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いかなるインターネット・プロバイダも、特定の顧客を優先して、トラフィックを選別し割り当ててはならないという原則がある。このネットワーク中立性は、1年以上前、ベライゾンが米連邦通信委員会(FCC)の「オープン・インターネット」というルールを覆す裁判に勝訴した時、敗北を喫した。だが、FCCは猛反撃をかける準備を整えている。

FCC委員長トム・ウィーラーは、ネットワーク中立性を強化する計画の概要について、Wiredの論説内で説明した。その内容とは、同委員会の最も強力で歴史ある権限、通信法第ニ章の名のもとに、インターネット・サービス・プロバイダを地域電話会社と同種の「電気通信事業者」に分類するというものだ。これにより同委員会には、広範囲に及ぶ裁量権が与えられることになる。ビジネスパートナーを優遇し、ライバル企業やスタートアップ企業に不利益をもたらすような、インターネットの「有料高速車線」やその他キャリアの活動を禁止することが可能になるのだ。

この動きは、ワイヤレス・ネットワークに対しても同様の規制を広げることにもなる。それは以前にはFCCが規制を試みていなかった分野だ。

「私は、今までFCCによって提案された中で、最も強力なオープン・インターネットの保護案を委員会に提出しています」とウィーラーは述べている。「法的効力があり、明確に定義づけられたこれらのルールは、有料による優先順位づけや、法的なコンテンツ・サービスを遮断および抑圧することを禁止します」。

議論の嵐を呼ぶ

ネットワーク中立性の提唱者らは、長きにわたりサービス・プロバイダを抑制するために通信法第二章を利用することを望んできた。FCCがその戦略を支持するのは今や明らかだ。しかし、同委員会は戦いを余儀なくされるだろう。Comcast、Verizon、AT&Tはこの提案に強く反対することが予想される。AT&Tはすでに再分類に反対する論拠のいくつかを示している。

より高速の通信を有料で提供することによって、ケーブル会社や電話会社はある種の優先順位を決める。したがって、莫大なトラフィックの処理量が、回線事業者の限られた通信網に集中することになる。彼らの懐も潤うことになるというわけだ。

ウィーラーはこう述べている。

私は、このような明確に定義されたルールをモバイル・ブロードバンドに完全に適用することを―史上初めて―提案します。私の提案は、インターネットユーザーが行きたいところへいつでも行く権利、そしてイノベーターらが誰の許可もなしに新製品を発表する権利を保証するものです。

ネットワーク中立性は複雑な問題となる可能性がある。一方では、Netflixのバッファリングを永久に消し去ったり、データ容量の心配をせずSpotifyやその他音楽配信サービスに自由にアクセスすることができれば、エンドユーザーの利益になるだろう。しかし、ある特定のサービスに利するよう設計されたシステムの今後の状況には、注意が必要だ。大企業が有料の「有料高速車線」を利用する一方で、小規模なイノベーターが競争にすら参加できないという状況が変わるからだ。

声明において、オープンアクセスという原則がなければ、インターネットが隆盛することそのものが考えられなかっただろうとウィーラーは述べている。例えば、電話網を基盤とするAOLは盛況となった一方、ケーブル回線に依存したAOLのスタートアップ企業、NABUは失敗した。その原因は「電話網が開かれたものだったのに対し、ケーブル回線は閉じられたものだった」ためだ。

ウィーラーの経歴を考えると、これは印象的な発言だ。彼はかつてケーブル業界と密接な関係にあるロビイストだった。2年前、彼がオバマ大統領によってFCCの委員長に指名されたのは興味深く、議論を呼ぶ人事だった。回りくどいやり方ではあったが、昨年、ウィーラーはインターネットの優先順位づけを容認する方針とみられていた。今、彼ははっきりと反対側に回ったのだ。

この規制の動きはどのような影響をもたらすか

この動きが活性化したのは、次の人々のおかげだ。―順不同―コメディアンのジョン・オリバー、そしてオバマ大統領。昨夏、オリバーは、自身のLast Week Tonightというショーで、FCCがネットワーク中立性に難癖をつけているのに対抗手段を示した。口コミで騒ぎを起こし、不満を持った市民にFCCのサーバーを停止させるよう扇動したわけだ。

その後11月、オバマ大統領はネットワーク中立性を公式に支持し、強化のためFCCに通信法第二章権限を利用するよう要請した。FCCは独立機関であり、ホワイトハウスはFCCに対していかなる公的権限も持たないが、大統領の支持がウィーラーや他の委員を後押ししたようだ。

ホワイトハウス報道官によると、ホワイトハウスはウィーラーの声明に「励まされた」とのみ述べている。しかし、ホワイトハウスのTwitterのフィードではウィーラーの以下のつぶやきをリツイートしている。

Tom Wheeler(@TomWheelerFCC):「#OpenInternetは自由な表現やイノベーションやチャンスのための歴史上最も偉大な原動力です。われわれは今それを守らなければなりません」

トップ画像提供:Shutterstock

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