もちろん写真の方がリアルですよね。ですが、3Dにすることによって自分や子どもなど好きな目線で自由に歩き回れたり、日照の計算ができたり、あとは家具を実際に置いた時に入るのかを試せたり。そういったシミュレーションをできることが3DCGの強みだと思っているので、そちらにウェイトを置いています。

– いろいろと挑戦しやすい環境が整っているんですね。

秋山氏:そうですね。「これやりたい」って言った時に任せてもらえる傾向が強いと思います。世の中に新しい価値を提供できそうだとか、面白くなるんじゃないかと思ったら、一定の予算枠内であれば取り敢えずやってみなさいっていう。

 

僕たちの課題は“世界共通の課題”だ

– 少し話は変わりまして、秋山さんは中途で入社されたということですが、決め手はなんだったんですか?

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秋山氏:いくつか興味のある企業から内定を頂いていたんですが、その中でもネクストが一番自由度高くスピード感を持ってやれそうだな、という印象があったので入社を決めました。あと、何をするために自分は働くんだ、というような働く目的と、弊社が掲げているビジョンとが一致して、とても共感できたからですね。

ただ、最初は不動産にそこまで興味があったわけではないです(笑)。新しい価値をつくったという実感が欲しいんですよね。ありきたりのものじゃなくて、“これによって何かが変わった”と言えるようなものを作りたいという思いがずっとあって。その思いを実現できそうな環境がネクストだった、って感じですかね。

– こうやってお話を聞いていると、とても楽しそうで少し羨ましいぐらいですね(笑)

秋山氏:ありがとうございます(笑)。弊社は比較的自由な風土ですし、代表をはじめ理解のある人たちが多いので、僕みたいな人間でも生きていけますね。社内でも申し訳ないなと思うぐらい楽しみながら仕事をやらせてもらっています。

– さいごに、個人・会社それぞれの視点で、今後の展望についてお聞かせください。

秋山氏:個人の視点で行くと、ITだけで物事を語る時代はもう飽和に近いと思っています。人工知能やロボティクスやバイオなどの今盛り上がってきているものが、いずれ融合していくのは間違いない。そうなった時に人間の価値がどこにあるのかということを僕は常に考えています。

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人間はそういったテクノロジーの進化ほど進化できないので、絶対に置いていかれるわけですよ。これは当然の流れ。そんな中、人間が主体になる世界でどんなユーザーインターフェースでテクノロジーと向き合っていくのか、という観点がとても大事だと思っています。人がより難しいものを簡単に理解できるためのユーザーインターフェース、つまり、直感的な操作というものをこれまでもこれからも心掛けたいですね。

会社視点だと、一言でいうと「多様性」です。ネクストは自由な会社ですが、個人的には今の状態で十分とは思っていない。もっと動物園みたいになっていいと思っています。動物園といってもカオスなわけではなく、会社としてある程度のまとまりがあり、特定の価値を世の中に提供できている状態が理想です。

不動産というとどうしても各国の制度によって制約を受ける部分はありますが、テクノロジーという見方をすれば日本だけで考える必要は全くないんですよね。むしろ、日本で売れなくても世界で売れればそれでいい。それに、僕たちが思っている課題感っていうのは日本に限らず世界共通の課題である可能性も高いわけです。日本だグローバルだと言葉で分けるんじゃなく、どこかの誰かが幸せになれればいい。ただ面白いというだけでなく、本当にみんなの生活に入り込むぐらいのことをやっていきたい。さまざまな既成概念を打ち砕ける何かをつくれる会社になっていたいですね。

– ありがとうございました。

 

”面白くなければ、技術革進じゃない”というビジョンのもと、半歩先を探り続けるリッテルラボラトリー。

彼らが『すごい天秤』や『GRID VRICK』などインパクトのあるプロダクトを生み出せるのは、開発者の「面白そう」を後押しするネクストの自由な社風によるところが大きいのかもしれない。”10年で100の事業を生み出す”をスローガンに掲げる株式会社ネクストと、そのR&D部門であるリッテルラボラトリーのさらなる挑戦に今後も注目していきたい。

 

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今回取材した方

株式会社ネクスト グループ経営戦略部 R&Dユニット ユニット長
秋山 剛(あきやま・ごう)氏

2008年に株式会社ネクスト入社。不動産・住宅情報サイト『HOME’S』のWEBディレクター、国際事業部門での経験を経て、2014年4月より研究開発(R&D)部門であるリッテルラボラトリーを統括。リッテルラボラトリーでは、「面白くなければ、技術革進じゃない」というビジョンのもと、最新の技術を積極的に活用し、次世代サービスにつながる新たなプロダクトやサービスの研究開発に取り組む。

 

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