NSA の内部告発者、エドワード・スノーデンのインタビュー:「データの流出は続いている」
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SXSW(※)で、かの有名な NSA の内部告発者エドワード・スノーデンのライブビデオインタビューが中継された。初めて行われたインタビューの中で彼は、基本的な暗号化基準を導入し、政府の大衆監視にまつわる改革の強化を要求することは、市民としての我々の責務であると語った。

※サウス・バイ・サウスウェストの略。

「私が(文書を漏えいすることで)やろうとしたことは、公衆が解決策を議論し、なすべきことについて同意できるように、情報を提供することだった」。スノーデンは、少々画質の粗いビデオリンクを通してこのように話している。

プライバシーの侵害から身を守るために平均的なユーザーができることは何か、と聞いたところ、スノーデンは「完全なディスクの暗号化、ネットワークの暗号化、そして大衆監視に効果的なのは Tor ブラウザだ」と答えた。Tor は厳重に暗号化されたネットワークで、ユーザーのオンラインの閲覧や通信を保護するものだが、平均的な消費者がインストールして使用するのは難しい。

NSA 文書の継続的な暴露についてスノーデンと密接に仕事をしているジャーナリストのグレン・グリーンウォルドも、スノーデンと連絡を取り始めたころは暗号化技術の使い方を知らなかったという。パネルの司会者とスノーデンはこのエピソードを「グリーンウォルド検定」とちゃかしながら、平均的な人々が暗号化技術の使い方を理解できなければ大規模な実装は望めないと説明した。つまり、新しい安全なコミュニケーション手法というのは、平均的な人々が簡単にアクセスできるものでなければならない、ということである。

毎年3月にテキサス州オースティンで開催されるこの SXSW は、世界中の技術者を魅了している。彼らの多くは Tor のような技術を理解しており、インストール方法も知っているだろう。スノーデンのパネルに参加した人たちには、安全な暗号化の重要性を学んで一般人に教える能力があると思われる。中にはこうした技術をさらに改良し、将来的により多くの人が使える主流なシステムを作れる人もいるかもしれない。

「(政府は)インターネットの未来に火を放っている。今この会場にいる人たちこそが消防士だ」とスノーデンは語った。

データを集めても、保存はするな

 スノーデンのライブインタビューに集まった聴衆
スノーデンのライブインタビューに集まった聴衆

元 NSA の局員であるスノーデンは、すべての監視行為に反対しているわけではない。

国家の安全にとっても自由なオンライン市場で経営されるビジネスにとっても、データ収集が重要であることをスノーデンは認識していた。問題なのは、政府や会社が集めたデータをどう使うかだ。

「データを集めるなと言うわけではない。作業に必要なデータだけを集め、作業に必要な間だけ保持するべきだ。データを収集するのがビジネスモデルである会社だとしても、使用した後は保存する必要はない」と彼は言う。

スノーデンが PRISM と呼ばれる NSA のプログラムに関する情報をリークし、政府が Google や Facebook を含む技術系の会社からデータを収集していることが明らかになったとき、個人が自分のデータを自発的に会社に提供して広告に利用させることは、政府がデータを収集するのと同じくらい悪いことではないのか、という疑問が持ち上がった。

Google や Facebook は人々のデータを断片化し、検索や会話に現れたキーワードでインデックスを付けて広告業者に売っている。市民からデータを収集する NSA の監視と似たようなものだ。

しかしスノーデンに言わせれば、Facebook や Google を使っている人たちは強制的に情報を提供させられているわけではないため、そこに違いがあるのだという。「会社は製品を売るために人々を監視することができ、それが悪い結果を生むこともある。しかし技術的に見れば、それは自発的な契約なのだ」

一国の安全を危険にさらす

スノーデンの文書は、米国政府が、自国内の知的財産や通信を保護する防御的な運用ではなく、国内外で市民を監視するような攻撃的な運用を推進しているということを繰り返し明らかにし続けている。

「我が国の経済的成功の大半は知的財産に基づいており、我々の創造力、共有力、競争力の産物である。アメリカは他の誰よりも失うものが大きい」とスノーデンは語った。

情報収集に関する努力に重点を置くことで、アメリカはサイバー・セキュリティ攻撃の危険性が高いことを暴露してしまっている。そして政府が容疑者を絞り込む代わりにすべてのコミュニケーションをモニタリングしても、得られるものはほとんどない。

スノーデンは、連邦政府には NSA のような組織に対して説明責任がないため、政府規制を監視する信頼できる公的な代理人や市民権担当官が必要だ、と言っている。

「議会を監視する監視員が必要だ。そして嘘を糾弾するのだ」と彼は語った。しかしそれに対しても新たな疑問がある。その監視員はだれが監視するのか?

インタビューを通してスノーデンは一度も自身の亡命や、アメリカで最も追われている人物としての今の状態について言及しなかった。率直な対話の内容は、今も続く権利の侵害や平均的な人が身を守る方法などについて人々を教育したい、そしてやがては政府の改善に成功したい、という彼の願いに終始していた。

スノーデンは後悔していない。もしやり直せたとしても同じことをするだろう、と語っている。「私は米国憲法を支持し守ると宣誓した。そして憲法が大々的に破られる様を目の当たりにしたのだ」。

人々がスノーデンの行動を支持するかどうかにかかわらず、彼の暴露はインターネットの安全性を大幅に改善するだろう。なにしろ彼の行為なしには起きなかったであろう、プライバシーに関する議論に火を点けたのだから。

画像提供:Taylor Hatmaker

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