アマゾンは昨夜、テレビ用セットトップボックスを発表した。名前は「Amazon Fire TV」だ。

Fire TVにはクアッドコア・プロセッサーと専用のGPUが搭載され、2GBのRAMを持ち、アプリケーションやビデオの高速起動を可能にする。さらにFire TVにはデュアルバンドWiFiが搭載されMIMOもサポートされているため、動画のダウンロードとストリーミングの待ち時間がほとんどない。解像度は1080p HDで、Dolby Digital Plusのサラウンド・サウンドにも対応している。操作するためのリモコンはBluetoothで本体と接続する。

アマゾンは、本日からFire TVを99ドルで販売開始する。

「Fire TVはApple TV、Roku3、Chromecastの3倍の処理能力を持っています」とアマゾンの副社長、ピーター・ラーセンは述べている。「テレビの下にも後ろにもぴったり入る大きさです。その存在に気付かないくらいです」(ラーセンによればFire TVは「10セント硬貨よりも薄い」という。実際には10セント硬貨の横幅より薄いという意味で、端末の寸法は0.7インチ程だ)

Fire TVの様々な機能

Fire TVには新たに「ASAP」と呼ばれる機能が搭載されている。これはユーザがこれから見るであろう番組を予測し、事前に並べて表示することで即座にそれを再生できる機能だ。Fire TVを使えば使うほどこの機能の精度は向上するという。

Fire TVはまた、Netflix、Hulu+、ESPN、Showtime、TED、Disneyなど多くのストリーミング・サービスとプロダクション・スタジオの番組にも対応している。Fire TVの発売後にはさらにチャンネルが増える予定だ(HBO Goは目立って対応リストから外れている)。Amazon Studiosも新しい番組の制作を今年の秋を目処に進めているようだ。記者発表会では同スタジオが展開するBosch、Mozart in the Jngle、Transparentなど10のシリーズが紹介された。

「Fire TVはクローズドなエコシステムではありません」とラーセンは話している。「大量のコンテンツが用意されており、それを探すためにFire TVがあるのです」彼はデモンストレーションのため、Fire TVに「ジョン・マルコヴィッチ」と声をかけた。「いかがでしょう。俳優のジョン・マルコヴィッチが主演するすべての映画を、私のウォッチ・リストに簡単に追加することができました。リモコンにマイクが搭載されているため、大声でテレビに向かって叫ぶ必要はありません」

「お姫様映画(princess movies)」と声をかけてもFire TVは答えてくれる。Fire TVで視聴可能な、お姫様が登場するすべての動画を一覧で表示してくれるのだ。

Fire TVにはまだいくつかの特別な機能がある。スマートフォン上の写真をテレビで見るための特別なハブ機能や、Kindle Fireタブレットと連携する「X-Ray」などだ。このX-Rayは映画やテレビ番組の出演者の一覧や、シーンに流れている音楽の曲名まで教えてくれる。

来月以降Fire TVは音楽アプリのサポートも開始する予定だ。それには、これまでアマゾンで購入した楽曲も含まれる。またそれぞれの音楽に同期してその歌詞もテレビに表示されるという。

キッズとゲーム

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アマゾンのキッズ向けアプリ「Free Time」もFire TV用に改良され登場した。新しいFree Timeでは、インターフェースもより子供向けになり、Free Time自体を終了するためには保護者が事前に設定したパスワードの入力も必要となる。これによって、子供達は子供向けのコンテンツから好きなものを選ぶことができ、大人向けの映画や番組がそれに混ざってしまうようなことはなくなる。さらに保護者は、子供向けに時間の制限を設定することができる。特定の曜日だけ、あるいは週末だけ、などといった設定も可能だ。さらにFree Time Unlimitedでは高い精度でその年齢に見合ったコンテンツだけが表示され、保護者がいちいちリビングルームで「見張って」いる必要がない。

まだこれだけではない。Fire TVはゲームの機能も充実している。

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「大勢の人がゲーム機をすでに持っており、それを好んで使っています。しかし、ゲーム機を持っていない人もまだたくさんいて、彼らは経済的にそれを買えないか、それにお金を払いたくないのです」とラーセンは語っている。「これらの顧客は、現在スマートフォンやタブレットでゲームをしていますが、テレビでゲームを遊べるとしたら喜んでくれるでしょう」

