ウェアラブル端末をビジネスに利用すれば、職場が生まれ変わる

顧客管理と共同作業支援のオンラインツールを提供しているセールスフォースが、ウェアラブル端末との連携を試みている。先日、同社はSalesforce Wearを発表した。Salesforce Wearはコードライブラリのセットで、スマートウォッチ、アクティビティ・トラッカー、スマートグラス、その他ウェアラブルなセンサー搭載ガジェットからセールスフォースのデータにアクセスするアプリの開発を手助けする。

このソフトウェアの活用方法として考えられるのは、シンプルな通知アプリの開発だ。定期的にスマートフォンを取り出す代わりに手首をチラッと見るだけで済むようになれば、ミーティングの生産性も向上するだろう。だが私はむしろ、ビジネスの世界とフィットネスの世界の融合という概念自体に興味を惹かれる。

オフィスでの健康管理

私たちは1日のうちの多くの時間をオフィスで過ごす。しかもそのほとんどは座っているので、その間の健康への悪影響は無視できない。座ることは喫煙と同じくらい体に悪いと警告される昨今、ルームランナー付きのデスクを試してみるなど、勤務中にも体を動かせるような手段が模索されている。だが、パーティションで区切られたデスクがあてがわれ、管理職の人間がチームの生産性をタバコの吸殻の数で判断するような職場がほとんどの現状では、このような試みはやはりまだ希少である。

アメリカでは、ヘルスケアシステムが雇用者負担であるため、そのコストが企業の決算に打撃を与えているようだ。

セールスフォースと新たに提携したウェアラブル製品の企業にフィットビットがある。フィットビットのデバイスは歩行、睡眠、その他の健康状態の測定値を追跡する。これらのデバイスを仕事のカレンダーと接続して、体を動かすための休憩時間やウォーキングしながら行う会議などを自動的に予定に入れるアプリがあったらどうだろうか?勤務中に睡眠をとることが奨励されている企業なら、出張が多く疲労のたまった従業員の昼寝時間もスケジューリングできるかもしれない。

Bionymもセールスフォースのパートナーで、心拍数などの生体信号を用いて個人を認識するNymiというデバイスを製造している。この製品は、銀行やデータセンターのような強固なセキュリティが要求される環境で影響力を発揮するだろう。

ビッグ・ブラザーがあなたの活動を見張っている

さらに未来に目を向けてみよう。雇用主から、例えばストレスレベルを探るためにそういった生体信号を測定させてくれと頼まれたらどうだろう。まるでジョージ・オーウェルの小説に出てくる民衆常時監視の世界だが、既にいくつかの企業は従業員と就職希望者に対して声の解析を行っている。バス運転手や消防士などの特定の業種においては、このような測定を行うにあたって、公共の安全のためという理由があるだろう。そして、研究者たちは既にこうしたコンセプトの調査を始めている

企業のリーダーシップに影響を与えるようなケースも考えられるだろう。例えば全員参加の会議において、CEOが自分のスピーチに対する従業員の反応をリアルタイムでモニターしたとしたら?従業員の脈は上がるだろうか。彼らは怒っているのか、はたまた喜んでいるのか?

当然、プライバシーへの重大な影響も懸念される。大抵の場合、私たちは職場に入った時点で既に、薬物検査やEメールのスクリーニングなどプライバシーに関する部分を色々と譲歩している。実際にこういったデバイスを1日8時間着用するよう従業員に頼むとなると、雇用者はプライバシー侵害を正当化するに足るメリットを従業員に提供する必要に迫られるだろう。

従業員はこのような扱いに耐えられるだろうか?もしこの種のデバイスを導入することで、じっとデスクに座り続ける必要がなくなるというのであれば、あるいは受け入れられるかもしれない。

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