先週からニューヨークで開催されている全米オープンテニスの試合会場では、ボール・ボーイがボールを追う一方で、シャツが彼らを追跡しているようだ。

ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、コート内をあちこちと走り回るボール・ボーイが着用するのは、ラルフローレンの最新ウェアラブル・テクノロジーのシャツだ。そのシャツは着ている人の心拍数や呼吸数、そしてストレスレベルといったデータを測定するという。

OMsignalと共同で開発された生体情報センサー搭載シャツは、測定されたデータをスマートフォンやコンピュータ上で閲覧できるソフトフェアに転送可能となっている。そして黒地のナイロンポリエステル混紡シャツには、高価で上品なイメージを持つラルフローレンお馴染みのロゴ(ポロの馬)が入っている。

ラルフローレンのVPであるデイヴィッド・ローレンはNYTに対し、「今や、誰もが時計型やヘッドバンド型といったウェアラブル・テクノロジーに興味を示し、カッコいいスニーカーを求めています」と述べ、「我が社は、ウェアラブル・テクノロジーの新しい着目点としてアパレル業界に目を向けました。服は毎日着るものですからね」と続けた。

価格が200ドル以上とされるOMsignalシャツは、年内には大きなヒット商品となることが期待されている。銀の導電性糸と「ブラック・ボックス」と呼ばれるデータ収集転送装置を用いることにより、身体データを計測できるようになっているのがこのシャツの特徴だ。

ラルフローレンの最新ウェアラブル・シャツがいつ、どのように購入可能で、事前予約可能なOMsignalシャツのデザインとどのような違いがあるのかといった詳細は、まだ不明だ。

ファッションとテクノロジーの融合

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ウェアラブル・テクノロジーと聞くとマニアックなイメージもあるが、今やファッション・デザイナーや知名度の高いブランドは、スマート・テクノロジーをいかにセクシーに提供できるかということに注目し始めている。見た目のいいウェアラブル製品の登場は、流行に敏感な消費者を魅了するため、好ましい傾向だといえるだろう。

ラルフローレンは、女性が求めるゴージャスなウェアラブル製品を目指すためFitBitとパートナー提携したTory Burchや、スタイリッシュなグーグル・グラスを作成したDVF(ダイアンフォンファステンバーグ)、そして男女問わずに楽しめるブレスレット型USBチャージャーを手掛けたRachel Zoeを含むデザイナー達の仲間入りを果たした。

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ベンチャー企業もまた、ウェアラブル・デバイスの開発の際にファッション性を最重視している。Ringlyとは、メールや電話の受信を振動で知らせてくれる指輪型の小さな機器であるが、これを「ウェアラブル・デバイス」と呼ぶのはふさわしくないだろう。というのも、その見た目は、デパートのショーウィンドウに飾ってあるジュエリーと何ら違いが無いからだ。

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ハードウェア・メーカーは、市場に溢れるデザイナー達に目を留めてみるべきではないだろうか。なぜなら、グーグルとDVFの提携は、グーグル・グラスの見栄えを最重視した結果であるし、Android Wearを使用するスマートウォッチ・メーカーは、時計をファッションアイテムのひとつとして身に着けるおしゃれなスマート・ウォッチを開発しているのだ。

グーグルが今年の初めにAndroid Wearを発表した際、私の同僚であるアドリアナ・リーが投稿したように、LG G ウォッチのようなスマート・ウォッチは女性にとっては大きすぎるし、決して女性に魅力的な商品とはいえないだろう。ブランド商品を立ち上げる際、ファッション性よりも機能性を重視するのは当たり前かもしれない。しかしスマート・ウォッチがファッション性にも優れたものにならない限り、いつまで経っても単なるテックオタク向けのガジェットとしてしか見なされないのではないだろうか。

ラルフローレンは、新商品となるウェアラブル・ファッションを技術会議ではなく、年間最大スポーツイベントの場で披露しようとしている。そこは、まさに同社のコレクションを着こなす多くの観客たちが集まる場所だ。新バイオメトリクス・シャツを身にまといファッション・モデルの役もこなすボール・ボーイたちの姿はフィットネス・テクノロジーをとびきりのものに変えるかもしれない。

画像提供:
トップ画像:OMsignal
全米オープンテニスの画像:Steven Pisano

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