Fire TVの専用リモコンからはもちろん、自分のスマートフォンやタブレットからゲームを操作して遊ぶこともできるようだ。ゲームに関する機能の多くは来月さらに明らかにされるが、アマゾンはすでにセガ、Double Fine、Disneyその他数多くの重要なゲームメーカーのラインアップを挙げている。またMinecraftもFire TVで遊べるようだ。またアマゾン自身のゲームスタジオAmazon Game Studiosは、Fire TVとFireタブレットに向けたゲームの開発にも着手している。

アマゾンは39.99ドルの専用ビデオゲーム・コントローラー「Fire Game Controller」も発表した。このコントローラーにはAmazonコインが付属しており、購入後にFire TVですぐにゲームを楽しむことができる。さらにアマゾンはマルチプレイヤーのゲームにも対応しており、一人がFire Game Controller、もう一人が専用のFire TVリモコンから同時にゲームを遊ぶことも可能だ。

Fire TV用のゲームはゲーム機用のゲームに比べ、平均的に価格がかなり安い。アマゾンによると、Fire TV用ゲームの平均価格は1.85ドルだという。

アマゾンと動画ストリーミング

水曜日にニューヨークで開かれたプレス向けイベントは「ビデオ・ビジネスの今後」というタイトルであったが、アマゾンはAmazon Appstoreのアプリを利用可能な、Androidベースのテレビ用セットトップボックスを発表するだろうということが、複数のソースによって噂されていた。

アマゾンは自社のデジタル・ビデオ・サービスを2011年に公開しており、これはNetflixがそれまでのDVD発送型からテレビとストリーミングにビジネスモデルをシフトしたすぐ後のことだ。NetflixやHuluと同様、アマゾンもコンテンツに多額の投資を行っており、人気テレビ番組や映画のライセンスの獲得や、独自のコンテンツ制作を進めている。

そのコンテンツを視聴するためには、消費者は何かしらのメディア・ストリーミング・デバイスが必要となる。

アマゾンはChromecast、Applet TV、Rokuを含め、そういったデバイスを多く販売している。しかし同社によると、消費者はこれらの商品にはまだ不満であるという。検索が難しく、特に「ベストセラー」の一覧に入らないコンテンツは探しにくい。ラーセンによれば、これらのストリーミング・デバイスの反応の悪さやパフォーマンスに関する不満もよく聞かれるという。

「消費者はこういったひどいパフォーマンスにこれ以上我慢しなくていいのです」とラーセンは語っている。「我慢する必要がなくなるのですから」

これまでのテレビ向けセットトップボックスにはまだ問題がある。それはそのクローズドなエコシステムだ。ラーセン自身もAppleTVとAmazon Prime両方のアカウントを持っているが、一つのアカウントで複数のサービスにアクセスすることはできない。もしできたとしても、多くの場合追加料金が必要となる(Xbox LiveユーザはXbox経由でNetflixを見るために年間60ドルの追加コストがかかる)。

「消費者のためによりシンプルな仕組みを開発する必要がありました」とラーセンは語った。「最先端の技術を用いたパフォーマンスで、存分に映像の世界に浸っていただきたいと思います」

このプレス向けイベントの前に、ある関係者が、発表されるアマゾンのデバイスは「これまでにないほどパワフルなセットトップ・デバイス」であり、また以前噂されていたようなドングル型ではなく、高性能なAppleTVに近いが、もっと「きびきびした」ものだ、と話していた。

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一時期ウォールストリートジャーナルは、アマゾンが広告ベースの無料ストリーミング・サービスを発表するとしていたが、当時アマゾン側はこの報道を完全に否定していた。もちろんアマゾンがKindleのエコシステムを含め、同社の運営する様々なデジタルコンテンツを活用することができる自身のセットトップボックスをリリースすることは理にかなっている。それにアマゾンによれば、同社のストリーミング映像サービスAmazon Prime Instant Videoには、4万タイトルを超える映画とテレビ番組が用意されているという。

発表の直前には値段にまつわる噂が絶えず、一部ではグーグルChromecastの35ドルを下回るとも報じられていた。また別の報道では、アマゾンのデバイスは「プレミアムな」製品で、アップルの99ドルに近い値段で登場するだろうともいわれていた。

「アマゾンはすでにメディア・エコシステムを確立しており、広告ネットワークも所有しています。それに収益化に関する戦略も豊富に経験しています」とBusiness Insider Intelligenceのリサーチ・アナリスト、マーク・ホーゼルは語っている。「それに加え、すでにPrime登録者数は2000万人を超えており、彼らがこのストリーミング・デバイスに飛びつくことは間違いないでしょう」

画像提供:Dave Smith for ReadWrite

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